人事課題
2020/03/17

企業における人材育成とは? 悩んだときに振り返りたい人材育成の基本

企業における人材育成とは? 悩んだときに振り返りたい人材育成の基本

企業にとって人材育成は、事業が安定して成長していくために欠かすことのできない経営戦略のひとつ。一方、人材育成の重要性は認識していても、人材育成を戦略的に行うことができずに課題を抱えてしまうこともあるでしょう。本記事では、企業における人材育成がうまくいかない背景にある課題とその解決方法について紹介します。

1.企業が人材育成を行う目的とは

企業経営において、事業を推進するのはそこで働く「人」であり、人材育成は、企業の業績向上につながるなど、経営を支える重要な役割を果たします。ここでは「人材育成の目的」について、あらためて紹介します。

1-1.社員のスキル向上

人材育成の目的のひとつは、「社員のスキル向上」です。人材を育て、社員一人一人のスキルを向上させることで業務効率化が期待できます。そして生産性の改善による売り上げアップや、コストの削減による利益率の向上などが見込めます。

加えて、社員のマネジメントスキルなど高度なスキルが上達すれば、新しい事業の立ち上げなども可能となるため、事業拡大のチャンスが広がり、さらなる業績の拡大が期待できるでしょう。

1-2.社員のモチベーション向上

さらに、人材育成はスキル向上だけでなく、「社員のモチベーション向上」にも効果的です。人材育成を通じ、社員のモチベーションを向上させることで、新しいことに挑戦する意欲も向上し、既存事業の改善だけでなく、イノベーションの創出につながる可能性もあります。また、モチベーションの向上は社員の離職率を下げる効果も期待できます。社員の定着は、離職による生産性の低下を防ぎ、結果的に教育コストや採用コストなどの削減にも効果が見込めるでしょう。

1-3.企業のリスクマネジメント

さらに、人材育成は「企業のリスクマネジメント」の一部ともいえます。一人一人の人材が育つことで、大小さまざまな問題に直面したときにも、担当者レベルで適切な判断や対応が柔軟にできるようになり、リスクを最小限にとどめることができます。さらに前述した社員のスキル向上やモチベーション向上なども加わり、企業が安定的かつ継続的に成長するための職場環境づくりへとつながるのです。

関連情報(https://bizreach.biz/media/14442/)

2.企業の人材育成の理想と現実

企業・団体のHR(人事)領域に関する調査・研究機関であるHR総研(運営:ProFuture株式会社)では、毎年「人材育成で扱っているテーマ」についてのアンケート調査を実施。ここでは、その調査結果から導き出される、企業の人材育成の現実と今後について紹介します。

【参考】
HR総研:人材育成「テーマ別研修」に関するアンケート調査 結果報告

2-1.現在実施している人材育成の研修テーマ

「実施しているテーマ別研修」のアンケート調査の結果では、最も多かった回答が「コンプライアンス研修(57%)」。次に「ハラスメント研修(48%)」、「メンタルヘルス研修(45%)」が続き、上位はリスクマネジメントに関する研修が占める結果となりました。

2-2.今後強化したい人材育成の研修テーマ

次に、企業が今後強化する予定の研修でトップを占めたのは、「リーダーシップ研修」(30%)となり、2位の「ハラスメント研修」「コンプライアンス研修」(どちらも19%)と約10ポイントの差が表れました。企業は次世代リーダーやマネジメント層の強化を図りたいと考えているようです。

これらの結果から、人材育成の一環として研修の実施はできているものの、企業として「やらなくてはならない」研修テーマが優先されてしまい、本来やりたいと思っている研修テーマまで対応できていない現状がうかがえます。

関連情報(https://bizreach.biz/media/14950/)

3.企業が抱える人材育成上の課題とは

人材育成やそのための研修を実施したいと思っても、実際にはうまくいかないケースもあります。ここでは、企業が人材育成をする際に課題となる「障壁」について、説明をします。

3-1.現場業務が優先されてしまう

日常の業務に忙しく、人材育成のための時間が確保できない、また、研修に参加するため現場を離れてしまうと業務が普段通り回らず事業活動に支障が出る、といったことが該当します。これらは、人手不足などリソースの問題に起因しますが、それだけではなく、マネジメント層や現場レベルで、人材育成の重要性に対して理解がないといった企業風土の問題もあるでしょう。

3-2.適切な指導者が社内にいない

次に挙げるのは「指導者」の問題です。指導者が人材育成の本質を理解せず、適切な指導ができていない場合、逆に、部下のモチベーション低下などを招きかねません。人材育成は「育成される側」以上に、「育成する」側の意識やスキルが重要なのです。

3-3.コストの問題

人材育成に時間やコストをかける以上、その効果を考える必要があります。しかし、人材育成をしたからといって、すぐに業績向上につながるとは限りません。つまり費用対効果を測ることは非常に困難であり、その結果、投資すべきかの決断ができない人材育成担当者も少なくないのです。

関連情報(https://bizreach.biz/media/12228/)

4.人材育成プログラムに重要なPDCAサイクルの導入

PDCAサイクルとはPlan(計画)・Do(実行)・Check(測定・評価)・Act(対策・改善)のプロセスを循環させることで、マネジメントの品質を高めるフレームワークのことです。人が育つには相応の時間が必要となるため、単発の研修だけで大きな成果を期待するのは難しいでしょう。人材育成においては、PDCAサイクルをうまく循環させることが大きな成果につながっていきます。ここでは、人材育成における中・長期的なPDCAサイクルのポイントを説明していきます。

4-1.Plan段階のポイント

人材育成におけるPlan段階では、まず現状の人材育成の課題を考えることから始めます。経営者側のみで課題を考えるのではなく、アンケートなどを利用して「従業員側の意見」を聞くことも効果的です。

次に、人材育成の目標を考えていきます。人材育成の目標を考える際には、現状の課題から導き出される理想の人材像を明確にすることが大切なポイントです。人材育成の目標が定まったら、その目標を達成するための人材育成のプログラムを考えていきます。

人材育成のプログラムを考える際には、育成に強い人材や外部の専門家の力を借りることが選択肢として考えられるでしょう。プロの力を借りることで、自分たちでは気付くことのできなかった点も補える可能性があります。またPlan段階においては、まだ社内の風土や人材育成に対する理解度は変わっていませんので、その点も考慮しながら人材育成の計画立案を進めていくことも重要なポイントです。

4-2.Do段階のポイント

Do段階では、まず計画に沿って人材育成プログラムを実施します。その際、人材育成プログラムの内容について、受講者だけではなく、受講者の上司などにも内容が共有されていることが望ましいです。そうすることで、職場全体を巻き込んだ人材育成の環境が醸成されるだけでなく、実際の業務においても人材育成プログラムの内容を活用することが可能になります。

そして、人材育成プログラムを実施した後は、人材育成プログラムに対する評価を実施します。受講者の成果を評価するだけでなく、受講者からの受講後の意見を吸い上げることも大切です。双方向の評価を繰り返していくことで、より完成度の高い人材育成プログラムが出来上がっていきます。この段階では、受講後の受講者への知識・学びの定着ができるよう、現場状況やフォローに気を配りましょう。

4-3.Check段階のポイント

Check段階では、人材育成の「成果」について考えることから始めます。この際にポイントとなるのが、多角的に成果を捉えること。研修後の仕事ぶりなどについて、周囲の人からも声を聞くことなどが大切です。視点の違う多くの意見を聞くことで、人材育成の成果に対してより客観的な分析が可能になります。

人材育成の成果についての洗い出しが終わったら、次に人材育成プログラムの改善点を考えましょう。改善点を考える際には、Do段階で吸い上げた受講者からの意見も取り入れながら、アップデートを重ね、より成果の出やすいプログラムへと改善していきます。

Check段階で重要となるポイントは、さまざまな角度から成果や改善点を検討することです。評価を行う人がどんなに優秀であっても、完璧な評価ができる人はいません。より多くの意見に耳を傾け、多角的に判断することが大切です。

4-4.Act段階のポイント

Act段階では、Check段階の検討を基に、優先課題を決定していきます。このとき、あまり多くの課題を選んでしまうと方向性が定まりにくくなり、中途半端な結果になってしまうので注意が必要です。

その後は、決定された優先課題に対して、課題の解決策を人材育成プログラムに反映させていきます。企業の価値観や、経営における重要課題とずれたプログラムにならないように意識するとよいでしょう。

5.採用難の時代に欠かせない、人材育成の強化

人材育成に取り組むことによって得られる効果は、研修を受けた社員が成長するだけではありません。社員一人一人の成長を思い、人材育成に取り組む会社では、社員のモチベーションも向上します。会社に対するエンゲージメントも高まり、人材が定着するでしょう。また、魅力的な人材育成プログラムは、その会社に入社したいと思う「魅力」のひとつとなり得ます。

この先も続くと考えられる採用難を乗り越えるためにも、人材育成の強化は検討すべき取り組みでしょう。

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