採用課題
人事課題
2020/11/17

「人材」の定義は?人材はどのように採用・育成するのがいいのか

「人材」の定義は?人材はどのように採用・育成するのがいいのか

「人材」は、企業活動に欠かすことのできない大切な「人的資源」です。近年は、人材は育成のための投資を行い、価値を高めていく「人的資本」であるという考え方も生まれています。この記事では人材という言葉の定義から解説し、企業活動のなかでの人材ポートフォリオ、人材フロー、人材の採用や育成について解説します。

1. 「人材」という言葉の定義

人材のイメージ

人材の「材」という字には、原料、材料、木材といった意味のほかに素養、才能のある人といった意味があります。企業における「人材」は、仕事を遂行する能力を備えていて、かつ企業活動に貢献する才能のある人を指します。

人材は英語でいうと「human resource」にあたる概念です。企業活動のための単なる材料ではなく、大切な価値のある「人的資源」という意味合いがあります。

2. 「人財」とはどう違う?

人材のイメージ

近年は、「人材」の代わりに「人財」という漢字を使う企業もあります。「財」という字には宝、値打ちのある物、金銭といった意味があるため、人財は企業が従業員を宝だと考えているという思いが込められた言葉だといえます。

人財を英語でいうと「human capital」となります。育成のための投資を行って価値を高めていく「人的資本」という意味合いがあるため、従業員の育成にコストをかけて成長を促している企業は、そうした意味を込めて人財という言葉を使用することがあります。

ただし、「人財」は当て字であり、本来の書き方は「人材」です。人材という言葉を使っていても実際の従業員への思いや理念は「人財」という言葉に近い場合もあり、使い分けは企業ごとの判断によるのが実情です。

3. 人材ポートフォリオを作り、社内に必要な人材はどのような人か考える 

人材ポートフォリオのイメージ

企業において必要な人材は、どのような考えに基づいて定義すればよいのでしょうか。まずは人材ポートフォリオを策定することから紹介します。

3-1. 人材ポートフォリオとは

ポートフォリオはもともと「お札を入れる財布」という意味のイタリア語が語源です。現在はさまざまな意味で使われていて、例えばカメラマンやイラストレーターは自分が制作してきた作品集という意味で使い、投資家は保有している金融商品の構成という意味で使っています。

人材ポートフォリオは、組織に必要となる人のタイプ・レベルとその構成比を表すものです。人材ポートフォリオによって、企業は組織を構成する人材についての方針を規定します。

3-2. 人材ポートフォリオを決める軸はさまざま

人材ポートフォリオは会社の状況、企業風土、事業モデルなどに応じて策定していきます。二つの軸を用意してセグメント分けを行うのですが、軸を何にするかが重要です。下記は普遍性の高い「チーム↔個人」と「新しい価値↔既存の手法」の軸を用いた人材ポートフォリオのイメージ図です。軸を決めたら、セグメントごとの構成比を決めます。

■人材ポートフォリオのイメージ図

人材ポートフォリオのイメージ図

参考: 曽和利光著『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』p.24, 図1-6, ソシム刊

個人プレーがあまりない会社の場合は、「チーム↔個人」の軸の代わりに「短期↔長期」や「コミュニケーション↔論理的思考」など、自社の事業戦略に沿った独自の軸を設定するとよいでしょう。

3-3. 組織の成長段階によって人材ポートフォリオは変わる

人材ポートフォリオは一度策定すれば永年活用できるものではありません。組織の成長段階によって、事業戦略は変わります。そうすると連動して人事戦略も変わるため、人材ポートフォリオは見直しが必要になります。

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4. 人材フローを作り、組織における人の流れを考える

組織における人の流れのイメージ

人材ポートフォリオとともに人材戦略の要となるのが人材フローです。人材フローについて、策定方法を解説していきます。

4-1. 人材フローとは

人材フローとは、組織における人の流れを表したものです。新しい人をどの段階からどのくらい採用し、どの段階でどのようにして出す(退職させる)かをパーセンテージで示し、表すのが人材フローです。

4-2. 人材フロー戦略を策定する

人材フロー戦略を策定するには、まず自社では人材ポートフォリオの各セグメントにどのくらいの人材が在籍しているのかを概算し、現状を把握します。そこで理想の構成比率とのギャップを認識したうえで、ギャップを埋めるための施策として人材フロー戦略を考えていきます。

人材フローを検討する際は、採用比率、外部流動性、内部流動性の考え方を決めていきます。採用比率は新卒と中途採用や、正規社員と非正規社員の割合です。

また、外部流動性は外資系のように「Up or Out」(昇進するか、退職するか)的な入れ替わりの激しい組織をよしとするか、従来の日本企業のように長く所属し続けるような組織をよしとするかの違いです。内部流動性は、一人の人材を同一部署や同じ職種内で異動・昇進させるか、部署や組織をまたぐ横移動の配置転換をするかの違いです。昇格率についても、ここで検討します。

その後新卒採用や中途採用の目標値を設定すれば、具体的な採用の目標数や採用したい人物像が自動的に浮かび上がってきます。

下記は人材フローの考え方を図式化したものです。企業によって、それぞれの矢印のなかに入るパーセンテージは異なってきます。

■人材ポートフォリオのイメージ図

人材ポートフォリオのイメージ図参考:曽和利光著『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』p.27, 図1-10, ソシム刊

5. 人材はどのように採用すべきか?

人材の育て方

 

企業の人事戦略において、人材の採用は最も重視すべきものです。採用活動を行う際に決めておきたい採用ポートフォリオについて解説します。

5-1. 採用を最も重視すべき理由

人事戦略においては、採用が最も重視すべき項目です。優秀な人材を採用できれば、能力を発揮できる適切な配置を行うだけで成果を上げてくれるからです。優秀な人材を採用できなかった場合は配置や育成に苦労し、思うように成果が上がらない可能性もあります。優秀な人材を採用することが事業戦略を実現するために一番効率がよく、かつ実現可能性を高められる方法です。

5-2. 採用ポートフォリオを作る

採用活動を行う際は、採用ポートフォリオを作ります。採用ポートフォリオは、人材ポートフォリオと人材フローをもとにして、どのような人をどのくらい採用するのかを決めたものです。

また、採用ポートフォリオを作る際は退職者もセットで考えておくことが重要です。人材ポートフォリオを実現しそのバランスを維持するためには、退職する人も考慮する必要があるからです。

6. 人材はどのように育成すべきか?

人材の育成

企業の人事戦略においては、採用だけでなく育成もまた重要であることに変わりはありません。育成のなかで最も重視すべきことは、配置です。配置とそれ以外の育成方法について解説します。

6-1. 配置を最も重視すべき理由

人材育成のなかで最も重視すべきことは、配置です。短期的には配置転換をせず現状を維持することが最も成果を上げやすいため、現場は配置転換を嫌がります。しかし、中長期的には配置転換を行い、内部の流動性を高めることが組織全体の成長につながります。

その理由は、配置転換によって人は新しい環境に適応し、新しい能力や考え方を身につけることができるからです。そうした人材が増えると社員が成長し、ひいては組織全体の成長につながります。また、それまで成果を上げられなかった人が、配置転換により新たな適性を発見し、活躍することもあります。

たとえ現場から反対の声が上がったとしても、中長期的な視点で配置転換を提言することが人事担当者の役割です。

6-2. 配置で大切なことは?

一般的に、配置転換をする際は個人の能力や志向、職務の適性が重視されます。これらに加えてさらに大切なことは、配属先の構成員やチームとの相性です。転職理由のアンケートを採ると、人間関係が挙げられることがよくあります。多くの日本人は「何をするか」よりも「誰と働くか」を重視しているのです。そのため、上司や同僚との相性を第一に考えて配置をすることが重要といえます。

相性の良さは二種類に分類できます。一つ目は「同質な相性=同質関係」です。例えば、「一から十まで細かく指導する上司」と「丁寧な指導を望む部下」は同質関係であるといえます。同質であるとコミュニケーションコストが低いため、すぐにわかり合えます。また、類似性効果といって自分に似た人には好感をもつ心理バイアスが働くため、友好的な関係が構築しやすくなります。

二つ目は「互いが互いを補う補完関係」です。例えば、「部下をぐいぐい引っ張る上司」と「素直で従順な部下」の関係です。補完関係にある二者は互いに異質なため、わかり合うまでに少し時間がかかります。しかし、それを乗り越えると互いに刺激し合い、チームの生産性を高めるといわれています。

6-3. Off-JTでも育成する

Off-JT(Off-the-Job Training)とは、OJT(On-the-Job Training)と対になる言葉です。Off-JTは実務から離れ、ビジネス全般の知識を身につけることを指し、職場外研修とも呼ばれます。

Off-JTは配置によるOJTの補完という位置づけで、実務から離れたマナー、ロジカルシンキング、マネジメントスキルなどの知識や経験を身につけます。体系的に学ぶため知識を整理でき、実務の土台を作ることができます。

関連情報(https://bizreach.biz/media/19184)

6-4. 人材は組織の大切な資本

人材は組織の資本

人材を組織の活動の資本と考えるならば、人材のポートフォリオやそのフローを策定することは必須です。人材ポートフォリオ、人材フロー、採用ポートフォリオに従って採用を行い、時間とコストをかけて成長を促していきましょう。人材を大切にして、従業員とともに成長していける企業を目指していくために、自社の人材要件を改めて定義してみてはいかがでしょうか。

 

参考:曽和利光著『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』ソシム刊

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