人事課題
2020/09/23

メンター制度の目的を再確認。社員の成長・定着につながる施策を紹介

メンター制度の目的を再確認。社員の成長・定着につながる施策を紹介

現場の社員や人事担当者が課題を抱えることも多い「メンター制度」。

新卒社員や若手の中途社員へのサポートの一環として制度化することが多い施策ですが、メンターとなる社員の業務負担が大きくなったり、メンター(支援をする先輩)とメンティー(支援を受ける後輩)の相性によっては逆効果になったりと、なかなか理想通りに運用できず、悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、メンター制度についての基本的な知識をお伝えしつつ、メンター制度の「メリット・デメリット」や「目的」を再確認。メンター制度の改善または新たな方針を打ち出すための手がかりとなる観点をお伝えします。

▼「中途入社者の定着」については、こちらの資料もご覧ください▼

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1. メンター制度とは

メンター制度とは、厚生労働省の資料によると以下のように定義されています。

“メンター制度とは、豊富な知識と職業経験を有した社内の先輩社員(メンター)が、後輩社員(メンティー)に対して行う個別支援活動です。キャリア形成上の課題解決を援助して個人の成長を支えるとともに、職場内での悩みや問題解決をサポートする役割を果たします。”

引用:女性社員の活躍を推進するためのメンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル(厚生労働省)

メンターがメンティーに行う成長支援を「メンタリング」と呼びます。

制度としては「月1回60分、入社1年経過まで継続的に面談を行う」などとガイドライン化する企業が多いです。

新入社員の育成においてメンターは、部署の直属の「上司」や、日常の教育指導を担当する「OJT担当者」などではなく、日々の業務ではあまり接点のない社員が適しています。 メンターとメンティーは、双方向に対話を行う関係性であることがポイント。上司が業務の指示・命令を行い部下がそれを遂行するなど、具体的な業務を介した関係性とは一線を画します。

「他部署・他チームの先輩社員」がメンターとなることで、働くなかでのリアルな悩みの相談がしやすくなったり、キャリアについての視野を広げたりすることにつながるので、人材育成・キャリア成長においては「斜めからの支援」といえます。

【参考】女性社員の活躍を推進するためのメンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル(厚生労働省)

2. メンター制度の目的

ここではメンター制度の目的を確認してみましょう。目的によっては、メンター制度以外の選択肢が考えられる場合もあるので、目的を改めて意識することが大切です。

2-1. 新卒社員や中途入社者(メンティー側)の定着・成長

メンター制度の目的として挙げられるのは、新卒社員や中途入社者の不安・悩みを解消すること。

職場への不安がなくなることで、パフォーマンスを十分に発揮できる効果もあるでしょう。メンター社員のフォローによって早期離職を防ぎ、新入社員の定着・成長を促すことはメンター制度の大きな目的の一つです。

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2-2. メンター自身のキャリア成長

もう一つ目的として挙げられるのは、メンター社員の新たな経験にしてもらうこと。

メンター社員が管理職などマネジメントの役割を担うようになったとき、メンター経験を活用してもらうことができます。メンター自身のキャリア成長も、メンター制度の大きな目的の一つです。

関連情報(https://bizreach.biz/media/11883)

3. メンター制度のメリット・デメリット

ここからは、人事担当者目線で、メンター制度にはどのようなメリット・デメリットがあるか整理していきましょう。

3-1. メンター制度のメリット

メンター制度のメリットとしてまず挙げられるのは、直属の上司や先輩に聞きにくい質問をメンター社員に対してすることで、疑問や不安が解消され、メンティー側の社員のオンボーディングがスムーズに進むことです。

また、メンター制度の期間が終了しても、所属部署以外に相談できる相手がいることで、心理的安全性が高まります。早期離職の防止・新入社員の定着にもつながるでしょう。

ほかにも、メンター社員に対するメリットもあり、メンター社員は、メンティーに対して相談に乗ったり、サポートしたりするなか中で、組織・仕事への責任感が高まるでしょう。管理職になった際に生かせる経験を積んでもらえるという点でも、メンター社員に対するメリットです。

3つ目のメリットとして挙げられるのは、厚生労働省の人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)を受けられる可能性があることです。

この助成制度は、雇用管理制度(メンター制度を含む5つの制度)の導入等による雇用改善を行い、人材の定着・確保を図る際に助成されるもの。雇用管理制度整備計画の作成、認定を受けた上で制度導入を行い、適切な運用を経て、従業員の離職率が低下(=目標達成)した場合に「目標達成助成」を受けることができます。詳しくは下記の参考リンクをご覧ください。

【参考】人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)|厚生労働省

3-2. メンター制度のデメリット

メリットを列挙すると納得できる点もある一方、メンター制度にデメリット・課題を感じている人も多いのではないでしょうか。 メンティー側に発生するデメリットとして挙げられるのは、直属の上司とメンターの両方から指示やサポートがされることで「2人上司状態」になりやすく、混乱が生じる可能性があることです。

メンターは“上司”ではないとはいえ、特に、まだ緊張状態が抜けない新入社員にとっては、メンターに対しても上司のように感じることがあるでしょう。メンターとなった社員には「メンティーの上司とはどのような役割の違いがあり、メンティーに対してどのように接するとよいか」整理して伝えたうえで、制度運用することがポイントになります。

メンター側のデメリットは、業務的負荷が増えることが挙げられます。忙しい業務の調整をしてメンター制度に取り組んでもらうには目的意識を持ってもらうことが大切です。

またメンターとメンティーが顔を合わせる機会は限られているため、信頼関係を構築するのに時間がかかる場合があります。なかなか信頼関係が築けない場合は効果も薄くなってしまうことも。メンターとメンティーの相性の善しあしで成果にばらつきが出てしまうことも、デメリットの一つでしょう。

4. メンター制度と類似制度の違い

メンター制度と類似する制度として「OJT」や「ブラザー・シスター制度」といったものがあります。それぞれどのように違いがあるのでしょうか。一つずつ説明していきます。

4-1. OJT

OJTとはOn-the-Job Trainingの略。新入社員が実際の現場において、上司や先輩社員から実務指導を受ける形での教育訓練のことを指します。 メンター制度は、メンタル面など「キャリア形成上の課題解決」を援助することで人的な成長を促す一方、OJTでは基本的に、「該当部署の先輩社員による実務指導がメイン」である点でメンター制度とは異なります。

4-2. ブラザー・シスター制度

メンター制度と混同しやすいものとして、ブラザー・シスター制度が挙げられます。先輩社員が後輩社員のメンタル面などのサポートを行う点では似ていますが、ブラザー・シスター制度では新入社員と「同部署の先輩」が担当するのが一般的。そのため、サポートの内容も、実務に寄ったものが多くなるでしょう。 また、メンター制度は新卒社員や中途入社者などさまざまな層が対象となる一方、ブラザー・シスター制度は新卒社員のみに適用する場合が多いという違いもあります。

5. メンター制度の事例

ここからは、実際にメンター制度を導入している企業の事例をご紹介していきます。

5-1. 株式会社高島屋

まずご紹介するのは、老舗百貨店の株式会社高島屋(以下、高島屋)のメンター制度です。

“入社4年目のメンティーを、異なる部門の入社10年目前後のメンターが指導することにより、主体的なキャリア形成を促進していきます。また、2018年度より正社員への登用を目指す契約社員にも対象を拡大しています。”

引用:人材育成|従業員|CSR|企業情報|高島屋

高島屋では、メンター制度を導入することで、メンティーに対してはキャリア形成意欲の喚起、メンターに対してはマネジメント力の向上など、双方向にとってのキャリア形成促進を行っているようです。

5-2. 株式会社メルカリ

フリマアプリを運営する株式会社メルカリ(以下、メルカリ)では、新卒社員に対してメンター研修が行われています。メルカリの新入社員「Merookie(メルーキー)」と呼ばれ、Merookieをサポートする社員をメンターといいます。

“研修のメインコンテンツは、メンターとMerookieがペアで行うワークショップ。自己紹介から始まり、人生で一番感謝していること、自分がどのような人生を歩んできたかの共有、そして、なぜメルカリに入社したか・どういった挑戦をしたいかなど、仕事に対する価値観を話しました。”

引用:誰もが活き活きと働けるチームづくりとは?メンター研修が開催されたよ #メルカリな日々 | mercan (メルカン)

多くの外国籍社員など多様なバックグラウンドを持つ人材を擁する、メルカリならではの取り組みといえるでしょう。

6. メンター制度はいらない?上手くいかない原因と解決法

メンター制度は、うまく運用できると離職防止や社員の成長につながりますが、上手く運用できないと逆効果になってしまい、運用次第で明暗が分かれる制度です。 ここでは「なぜメンター制度がうまくいかないのか」を分析します。自社におきかえて、当てはまるものがないか分析してみましょう。 メンターとメンティーの相性が悪いからという理由で終わらせず、うまくいかない原因と考えられる根本的な事象について考えることが大切です。

6-1. 表面的な会話に終始してしまう

原因としてまず挙げられるのは、メンタリングでの会話が表面的なものに終始してしまっていること。普段は別々の部署で仕事をしており、日常業務では接点のないメンターとメンティー。そもそも信頼関係を築くことが難しい場合があるでしょう。深く信頼していない相手には、特にキャリアや個人的な悩みは打ち明けられず、結果、表面的な会話や雑談で終わってしまうのです。 メンター制度を運用するなかで、徐々に信頼関係が構築できるよう制度設計するとよいでしょう。

6-2. メンター制度の効果がわからない

メンター制度におけるメンタリングは、メンターとメンティーの2者で行われます。実際の運用状況は人事側からは見ることができません。メンタリングによってどのような効果が出たのか、人事担当者も当事者の社員も、はっきりとは分からないことが多いでしょう。 効果を可視化するには、メンタリング期間の中間でフォローアップのセッションを行うなど、期間の最後に発表機会を設けるのも一つです。

6-3. 業務が忙しくメンター制度へ取り組む優先順位が下がっている

メンターになる社員が、入社4年目以降の中堅社員の場合、通常業務が忙しくなってくることに加え、メンター制度の効果が分からないことも相まって、取り組むモチベーションが下がっている場合があるでしょう。メンティーだけでなく、メンター側も効果が実感できるようなフォローの仕組みを設計し、メンター制度への優先順位を上げていくことが大切です。

7. メンター制度以外の「人材の定着・成長につなげる施策」

メンター制度の他にも、中途入社者・若手社員の不安を払拭して社員の定着・成長につなげたり、既存社員の成長を促したりするさまざまな施策が考えられます。 例えば、新たに採用を行うことで既存社員への刺激になったり、外部からの副業・兼業人材を受け入れたりするのも一つの手です。 ここからはメンター制度以外の人材の定着・成長につなげる施策について、ご紹介します。

7-1. 社員同士の偶発的なコミュニケーション機会を増やす

メンター・メンティーのような、直接的な業務を介さない先輩・後輩関係は、職場で自然と発生することもあるでしょう。そのような関係性を制度的に作り上げるのが、メンター制度です。 メンター制度を導入しなくても、他部署の社員同士や、メンター・メンティーとなるような人たち同士のコミュニケーション機会を増やす工夫をすることで、メンター制度で実現したいことが自然と達成できることもあります。

7-2. 中途入社者のオンボーディングに力を入れる

中途入社の社員の育成・定着が目的の場合「オンボーディング」に力を入れるのも一つの方法です。オンボーディングとは、新入社員を職場に配置し、組織の一員として定着させ、戦力化するまでの一連の受け入れプロセスのことを指します。 採用の段階からオンボーディングを意識し、採用と育成の連動を行うことがポイントです。オンラインでのオンボーディングについては、以下記事もご覧ください。

関連情報(https://bizreach.biz/media/saiyo-newnormal4)

7-3. 副業・兼業人材の受け入れ

外部人材からの刺激で、社員のモチベーション向上・成長を促すのも方法の一つです。副業や兼業の形で社外から人材を受け入れることで、さまざまな強みを持った人材と社員の交流が生まれます。副業・兼業をする人材にとっては実践的な成長機会になり、既存の社員にとっても刺激になるでしょう。

7-4. 優秀な人材を登用する

優秀な人材の登用も既存社員に対する刺激になります。優秀な人材が現れることによって社内に競争原理やスキルの共有が生まれるからです。既存社員や若手社員の成長のためだけでなく、企業全体のスキルアップ・成長につながることが期待できるでしょう。

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