採用課題
インタビュー
公開日: 2020/12/17  

リファレンスチェックとは? 導入企業に聞いたメリットを解説

リファレンスチェックとは? 導入企業に聞いたメリットを解説

限られた時間で候補者の人柄やスキル、実績を理解し、採用可否を決めるためには、ときに難しい判断が求められます。特に、マネジメントポジションの即戦力採用などでは、一人の採用が会社全体に及ぼす影響は大きいでしょう。慎重に見極めたい一方、スピード感を持って決断しなければ他社への入社が決まってしまうリスクがあります。

今回は、そんな重大な決断を迫られる中途採用において、判断材料の一つとして注目されているリファレンスチェックについて解説します。

1. リファレンスチェックとは何か?

リファレンスチェックとは、直訳すると「身元確認」を意味します。中途採用において、候補者の実績や人物像などを、前職や現職で一緒に働いている第三者(上司や先輩、同僚)に確認する手法を指します。

外資系企業では以前からごく普通に行われており、とくに経営陣や役員クラスなどの重要なポジションの採用においては人事の必須業務ともいえます。近年、日本でも導入する企業が増えており、リファレンスチェックサービスを提供するIT企業も出てきています。

コロナ禍の影響によって採用活動のオンライン化が進むなか、人物像の見極めがより難しくなったとの声もあります。採用可否を決める情報収集の一環として、今後リファレンスチェックはますます注目されていくでしょう。

 

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2. 選考判断だけではない!? リファレンスチェックの目的とは

面談、面接に加えてリファレンスチェックを行うメリットとは何でしょうか。3つの点から考えていきます。

2-1. 候補者の人柄や勤務姿勢などを客観的に評価できる

応募書類や面接時の受け答えは本人の主観によるものです。一方、リファレンスチェックでは、本人の働き方や強みや弱み、仕事に対する意欲などの評価を客観的に知ることができます。同じ職場での仕事ぶりを間近で見ていた人からの評価は、採用担当者が判断するうえで貴重な材料となるでしょう。

2-2. 選考スクリーニングの効率化

1つのポジションに対して似た経験、スキルセットをもつ候補者が複数いた場合など、採用判断を補強する情報としてリファレンスチェックは有効です。また、経歴に問題がなかったとしても、リファレンスチェックにより本人の業務上の懸念や退職に至った経緯などに課題が見えてくれば、選考スクリーニングの一つの材料になります。これによって採用後のミスマッチの防止にもつなげられます。

2-3. 候補者を自社に引きつける参考情報の収集

リファレンスチェックには、候補者に自社の魅力を伝える際のヒントがたくさん詰まっています。候補者がどのような業務にモチベーションを感じパフォーマンスを発揮するのか、どのような価値観でマネジメントをしているのかなど、人柄をより理解することで、自社の何を伝えるべきかが見えてきます。候補者が求める働き方を自社は提供できるのか、どのようなポジションで何を任せたいのかを見極め、自社に引きつけるうえでも有効な情報になるでしょう。

 

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3. リファレンスチェックの進め方

リファレンスチェックでは候補者本人の合意のもと、以前の勤務先の上司や先輩などに「在職時の業務内容」「勤務態度」「成果や実績」「強みや弱み」「離職理由」などを確認します。チェックシートを送り回答を回収したり、候補者本人が勤務先にリファレンスレター(推薦文)を依頼したりとさまざまなケースがあります。

■リファレンスチェックのフロー図

リファレンスチェックの進め方

気をつけたいのは、本人の合意なくリファレンスチェックを行うことは違法となる点です。リファレンスチェックを行いたいということと進め方を候補者にきちんと説明する必要があります。

※2017年に改正された「個人情報の保護に関する法律」において、本人の同意なしに第三者が個人情報を提供することは、違法となります。

出典:個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)

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4. 【導入事例インタビュー】株式会社Holmes様

実際にリファレンスチェックを行っている企業では、リファレンスチェックによってどのような採用課題を解決して、どのような部分にメリットを感じているのでしょうか。2019年からリファレンスチェックを導入している、株式会社Holmesで採用責任者を務める増井隆文様にお話を伺いました。

株式会社Holmes 採用責任者 増井隆文様

「世の中から紛争裁判をなくす」「契約の全てを簡単に」 を志とミッションに掲げる株式会社Holmes。2017年8月に契約マネジメントシステム「Holmes((ホームズ))」を開発・展開し、契約の最適化により企業の成長を促進。東証一部上場企業を始め200社以上の企業に導入されています。

4-1. Holmes様は2019年ごろから、リファレンスチェックを導入していらっしゃいます。元々どのような採用課題があったのでしょうか?

採用のスクリーニングやエントリーマネジメントをどうするべきか、社内でよく議論していました。採用基準の設定や面接の想定問答マニュアル作成なども進めてきましたが、初めてお会いした候補者との1時間ほどの面接だけで、自社とマッチしているかを見極めるのは難しく、自信を持って内定を出すにあたり、実際の仕事ぶりを知りたいという気持ちがありました。そもそも、相手の人柄などを知る方法として「共通の友人にどんな人物なのかを聞く」のは誰もがやることだと思います。同じ感覚で、気軽にリファレンスチェックができたらいいなと考えていました。

ちょうどそのタイミングで、「back check」というリファレンスチェックサービスがあると知り、これを導入しながらリファレンスチェックの設計をしました。それまでのリファレンスチェックといえば、調査会社に何十万円も支払って一人の身辺調査をするものが多く時間もかかる……というもので、スタートアップ企業であるわれわれには、導入できるものではありませんでした。このサービスであれば、比較的安価かつ、1週間ほどでリファラー(推薦者)からの回答が戻ってくるスピード感だったことも導入した要因です。

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4-2. 具体的にどのような方法でリファレンスチェックを進めていますか。

勤務態度や人柄に関する網羅的な質問例を参考に、そのうち重要だと思う20問を選定しチェックシートを作成。候補者を通じて、その方の元上司や元同僚の方などに質問項目をお送りし、回答していただきました。

例えば、「候補者の強み、弱みは何ですか?」など定性コメントを求める質問は候補者の人柄を示す材料となります。

それぞれの質問項目に対して、定量的な点数と、定性的なコメントの両方を回答していただいております。私はコメントの中身に加えて、コメントの量も見ていました。コメントの内容がマイナス評価でも、十分な量のコメントをもらえているということは、深い人間関係が築けている証拠とも捉えられます。当社は最終面接前にリファレンスチェックを行っています。最終面接当日に面接者がその内容を確認しながら本人を評価できるよう、プラスアルファの補強材料として活用しています。

4-3. 導入するにあたり懸念などはありましたか。

候補者の中には、前職や現職に対して何らかの不満や不安を抱えている方もいらっしゃいます。過去の経歴を深追いされるのを嫌がる方は一定数いるかなと思っていました。ですが、ふたを開けてみると、これまで9割以上の方には積極的にご協力いただいている状況です。これは、評価を担当するリファラーを自分で選べる仕組みになっているのが要因として大きいと思います。

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4-4. 候補者がリファラーを選べると、ポジティブな内容が多くなると思いますが、評価を決める情報としての信頼性に懸念は出ませんか。

あまりないですね。それはリファレンスチェックが、合否に直接影響することがほとんどないからです。

元々リファレンスチェックの導入は、私たちが行った面接での評価がきちんと本質をとらえているのかを確認したい、という思いで始めました。実際に、面接で感じた強みや弱みの認識がリファレンスチェックの結果と共通していることは多く「やっぱりこの部分が強みなんだな」と確認ができます。

またポジティブなコメントが多い一方、厳しい意見を真摯に書いてくださる上司の方もいらっしゃいます。例えば、「頑固で自分の意見を押し通すことがあるので、少し軋轢あつれきを生むことがあります」などですね。むしろこういったコメントは、自分の軸や意見を持って仕事ができる自立型の人材であることの裏返しですし、誠実な上司に恵まれ仕事をしていたんだと評価を上げるものになります。

こういった定性的なコメントが多いと、「転職していく候補者のためにこんなに一生懸命回答してくださるなんて…」と候補者の人望の厚さを感じます。内容もそうですが、答え方にも、候補者が培ってきた人間関係が垣間見られるので、とても興味深いです。

■回答コメントと評価のイメージ

リファレンスチェックの回答

4-5. リファレンスチェックによって自信を持って内定を出せたケースでどのようなコメントが得られたのか、具体的な事例があれば教えてください。

リファレンスチェックの価値は、履歴書・職務経歴書には表れない、生々しい実例ベースのエピソードがわかるところです。

例えば、仕事の実績を聞いたアンケートでは、「大きな商談コンペの際、プレゼン担当のメンバーが動きやすいよう、障害になるようなことを関係者との調整や他部署との連携を通じて事前に解消し、チームメンバーを支える立てる役割に徹した。結果、メンバーが高いパフォーマンスを発揮し大型コンペに勝つこと受注を獲得することができた」など、泥臭い仕事内容を詳細に記してくださった上司の方もいらっしゃいました。

プロジェクトの実績だけではなく、本人がどういう役割で、どのように周りに貢献したのかをファクトベースで書いてくださる。第三者ならではの視点です。

こうしたエピソードは、面接で本人に聞いても、自分では当たり前のことだと思っているのでアピールポイントとして出てこないことが往々にしてあります。自己評価と他己評価は違います。周りが評価しているポイントは実はこんなところだった、という発見があるのは面白いですね。

4-6. リファレンスチェックを導入後、課題に感じていることは何ですか。

採用の難しいところは、職場環境や人間関係が変わればパフォーマンスも変わるということです。リファレンスチェックで高い評価だった方でも、転職後の人間関係によってパフォーマンスを発揮できるまで時間がかかるケースはありますし、その逆も然り。リファレンスチェックはあくまでも参考材料の一つだと思います。

ようやく今、リファレンスチェックという、人柄やキャリアの「信頼残高」を確認するという考え方が広がっているという実感があります。転職が当たり前になるなか、履歴書や職務経歴書だけでは読み取れない、立体的な人材像を知るツールとして、リファレンスチェックは一つの選択肢になりうると思いますし、人を多角的に評価する手法や考え方は今後もっと成熟していくでしょう。

■履歴書・職務経歴書とリファレンスチェックの違い

履歴書・職務経歴書とリファレンスチェックの比較

4-7. Holmes様は今後、リファレンスチェックをどのように活用していく予定でしょうか。

幹部クラスなど、経営上のインパクトが大きいポジションの採用においては、今後も必須だと思っています。 採用においてもっとも難しいのはアトラクト(魅力づけ)です。自社の魅力をどう本人に伝えるのかが最大の課題であり、コロナ禍の影響により対面採用が難しい今、アトラクトに頭を悩ませている企業は多いのではないかと思います。

リファレンスチェックは、本人の前職(現職)での活躍をもとにした素材であり、自社のどの素材をかけ合わせれば本人にとっていい環境を作れるのかを考えるヒントになります。本人の強みややりたいこと、パフォーマンスを発揮しやすい環境要因を理解したうえでアトラクトを考えられるのは、採用側にとって大きなメリットでしょう。

また、当社のようなスタートアップ企業では、志思いや理念に共鳴できるかが非常に重要です。リファレンスチェックは、その見極めのツールの一つになっていると思います。

ただ、採用において最も大事なのは「この人と一緒に働きたいと思うか」です。一緒に働いてよかったと思っている人にアンケートをとるのがリファレンスチェックなので、その意味でも、一緒に働いていた方からの評価や意見を伺うのは非常に重要なことだと思います。

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5. まとめ

リファレンスチェックは見極めのツールとして、面接での評価のサポートとして用いることができるとわかりました。履歴書や職務経歴書を「自己評価」とすると、リファレンスチェックでは周りの方からの「他己評価」を確認でき、より多角的な視点で候補者を理解できます。

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