人事課題
2020/09/15

オンボーディングとは?中途入社者の即戦力化と定着のための施策・事例を紹介

オンボーディングとは?中途入社者の即戦力化と定着のための施策・事例を紹介

日本全体で人手不足が広がるなか、新卒採用だけでなく、中途採用に力を入れる企業が増えてきています。しかし、「即戦力人材」と期待して採用したが思うように活躍してもらえなかったり、職場に馴染めず早期に離職してしまったりと、中途入社者の活躍や定着について課題を抱えている採用担当者も少なくありません。

中途入社者がいち早く職場に慣れ、十分にパフォーマンスを発揮できるようになるかどうか、カギを握るのは「オンボーディング」です。オンボーディングとは、新しく組織に入った中途入社者に職場に慣れてもらい、自身のスキルを発揮して活躍してもらえるまでの一連のプロセスを指します。

この記事では、オンボーディングとは何か、なぜ今注目されているのか、具体的なオンボーディングの取り組み事例などについてお伝えします。

1. オンボーディングとは?

オンボーディングイメージ写真

オンボーディングは直訳すると、「船・列車・飛行機に乗り込んでいる」という意味になります。そこから派生して人事用語としては「新入社員を職場に配置し、組織の一員として定着させ、戦力化するまでの一連の受け入れプロセス」のことをいいます。

またマーケティングの文脈では、何かしらのサービスの新たなユーザーとなった顧客に対し、そのサービスで得られる体験の満足度を高め、継続的な利用を促すための一連のプロセスをオンボーディングと呼びます。

この記事では、人事用語としての「オンボーディング」について解説していきます。

従来、新卒一括採用を前提とした組織では、新卒の新入社員を対象に一斉研修を行うのが一般的でした。しかし採用の考え方や方法は多様化し、若手から幹部層まであらゆる層が中途採用で入社することも珍しくありません。

オンボーディングの対象は、新卒者に限らず全ての新入社員。組織への定着・戦力化を促す継続的な取り組みであることがオンボーディングの特徴です。

2. オンボーディングが注目される背景

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ではなぜ今、オンボーディングが注目されているのでしょうか。

背景の一つとして、即戦力として採用された中途入社者の定着の課題があります。人手不足のなか中途入社が一般化し、即戦力人材を求めて中途採用を行う企業も多いでしょう。

しかし即戦力とはいえ、これまでとは仕事のやり方や取り巻く環境、社風などさまざまな要素が異なる状況下で力を十分に発揮することは容易ではありません。周りのメンバーから適切な支援が受けられないことで仕事がうまくいかず、早期離職につながってしまうことも。そのような事態を防ぐため、中途入社者のオンボーディングが注目されているのです。

流れの速い社会のなかでは、戦力として成長するまでの時間を短くする必要があることも、背景の一つに挙げられるでしょう。

3. オンボーディングの実施メリット

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新入社員に対するオンボーディングを実施することで得られるメリットは多くあります。例えば以下のようなメリットが考えられます。

  • 新入社員の即戦力化
  • 職場に対するストレスの緩和
  • 早期離職の防止
  • 社員のエンゲージメント向上
  • 採用にかかる費用の削減
  • まず挙げられるのは、新入社員の即戦力化ができること。いくら即戦力を期待されて入社していたとしても組織の一員として適応できなければ、その人が持つ力は十分に活用されないでしょう。いち早く中途入社者が会社に馴染むことで、即戦力人材としてスキルを十分に発揮してもらうことができます。

    中途入社者は、多かれ少なかれ新しい職場にストレスを抱えることが多いでしょう。新しい人間関係や仕事環境に馴染めないままでは、さらなるストレスがかかります。オンボーディングを適切に実施することで、ストレスの緩和になり、早期離職の防止にもつながるのです。

    オンボーディングが適切になされた組織では、社員のエンゲージメントも高まると考えられます。エンゲージメントが高まることで離職率の低下や、リファラル採用(リファーラル採用)などへの協力姿勢も高まる可能性があります。結果的に、組織全体として採用にかかる費用の削減につながるでしょう。

     

    4. 内定〜入社後まで。ステップ・状況ごとのオンボーディング施策

    ここからは、実際にオンボーディングを行うステップと施策についてお伝えしていきましょう。オンボーディングのステップを考えるにあたっては、「組織社会化」という概念を参考にできます。

    組織社会化とは、社会への参入者がそこの文化等にいかに慣れていくか、その過程のこと。組織社会化の段階には以下3つのプロセスがあり、オンボーディングを考える際にも当てはめられます。

      1.予期的社会化(入社前)
      2.組織適応(入社後、会社に慣れる段階)
      3.役割管理(他の職場や家庭との調整を行う段階)

    関連情報(https://bizreach.biz/media/saiyo-newnormal4)

     

    4-1. 内定〜入社前のフォロー・情報提供

    オンボーディングは、「入社前」から始まっています。

    株式会社リクルートキャリア「中途入社後活躍調査(2018-2019)」によると「入社前に人事とコミュニケーションを『した人』と『していない人』を比較すると、パフォーマンス発揮者の割合に約20ポイント以上の大きな差が見られた」 とされています。

    内定が決まってから入社までには、期間が空く場合があります。この期間では、中途入社者が抱く入社前の不安や疑問を解消し、リアリティショック(入社前の期待と入社後の現実の隔たり)を避けるために「現実的な仕事の情報」を提供していく必要があります。

    【参考】「個」の力を最大限に引き出すマネジメント 中途入社者活躍支援メソッド丨中途入社後活躍調査(2018-2019)

     

    4-2. 入社初日

    入社初日は、中途入社者がその会社の印象や、自分がどのように受け入れられているかについてリアルに感じとる重要な機会です。モチベーションを高く維持してもらい、速やかに即戦力になってもらえるかは、入社初日がカギを握るといってもよいでしょう。

    初日は、業務の説明や部署への紹介、研修スケジュール等の確認など、あらかじめプログラムを組んでおき、スムーズに進められるよう準備しましょう。チームのメンバーとのランチをセッティングするなど「歓迎していること」をしっかり伝えることも大切です。

    4-3. 入社後1カ月〜数カ月

    入社後は、座学での研修やOJTによる教育など、企業によってさまざまなステップがあるでしょう。一方的に情報提供するだけでなく、1カ月〜数カ月単位で、振り返りを行い、抱えている課題や認識のすり合わせを丁寧に行うとよいです。

     面談の有無がパフォーマンスに影響を与えていることが分かります。

    また社内の環境に慣れていない場合、既存社員ならすぐに見つけられる資料がなかなか見つけられなかったり、メンバーの顔と名前・役割などが一致しなかったりなどの課題が発生するかもしれません。そのような課題に配慮することも大切です。

    4-4. オンボーディングをオンラインで行う場合

    昨今の状況下では、採用からオンボーディングまで、多くの場面をオンラインで完結させる企業もあるでしょう。オンラインの場合、既存社員との人間関係づくりや、同時期の中途入社者同士の人間関係づくりを工夫する必要があります。

    オフラインでは、偶発的なコミュニケーションが発生したり、既存社員が意識して気にかけたりしてくれるでしょう。しかしオンラインでのコミュニケーションは、より計画的に行われるのが基本。具体的な情報は伝わりやすい一方で「感情」が伝わりづらい特徴もあります。そのためオンラインでのコミュニケーションでは、親近感を持ちにくいというハードルがあります。

    研修を行う際のチームは共通点がある人同士を組ませるなど、オフラインより丁寧にグルーピングを行うとよいでしょう。

    関連情報(https://bizreach.biz/media/saiyo-newnormal4)

     

    5. オンボーディング取組事例

    オンボーディングイメージ取組み事例

    最後に、具体的なオンボーディングの取り組みを取材した、2つの企業の事例記事をご紹介します。

    5-1. AI inside 株式会社

    「世界中の人・物にAIを届け、豊かな未来社会に貢献する」というミッションのもと、AI事業のトップランナーとして業界をリードしているAI inside株式会社。採用段階からオンボーディングを意識した独自の採用手法を取り入れています。

    “面接において大切にしていることの一つに、候補者に対して、自分が「セーフティーネット」であることをしっかり伝えるというものがあります。「万が一何があっても、この人がいるなら大丈夫」と思って、それが入社を決める一つのきっかけになっていたらうれしいですね。もちろんこれは、入社後、会社の一員となったメンバー全員に対しても同じ思いで接しています。
    入社前にどれだけすり合わせても、実際に入ってみると、ギャップや想像通りにいかないことが必ず生まれてしまうものです。その問題を解消せずに仕事を続けても、本人のパフォーマンスやモチベーションは下がり、会社からの評価も下がりかねません。そうした負の連鎖を生まないように、どんなに小さな粒度であっても、気になることは必ず声を上げてもらうようにしています。”  (記事本文より引用)

     

    ▼記事はこちら▼

    関連情報(https://bizreach.biz/media/aiinside2)

     

    5-2. 富士通株式会社

    2019年9月、「IT企業からデジタルトランスフォーメーション企業への転身を目指す」と表明した富士通株式会社。事業方針の転換だけにとどまらず、信頼されるDXパートナーとなるべく、社内プロセス、カルチャー、人事制度などの全面的な改革も進めています。特に変化の原動力となる「キャリア人材」のオンボーディングを強化しています。

    “キャリア人材が活躍・定着するまでの期間を短縮し、より早期にパフォーマンスを最大化できるよう、2019年9月から、入社後90日間のフォロー体制を構築しました。一人一人に専任のアドバイザーがつき、入社時のオリエンテーションだけでなく、現場配属後も個々に合わせたサポートをしています。” (記事本文より引用)

     

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    関連情報(https://bizreach.biz/media/fujitsu)

     

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