インタビュー
2020/01/08
現場を巻き込んだダイレクトリクルーティングへ
年間400名超の採用実現に向けた、現場採用担当者との連携のポイント
2015年よりビズリーチ・ダイレクトを活用し、現場を巻き込んだ採用を進めているアビームコンサルティング。現場の採用意識変革に向けて、どんなアクションをとってきたのか。人事採用領域でご活躍されている近藤様に話を伺いました。

近藤桜氏

近藤 桜 氏
アビームコンサルティング株式会社
人事グループ タレントアクイジションチーム シニアアソシエイト

―現場を巻き込んだダイレクトリクルーティングを本格化、その理由を教えてください。

当社の中途採用は、常時10部門以上のポジションでニーズがあり、年間400~500名を採用しています。年々採用規模が拡大し、ニーズも多様化するなか、人材紹介会社経由のみではコストが増加するばかり。いかに適正なコストで優秀な人材を採用するかが重要でした。また、優秀な人材の採用を継続していくには、人材紹介会社ではあまり出会えない転職潜在層にもリーチしていく必要があります。新たな採用活動としてのダイレクトリクルーティングの推進は、自然な流れでした。

ただ、採用手法を増やせばその分工数がかかり、人事がすべて抱えるには限界があるでしょう。実際に、マンパワー上、一部の部門しか採用を進められず結果的に採用数をスケールできないという課題もありました。コスト削減と優秀層の獲得を両立しながら進めるには、現場との連携で業務の切り分けをする必要があったんです。

―現場との連携は、具体的にどんなアクションをとったのでしょうか?

まず当然ですが、採用ニーズのある部門と人事で連携して、ターゲットのすり合わせミーティングを行いました。現場が求める「優秀層」とは、どういうスキル・経験を持った、どんなタイプの人材なのか。ミーティングで細かく言語化し、市場感も踏まえながらターゲットを設定。その情報をもとに人事側でスカウトメッセージ送信候補者のリストを作成し、およそ週1のペースで現場に「どの方にスカウトを送信しますか」と判断してもらうフローをとりました。

つまり、現場はスカウト送信の判断をメインとし、そのほかの採用市場の情報や採用活動の進め方、効率的な方法、効果の見方などは人事が準備。きちんと切り分けて対応することで双方の役割を明確にしました。

また、現場の業務負荷をできるだけ抑え、人事からの提案にYESかNOで答えられるように当社における全体のフローを提示するなどの工夫をし、「ダイレクトリクルーティングに携わっても、そんなに大変じゃないんだな」と、心理的なハードルを取り除くことも意識しました。

―現場レベルでは、「採用は人事の仕事」という意識を持っている方も少なくないのでは。現場の意識をどう変えていきましたか?

もちろん、そういった意識はあると思いますし、人事は人事として習得しておくべき知識ややるべきアクションは当然あります。その前提で、採用は人事と現場双方で働きかけることが有効だとわかるファクトや他社事例情報をビズリーチや人材紹介会社などから提供してもらい、社内でも啓発するようにしています。

例えば、現場が採用の市場感を理解し、採用に関わったことでどう変わったのか、返信率・選考通過率などのデータ、取り組み方といった他社事例などを提供していただいています。自社の情報に閉じずに採用市場の情報を取り入れることで、現場が冷静に自社の状況を判断し、より効果的な採用活動を実行できるよう促すことを心掛けています。

ダイレクトリクルーティングにおいても、当社はそれまで人事のみでターゲットを設定し、スカウトを送り、面談まで対応することがありましたが、そうした場合、後の数値や結果が芳しくありませんでした。現場と連携している他社事例を参考にすることが、人事と現場の双方における危機意識の醸成につながったのかなと思います。

―現場がダイレクトリクルーティングに携わるようになり、現場と人事それぞれに意識や行動面でどのような変化がありましたか?

近藤桜氏

ダイレクトリクルーティングの肝となる選考への意志を問わない「面談」の理解は、まだまだ現場間で浸透差があります。ただ、面談官からは「候補者の転職への意欲に合わせる大切さを、だんだん肌で感じられるようになった」「エピソードを引き出すために候補者に寄り添う姿勢を見せることも大切だと思った」という声も寄せられていて、少しずつ手ごたえを感じています。

ダイレクトリクルーティングは通常の採用選考の応用編であり、少し視点を変えないとなかなかスムーズに取り組めないものなので、ターゲットがどこにどれだけいて、どの程度の採用難易度なのかということを理解してもらえるよう人事として準備をしています。現場が尽力しているのだから、私たち人事も当然、人事=オペレーション担当ではなく「採用力を高めるためのパートナー」として貢献できるよう努めています。

―現場を連携させる等の巻き込みを進めていくと「では、人事は何をしているのか?」という反発も生まれかねません。改めて、人事の役割とは何だと思いますか?

採用規模が大きくなればなるほど、人事だけダイレクトリクルーティングにパワーを注いでも採用のニーズは充足していきません。人事の役割は本来、経営戦略に基づいた採用・人材育成戦略の立案と実行です。リクルーターとしての機能は現場も含め複数人が対応できるような仕組みにし、人事はそれらに加えて選考の質の向上や、採用をよりスムーズにするインフラ・プラットフォームの整備など、環境づくりにも注力すべきだと思っています。

例えば今は、人材紹介会社との打ち合わせ時の手引き作成や、人材要件をより具体化するポイントのマニュアル化、選考フローの見直しなどに着手しています。当然、人事がいつでも採用業務を理解し、代理で行える力は保っているという前提です。

―現在の課題と、今後の取り組みについて教えてください。

データをさらに細かく分析した状態で蓄積し、課題に対して常に素早く動ける態勢にしていきたいです。採用がうまくいかない場合は、ターゲット設定に問題があるのか、スカウトの文面に問題があるのか、面接対応の質の問題なのか。データ分析によって改善点を可視化していきたい。それらを活用し「この部門では、ここを改善して採用につながりました」と提示できれば、社内の相乗効果が高まっていくと考えています。

将来目指したいのは、採用に携わる社員皆が魅力的なリクルーターになっている状態です。「うちで働くとこんなキャリア価値が得られる」「他の組織にはないこんな強みがある」など、会社の魅力を自分の言葉で伝えられる人が増えれば増えるほど、組織は強くなっていく。そして、社員一人一人が広告塔となり、人の魅力で選んでもらえる会社になっていければいいなと思っています。

HR REVIEW について

「戦略人事が、企業の未来を変える」

産業構造の転換や労働力人口の減少など、企業経営を取り巻く環境が大きく変わるなか、
持続的な企業成長に不可欠なものは、人事の"戦略"であると、HR REVIEWは考えます。

「人事は人を採用すればいい」という考えではなく、
事業を成長させるための採用・育成・配置といった戦略が、今後の持続的な企業成長においてより重要性を増していきます。

ダイレクトリクルーティングの第一人者として企業の主体的な採用を支援してきた株式会社ビズリーチが送る
「HR REVIEW」は、事業をドライブさせる、戦略的な人事の皆さまに"気づき"をお届けするWebメディアです。