採用課題
公開日: 2020/12/21  

「帰属意識」が離職者を減らすカギ。 採用時からやるべきことは?

「帰属意識」が離職者を減らすカギ。 採用時からやるべきことは?

新入社員の早期離職を防止するために「帰属意識を高めたい」と考えている企業は多いでしょう。この記事では帰属意識を高める方法について、株式会社ビジネスリサーチラボの伊達洋駆さんに教えていただきました。

■プロフィール

伊達さんプロフィール写真

伊達 洋駆 氏

株式会社ビジネスリサーチラボ代表取締役。採用学研究所所長。神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。研究知と実践知の両方を活用した「アカデミックリサーチ」をコンセプトに、データ分析や組織サーベイのサービスを提供している。

1. 帰属意識とは

帰属意識は「組織と個人との関係性」を表す言葉です。学術的には「組織コミットメント」と呼び、所属している組織に対して「愛着を感じている、一体感を持っている」という状態です。

帰属意識は離職に対して影響を与える指標になることがわかっています。つまり、「組織への愛着が増せば、離職する可能性が下がる」ということです。

2. 帰属意識の経年変化

帰属意識が最も高いのは、会社に入ったタイミングです。そこからずっと下がっていき、7年後あたり(昇進・昇格が多いタイミング)に上がり始めます。

採用のタイミングでは、求職者が会社への愛着を感じないと入社してもらえません。ですから、採用活動自体が帰属意識を高める工程になっていて、帰属意識が高まった人が入社するのです。

それが、入社後に帰属意識が大きく下がる最大の原因は「リアリティショック」、つまり「入社前に思っていたのと違う」という状態です。

■帰属意識の変化イメージ

帰属意識の上下イメージ

『組織と個人』(鈴木竜太)より改変

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3. 帰属意識を高めるポイント【採用時の面談や面接で行うこと】

入社後の帰属意識の下落幅を縮めて、できるだけ高く保つポイントを見ていきましょう。

採用時には、求職者の帰属意識を高めながら、入社後のリアリティショックを小さくすることが大切になります。そのためには、以下の3つがポイントです。

3-1. 【ポイント1】リアルな情報を提供する

会社のリアルな状況、社風や価値観、具体的な業務など、求職者に提供する情報の精度を高めて、入社後の現実を伝えましょう。社内見学なども有効です。

3-2. 【ポイント2】ニーズとサプライを合致させる

求職者が望んでいる働き方(ニーズ)を理解して、会社が与えられるもの(サプライ)をすり合わせましょう。条件面だけでなく、キャリアビジョンを一緒に考えることもその一つ。キャリア開発支援を丁寧に行うことが、帰属意識を高める勝ち筋です。

3-3. 【ポイント3】求職者が情報を得やすくする

求職者側から会社の情報を積極的に取りにいったり、組織のメンバーと関係を構築しようとしたりする働きかけも大切です。企業側が一方的に情報を提供するだけでなく、求職者側が質問や雑談をしやすくなるように支援しましょう。

3-4. 求職者第一主義で考える

優秀なセールスパーソンは顧客第一主義。自社製品のメリット・デメリットをちゃんと説明し、顧客ニーズを掘り下げ、顧客が何でも話してくれる関係を築けるように努力します。自社製品が顧客に合わなければ他社製品を薦めることもあるでしょう。採用も同じように求職者第一主義で考えると、結果的にうまくいきます。

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4. 帰属意識を高めるポイント【入社時〜入社後に行うこと】

新入社員に行うオンボーディングは、「組織社会化」(組織に適応していくプロセス)を促すものです。組織社会化がうまく進むと、帰属意識は高まります。

組織社会化するための「社会化戦術」(企業が新人に対して行う働きかけ)には、体系的に行う「制度的戦術」と、意図的でなくその場で対応していく「個別的戦術」の大きく2つがあり、制度的戦術の方が効果的であることがわかっています。

では、入社時〜入社後に特に効果が高い制度的戦術を見ていきましょう。

4-1. 【ポイント1】適応のプロセスを伝える

新入社員は不安が大きい状態なので、今後どう適応が進んでいくのか、見通しを示してあげましょう。例えば、「最初の1カ月は座学研修が中心で、1カ月後には部署の先輩に付いて実地研修、3カ月後にはひと通りの経験をして、半年後から一人で得意先を担当します」といったように、順序と時期の目安を伝えるとよいでしょう。いつどんな支援があるのかもセットで伝えると、安心して進んでいけるので、帰属意識が高まりやすくなります。

4-2. 【ポイント2】メンターを付ける

メンターは新入社員の身近な相談相手となって不安を軽減し、ロールモデルにもなる存在。うまく機能すると帰属意識を高めることができます。

ただし、メンターが「資料はちゃんと作り込まないとダメ」、上司が「資料はできるだけシンプルに」などと相反するアドバイスをすると、新入社員は板挟みになって「役割葛藤」が起こり、帰属意識が下がってしまいます。これを防ぐには、メンターと上司がしっかりとコミュニケーションをとっていることが必要です。

4-3. 【ポイント3】ポジティブなフィードバックをする

入社後の仕事には、随時フィードバックが必要です。オンボーディングの段階ではネガティブな言い方を避け、ポジティブなフィードバックを心がけましょう。「自分は会社における役割を遂行できる」という自信が得られます。

4-4. 施策の意図を明確にすることも重要

制度的戦術が有効ということは、意図的な施策が新人の適応を進めるということ。逆にいえば、場当たり的な対応ではいけないということです。

例えば、帰属意識を高めるために「入社から半年間は、2週間に1回の面談を行う」というルールを作っても、その面談が実施されていなかったり、形骸化されて内容が場当たり的なものになっていたりすれば、逆効果になる可能性もあります。「適応のプロセスを説明するために面談をする」など、各施策の意図も明確にしておくことが大切です。

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5. 新卒と中途採用、帰属意識の醸成過程の違いは?

新卒と中途採用の社員を比較すると、帰属意識そのものに違いはないのですが、組織社会化のプロセスが異なります。新卒社員は、適応までのサポートが豊富に用意されています。新人が戸惑うことも想定されていますし、学びの猶予期間も与えられています。

一方、中途採用の社員は前職同様の成果を早期に求められます。新しい環境に対して適応が大変である点は新卒と同じなのですが、その大変さをあまり理解されていません。中途社員でも適応支援が整っていないと早期離職につながるので、意識してフォローしていくことが必要です。

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6. 出社勤務とテレワーク、帰属意識の醸成過程の違いは?

出社勤務とテレワークを比較すると、帰属意識を高めやすいのは出社勤務です。組織社会化の段階は、以下のように進んでいきます。

  • 周囲との関係構築
  • 組織の規範、振る舞いやルールを理解、習得する
  • 内面、価値観が変わる
  • 「まず周囲と仲良くなって、行動ができるようになって、内面が変わる」の順で適応が進むため、特に関係構築がやりやすい出社勤務の職場の方が有利なのです。

    というのも、オンラインのコミュニケーションはタスク中心で、雑談や主題からそれた話など、「①周囲との関係構築」につながる会話が困難です。優秀な人材を採用できても、適応が進まなければ離職してしまう可能性もあります。

    ですからテレワークが多い会社では、企業側が人間関係の構築を支援していくことが大切です。非公式なコミュニケーションの場を公式に作るという難しさがありますが、社内勉強会、アイデアソン、リモートランチ会など、自社に向いている方法を探っていくことが必要でしょう。

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    執筆:代 亮子、編集:立野 公彦(HRreview編集部)

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