人事課題
2020/02/05

成長力を加速させる、サイバーエージェントの大胆な人事戦略

成長力を加速させる、サイバーエージェントの大胆な人事戦略

インターネット広告の誕生とともにITベンチャーの旗手として登場し、20年弱でグループ企業数100社、売上高3700億円超、グループ従業員数8500人の大企業に成長したサイバーエージェント。変化の激しいインターネット業界でライバルを押しのけながら成長し続ける同社は、大胆な人事戦略で成長を加速させている。

※ビズリーチは、日経ビジネス電子版 SPECIAL テーマ特集「働くを考える」に協賛しています。
※日経BP社の許可により、2018年4月10日~の日経ビジネスオンラインSpecialに掲載された広告から抜粋したものです。禁無断転載 (C) 日経BP社

人材こそが武器となるインターネット業界

1998年設立のサイバーエージェントは、インターネットのクリック保証型広告から事業を開始し、アメーバブログ(アメブロ)で知られるメディア事業、「グランブルーファンタジー」などのゲーム事業など次々と事業を拡大してきた。2011年からはスマートフォン分野に軸足を移し、インターネットテレビの「AbemaTV」を運営するなどさらに成長に弾みがついている。

20年弱で売上高3700億円超、グループ従業員数8500人の大企業に成長したサイバーエージェント
20年弱で売上高3700億円超、グループ従業員数8500人の大企業に成長したサイバーエージェント。同社の大胆な人事戦略とは。


しかし、流行(はや)り廃りの早いインターネット業界では、次々と新しいビジネスモデルが登場し、常に新しい価値を生み出し続けなければ成長を維持することはできない。順風満帆に見える同社だが、これまでに数多くの曲折があり現在に至っている。それを支えてきたのが優秀な人材であり、その能力を引き出す人事戦略である。

現在、同社は働きやすい職場として高く評価されている。東洋経済新報社の「風通しがよい会社」ランキングでは第7位、「ユニークな社内制度や福利厚生がある企業」ランキングでは第1位となっている。しかし、以前はそうではなかった。同社の人事戦略の責任者を務める、取締役人事統括の曽山哲人氏は「上場直後は退職率が高い時期もありました」と振り返る。

同社が職場や風土を改善するために力を入れたのは、社員同士を仲よくさせることだった。懇親会のための飲食代を補助し、部活動も積極的に支援した。「仲よくなって情報流通が活性化することは、不正を防ぐとともに、退職者を減らすことなどにも効果があると思います。実際に退職率は大幅に下がりました」と曽山氏は語る。

一方、同社では優秀な人材を採用し、その能力を引き出すことにも注力してきた。曽山氏は「最近では『成長』をキーワードとして捉えている人が増えていると実感しています。先行きが不透明な中で、自分が成長できるかどうかで企業を選ぶ傾向が強くなっています」と語る。この傾向は優秀な人材であるほど強まる。優秀な人材を求める同社はどのようにしてそのニーズに応えてきたのだろうか。

人材の価値を決める「決断経験」を重視する

「当社が人材育成で最も大切にしていること。それは、決断経験を積ませることです。人材の市場価値は決断経験の量と質で決まります」と曽山氏は語る。決断経験とは、自分自身で決めた経験のことだ。優秀な学生ほど入社前に様々な決断経験をしてきている。進学を決める、部活を決める、部の活動内容を決めるなど、特にリーダーとしての経験が多ければ、それだけ決断経験も多い。

しかし、社会人になると周囲には上司や先輩社員がいるため決断経験は積みにくい。だからこそ、同社では決断経験を意識的につくり出している。「特に私たちが意識しているのは、同年代の決断です。創業社長の藤田(晋)が当社を上場させたのは26歳のときでした。ですから、同じ年の社員にそれくらい重要な決断ができても不思議ではないはずです」(曽山氏)。

決断経験を増やすための仕掛けの一つが、2004年から行われていた「ジギョつく」だ。いわゆる新規事業コンテストだが、毎週募集があり、内定者から経営幹部まで誰でも参加できる。1次審査のあとは役員会議にかけられ、最高100万円の賞金が贈られる。年間1000件のペースで応募があったという。しかし、なかなか「ジギョつく」から成功する事業が生まれなかったこともあり、2015年に廃止。

新規事業コンテスト「ジギョつく」。年間約1000件の応募があったという。
新規事業コンテスト「ジギョつく」。年間約1000件の応募があったという。


現在、サイバーエージェントで大きな役割を果たす仕掛けが、2006年から開催されている「あした会議」だ。これは役員自らが新規事業をつくり出すものだ。役員が率先して事案を出し、4人のメンバーとチームを組み、1泊2日で行われる合宿形式の発表会で優劣を競う『役員対抗の決議案バトル』である。「順位などの結果が社内外に公表されるので手は抜けません」と曽山氏は話す。

この「あした会議」の最大のメリットは、所属を超えて役員と社員が議論することで生まれる部署横断の人材交流と情報交流にある。新規事業やコストダウン、人事制度などテーマは様々だが、提案するテーマは役員の担当分野以外で、チームのメンバーも自分の部下からは選べない。

合宿では初日に各チームが2案から3案をそれぞれ3分間でプレゼンし、審査委員長である社長の藤田晋氏がコメントしていく。「ユニークなのはそれが最終的な結果ではないという点です。指摘された弱い部分をブラッシュアップして翌日に再度発表します。その議論には藤田も参加してアドバイスします」と曽山氏。役員と社員が一緒になって議論する場が社員を育てる場になっているのである。

リーダーを育てる機会を意図的に増やす

これまで「あした会議」から生まれた子会社は30社近くあり、その累計の売り上げ超え、営業利益は100億円に上る。その半分は20代の若手社員が社長を務める。社長になれば 自然と決断経験は増え、次世代を担う人材へと成長していく。「リーダーを育てたければ、まずリーダーをやらせてみることです」と曽山氏は話す。

サイバーエージェント「あした会議」から生まれた子会社の社長
「あした会議」から生まれた子会社の社長。「リーダーを育てたければ、まずリーダーをやらせてみることです」(曽山氏)。

このほかにも同社では、2年に1度取締役8人のうち2人が入れ替わる「CA8(シーエーエイト)」と呼ばれるユニークな制度がある。これも経営者を育てる機会を増やすための仕掛けだ。役員というポジションを「上がり」ではなく「キャリアステップの一環」として捉える。曽山氏自身も一度退任した『出戻り役員』である。

こうしたユニークな仕掛けはどうやって生まれてくるのだろうか。「人事制度の設計で大事にし ていることは、挑戦と安心をセットで考えることです。どちらに傾いても人は辞めていきます」と曽山氏。まず挑戦する場を増やし、やりがいや地位、名誉などの非金銭的報酬を提供する。そのうえで安心できる制度も用意しておくことにより、挑戦意欲も生まれる。

この挑戦者のセーフティーネットになっているのが「キャリアエージェント」という、社内向けのヘッドハンティングの専門チームだ。毎月、社員にオンラインアンケートを実施し、人材の適材適所を考え、役員に異動を提案する。

簡単なアンケートだが、仕事上のパフォーマンスや職場の状況といった定性情報を数値化して定量情報に変換し、測定する。その結果は上司には見せずにヘッドハンターチームが判断し、必要であれば社員と面談をして社内の募集ニーズとのマッチングを図り、人材の活性化へとつなげていく。

現在、同社の平均年齢は31歳。若い人が多い会社だからこうした思い切った施策ができるという見方もあるかもしれない。しかし、ビジネスという土俵は同じだ。企業は同社のような人事戦略で経験を積んだ挑戦意欲の高い人材と競争しなければならない。

デジタルトランスフォーメーションの時代では、ウーバーが旧態依然としたタクシー業界を一変させたように、どの業界でも変革が起きてくる。そこで勝ち残るためには、人材を活性化させ、能力を引き出す人事戦略が求められているのである。

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