採用課題
人事課題
2019/11/21
グローバル人材を採用・育成するには?必要な環境整備と能力の測り方
海外へ事業展開する日本企業が増加するにつれ、海外事業を任せられる「グローバル人材」のニーズが高まっています。政府もグローバル人材の不足を強く意識しており、その育成は待ったなしの国家規模での課題です。

こうした状況のなか、企業はどのようにグローバル人材を確保すればよいのでしょうか。今回は、グローバル人材の定義とともに、その採用と育成に向けた環境整備の基本についてご説明します。

1. 企業の将来を担うグローバル人材とは

「グローバル人材」について具体的にどのような人材か、政府が公的な見解を示しています。どのような人材がグローバル人材に当たるのか、まずはその要素を見てみましょう。  

1-1. グローバル人材とは

グローバル人材とは、一般には「日本国内のみならず海外での活躍が期待される人材」と考えられています。英語に翻訳することは難しいのですが、「global human resources」や「global person」「global talent」とされることが多いです。

政府の設けた「グローバル人材育成推進会議」では、グローバル人材はおおむね次の要素を満たすと考えられています。

・語学力、コミュニケーション能力

・主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感

・異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー

上記の3要件に加えて、幅広い教養と深い専門性、課題発見・解決能力、チームワークとリーダーシップ、公共性・倫理観、メディアリテラシーなどが挙げられています。国がグローバル人材に求める能力は、極めて広範囲に及ぶのです。

政府がわざわざグローバル人材を定義する背景には、グローバル化が進む現代社会において、日本のプレゼンスを高めたいという意向があると考えられます。

グローバル化の進展に伴って、国内外問わず外国人とともに仕事をする機会が増えています。文部科学省や総務省、経済産業省などでは、日本人としての強みを生かしグローバルで活躍できる人材の育成や確保を視野に入れ、各種セミナーや推進プログラム、海外研修などさまざまな政策を打ち出しています。
参考:文部科学省「グローバル人材の育成について」
参考:総務省「グローバル人材育成の推進に関する政策評価」
参考:経済産業省「グローバル人材」  

1−2. グローバル人材が必要とされる主な背景

外国との接点が多い中央省庁等のみならず、ビジネスレベルでもグローバル人材に対する需要は増しています。その背景には、海外へ進出する企業の増加、人口減少や少子高齢化に伴う国際競争力低下への懸念、語学力の優れた日本人が少ない状況などがあります。

特に海外市場の開拓に向けて、多くの企業がグローバル人材の確保へ躍起になっているのが現状です。特に海外現地法人のマネジメント職や市場開拓のための営業担当など、長期にわたって現地に駐在し成果を上げられる人材が求められています。

2.グローバル人材を採用・育成するときに重視したい能力

先ほどご紹介したグローバル人材育成推進会議の見解等に基づいて、グローバル人材に必要な能力について、より詳しくご説明します。  

2-1. 語学力、コミュニケーション能力

英語はもちろん、進出する地域の言語を使いこなせることが理想です。少なくとも、ビジネスで不自由なく読み書き・会話ができる程度の英語力は、グローバル人材として活躍するために必須といえるでしょう。

加えて、言葉が理解できるだけではグローバルレベルのビジネスで、十分なコミュニケーションが図れるわけではありません。現地での採用者やクライアントなど、多様な人材と関係を構築できるコミュニケーション能力が求められます。

この「コミュニケーション能力」のなかには、異なる文化を理解できる感受性と知性、異なる価値観を持つ相手に柔軟に対応できる力など、異文化コミュニケーションに関わるスキルが含まれます。  

2-2. 主体性・積極性

海外で発生する問題の解決にあたっては、前例がない対応が必要となることも少なくありません。他人に解決法を尋ねて実行するのではなく、自ら考えて積極的に行動を起こせる人でなければ、グローバルに活躍するのは難しいでしょう。失敗を恐れず、その失敗を糧にして成長する精神的な強さが求められます。

こうした人材を育成するためには、主体的な行動を推奨し、多少の失敗は許容できる組織の寛容さも必要となります。「主体的に行動してほしい」と伝えるだけでは、失敗を恐れて従業員は受動的になってしまいがちです。組織文化として主体性や行動力を求めていることを、企業理念やリーダーからのメッセージ、トラブルに対応する際の姿勢などを通じて発信する必要があるでしょう。  

2-3. リーダーシップ

チームやプロジェクトをまとめるリーダーシップも求められます。海外では、年齢が若くキャリアが浅くても大きなプロジェクトを任される可能性があります。そのため、「自分が会社を引っ張る」という意識で仕事に取り組める人材でなければなりません。

リーダーシップは、チームのリーダーだけに求められる能力ではありません。メンバー一人ひとりにとっては、チームないしプロジェクトの目標を理解し、それに向かって努力することもリーダーシップといえます。リーダーシップは、海外事業に携わる全員が備えているべき資質です。  

2-4. チャレンジ精神

未知の業務にも果敢に取り組むチャレンジ精神も必要です。また業務だけでなく、ビジネス習慣や文化の違いなどに直面し、思うように仕事を進められない局面も出てきます。このような状況に前向きに立ち向かえないと、ストレスで心身をすり減らしてしまう可能性が高いです。

逆境に立ち向かい、努力し続けられる能力を「セルフエンパワーメント」と呼ぶこともあります。  

2-5. メディアリテラシー

グローバル人材育成推進会議の見解では、グローバル人材に限らずこれからの社会の中核を支える人材に求められる要素として、メディアリテラシーも挙げられています。情報収集や発信に際して、的確なメディア選択やメッセージの考案などを行えることが重要です。日本語だけでなく英語で自在に情報の検索や発信ができる必要があるでしょう。

参考:文部科学省「グローバル人材の育成について」

3. グローバル人材を採用・育成するポイント

グローバル人材に求められる要件は多いので、採用するのも育成するのも容易ではありません。ここでは、グローバル人材を確保するためのポイントについて整理します。  

3-1. グローバル人材を採用するポイント

はじめからグローバル人材として、申し分ない人材の採用を実現できるのが理想ですが、現実にはなかなか難しいかもしれません。そのため、グローバル人材になりえる「原石」の採用をファーストステージとし、その後自社で育成するという戦略が現実的だと考えられます。

また、事業の海外展開や海外企業との業務提携など、自社の方向性を把握することが重要です。自社の事業特性やフェーズをふまえて、求める人材要件を確定させなければなりません。政府の定義するグローバル人材はあくまで一般的な定義であり、自社のビジネスを発展させるための、具体的なグローバル人材像は、自ら検討する必要があります。

もちろん、政府が挙げる語学力や異文化理解力、チャレンジ精神などは採用基準として考慮してもよいでしょう。特にどういったスキルや能力を優先するのかを明確にし、それを備える人材の採用を目指します。不足している点があれば、採用後に育成すればよいと考えるわけです。

また、選考段階でグローバルなスケールで仕事をしたいか否かのモチベーションを問うようにしましょう。  

3-2. グローバル人材を育成するポイント

グローバル人材の育成方法を考える前に、その必要性や人材要件を組織全体に浸透させることが大切です。異文化に対する先入観や固定観念を排除するとともに、ダイバーシティ(人材の多様性)を意識した組織作りが求められるでしょう。これらによって、将来的に事業のグローバル展開を任せられるように社員を育成する環境を整えることが効果的です。

世界で通用するコミュニケーション能力やマネジメント能力を育てるためには、文化の異なる相手のライフスタイルや価値観に配慮しつつ、自分の意見を主張するという高度なコミュニケーション術が必要です。育成のためには、特定の「グローバル人材候補」向けにセミナーを実施したり、書籍で学ばせたりすることに加え、実体験を積ませることを意識するべきでしょう。

4. グローバル人材の育成に欠かせない「尊重」と「主張」

グローバル人材に求められる要件はいくつもありますが、何より相手の立場を尊重しつつ、自分の意見を主張できることが最も重要です。日本国内のビジネスでもこうしたコミュニケーションは必要ですが、海外展開を意識するのであればその重要性はさらに増すと考えられます。

グローバル人材を自社に確保するのであれば、戦略的な採用・研修体制が欠かせません。まずはどんな人材を自社が必要としているのか、経営層や人事(HR)担当、そして現場が一丸となって検討するべきでしょう。

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