採用課題
2019/12/09
採用マーケティングとは?人材不足の時代に効果的な優秀層の採用の方法
人手不足が叫ばれる時代において、採用活動はますます難しくなっています。「ぜひ採用したい」と思わせる優秀な人材ほど、なかなか自社に来てくれないものです。

そこで取り入れたいのが、マーケティングの視点です。採用活動に消費者マーケティングの視点を取り入れることで、自社の魅力を際立たせるとともに求職者のニーズを深く理解し、優秀な人材を引きつけやすくなると考えられます。

こうした採用活動の考え方を「採用マーケティング」と呼びます。今回は、採用マーケティングの概要と、取り組むためのメリットやポイントについてご説明します。  

1. 採用マーケティングの基礎知識

採用活動に「マーケティング」がついた採用マーケティングは、従来の採用活動とどう異なるのでしょうか。まずは採用マーケティングの概要についてご説明します。  

1-1. 採用マーケティングとは

採用マーケティングは、その名の通り採用活動にマーケティング的な視点や考え方、手法を取り入れることを指しています。

採用マーケティングが重要である理由には、採用競争の激化や採用手法の多様化など、採用活動の変化があります。特に新卒採用は「売り手市場」といわれるなか、人材を確保することは容易ではありません。そこで自社の採用力を強化するために、マーケティングの考え方を意識的に採用活動に取り入れる採用マーケティングが広がりつつあります。  

1-2. 従来の採用活動との違い

従来の採用活動では、関係者の意識が「手法」に向けられていました。人材紹介会社を利用したり、求人媒体(就職サイトや転職サイト)へ出稿したり、さらには採用イベントへ参加したりと、「何をやるか」が採用活動において考えるべきことの中心に置かれていたのです。そして実際に応募してくれた人への対応は、協力会社や子会社などに任せることも少なくありませんでした。

一方の採用マーケティングは、手法ではなく「仕組み」に意識を置きます。人材をどうやって集めるかというよりも、優秀な人材に自社を選んでもらうための仕組みづくりまでもが採用マーケティングの範囲に含まれています。

そのため、「自社の戦略はいかにあるべきか」「どういった人材を採用したいのか」など、自社や採用したい人材(ターゲット)の分析に力を入れることになります。  

1-3. 採用マーケティングの主な内容

採用マーケティングは、主に6つのプロセスで構成されています。

まず、自社の分析です。自社の経営理念や経営戦略を改めて見直し、その強みと弱みを認識します。たとえばマーケティングにおける思考フレームワークとして「SWOT分析」と呼ばれるものがありますが、S(Strength=強み)・W(Weakness=弱み)・O(Opportunity=市場機会)・T(Threat=外部脅威)の4つを洗い出すことで強みや弱みを再認識できます。こうした分析を通じて、自社のとるべき採用戦略が見えてくるのです。

自社を分析したら、次は採用ターゲットの選定です。マーケティング戦略においては、ターゲティングが欠かせません。どのようなターゲットに商品を売るのか、採用活動で言い換えれば「どのような人材に自社へ来てもらいたいのか」を明確化することで、アプローチ対象が絞り込まれて採用に割けるリソースを効率的に活用できるようになります。しばしば「優秀な人材」とあいまいに捉えがちな採用ターゲットを、「指示がなくても自ら動ける行動力や、失敗を次に生かせるリカバリー力に優れた若手」などと具体化しましょう。

次に、定めた採用ターゲットがどういったニーズを持つのかリサーチします。たとえば採用ターゲットが多くいると想定される教育機関などでアンケートやインタビューなどを実施しましょう。リサーチ会社に協力を依頼するのも一つの方法です。就職活動・転職活動においてどのようなニーズを持っているのか可視化することで、採用ターゲットに強い印象を与えるようなメッセージを打ち出せるようになります。

採用ターゲットのニーズを理解できたら、次はそのニーズに基づいた採用施策を検討します。求人媒体への掲載や採用イベントなどの機会において、ターゲットに対してどのようにアプローチするのが効果的かを考えます。認知から採用に至るまでのプロセスを、「ファネル(ろうと)」と呼ばれる図で示すこともよく行われます。

施策を実施している最中や実施した後に振り返りを行い、継続的な改善につなげることを忘れないようにしましょう。採用活動の「PDCAサイクル」を意識することが、採用マーケティングではとても大切です。

2. 採用マーケティングに取り組むメリット

採用マーケティングを取り入れると、採用活動はどのように変化するのでしょうか。採用マーケティングのメリットについてご紹介します。  

2-1. 優秀な人材が集まりやすくなる

採用マーケティングでは、求職者が入社したいと感じるような発信を心がけます。つまり、会社の理念やサービス、社長、組織や福利厚生などの魅力を積極的に求職者に伝えるようにするのです。しばしばオウンドメディア(ブログ)やSNSが活用されます。

こうした発信は、いずれも会社の認知度を高めるだけでなく、「ファン」を増やすための活動といえます。会社のファンというと、積極的に自社の商品を購入してくれるような消費者や企業。このファンを、社員として採用するのも良い方法です。会社に強い魅力を感じているファンが従業員となれば、高いモチベーションを持って働いてくれると考えられるからです。

地道に会社の魅力を発信し、ファンを増やしていくことで、自社に興味を持つ母集団形成が可能となり、結果的に採用候補者となる人材を見つけやすくなります。三顧の礼で迎えたくなるような優秀な人材もやってくるかもしれません。

前述のターゲティングの際に「優秀な人材」の定義を具体化していれば、そうした人材が応募してくる可能性もさらに高まるでしょう。  

2-2. 採用コストの削減につながる

もうひとつ期待できる成果として、採用コストの削減が挙げられます。マーケティングを意識しない採用活動に比べて、人材の定着率向上や採用広告費の削減が見込め、人事コストを総合的に減らす効果があるのです。

その理由は、ターゲティングにあります。採用マーケティングでは、ターゲットを絞り込んでアプローチします。そのため、利用する求人媒体や情報発信のツールを絞り込みやすいのです。

さらに、自社の特徴を効率的に発信すれば、採用した人材が短期間で退職してしまうというミスマッチが起こりにくくなると考えられます。会社へのエンゲージメント(愛着)の高い人材が入社することで定着率が上がれば、長期的にもコスト削減が期待できるでしょう。 ハイクラスな人材が多数登録。即戦力の採用はビズリーチ

3. 採用マーケティングに取り組むときに覚えておきたいポイント

最後に、採用マーケティングを開始するうえで心がけたいポイントを解説します。  

3-1. データを活用して採用活動の効率化を図る

従来型の採用活動では、どうしても採用担当者の経験や直感を重んじる傾向がありました。採用は人と人とのコミュニケーションであり、客観的な情報より直感が重要という価値観を持つ面接官も少なくないでしょう。

しかし、採用マーケティングでは客観的な情報(データ)を重視します。ニーズを客観的に把握するため、アンケート調査やインタビュー調査を行うこともあります。最近では人事・採用関連のアンケート調査を実施するリサーチ会社や人材会社も増えているため、そうした会社が出す情報に触れるだけでも求職者への理解が深まるでしょう。

また採用活動においてデータの活用を進めている企業では、採用管理システムを導入しているケースも増えてきています。情報共有と蓄積、場合によっては分析までをシステム上で行えるため、採用担当者はターゲティングや応募者の評価など、考える作業にリソースを集中させやすくなります。こうしたシステムの活用も検討するとよいでしょう。  

3-2. 魅力のある組織づくりを心がける

会社に魅力がなければ、いくらマーケティングやブランディングに磨きをかけたところで人材は集まりにくいでしょう。商品を売るためのマーケティングの大前提が商品自体の魅力であるように、採用マーケティングの大前提は会社自体の魅力です。

まずは自社の魅力を理解するようにします。この際、あくまで外部目線で魅力を分析してください。会社の内部にいるからこそ見える魅力ではなく、外部から見て本当に魅力的だと思えるような部分を見いだすように心がけるのです。そのためには、会社外の人(人材コンサルタントや学生など)にも、自社の魅力を挙げてもらうといいでしょう。

魅力を理解したら、その部分を強調するような形で組織を改善していきます。採用活動のみならず、事業においてもその魅力と矛盾しないことが重要です。  

3-3. 採用マーケティングの事例をチェックする

採用マーケティングを導入しようにも、具体例をチーム内や上司などに示さなければ始まらないということもあるでしょう。他社の事例を研究して自社も活用できそうな部分は積極的に取り入れてみる、他社の事例を参考にしつつ自社独自の手法を編み出すといった取り組みが有効です。

4. 採用マーケティングを取り入れて、採用力を上げよう

採用マーケティングは、優秀な人材を会社側から見つけ出すのではなく、優秀な人材側から来てもらうにはどうすればいいかを考える採用戦略です。

手法自体は従来の採用活動とそれほど大きく異なりませんが、その根元にある考え方が真逆と言っていいほど異なります。

採用活動にマーケティングの視点を取り入れることで、採用コスト削減や優秀な人材の採用などのメリットが見込めます。まずは、何をもって優秀な人材と定義するのか、自社の魅力は何なのかを分析するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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