レジュメとは?採用担当者向けに候補者の見極めポイントを解説
レジュメとは、さまざまな場面で用いられる言葉です。今回の記事ではレジュメという言葉が用いられるさまざまなシーンを解説し、後半では、採用担当の方向けにレジュメの見極めポイントを解説します。
1. レジュメの意味
レジュメは、「要約・概要・履歴書」といった意味を持つ言葉です。採用の現場においては、「履歴書」や「職務経歴書」を指すことが多いです。
1-1. 採用現場においてレジュメとは「履歴書」「職務経歴書」
外資系企業では、「履歴書」や「職務経歴書」のことをレジュメといいます。日本語の履歴書や職務経歴書ではなく、「英文レジュメ」の提出が求められることもあるでしょう。
専門スキル・技術系の採用においてレジュメは、職務経歴書を指します。前職におけるポジションや業務内容だけでなく、経験やスキル、資格を詳細にアピールする書類です。
1-2. ビジネス・プレゼンテーションにおけるレジュメとは「内容を要約した資料」
レジュメという言葉は、ビジネス全般でも用いられます。打ち合わせやプレゼンテーションの内容を要約した資料もレジュメといいます。この場合のレジュメとは、開催日時・場所、テーマなどを簡潔にまとめたものです。
1-3. 大学や研究機関におけるレジュメとは「論文の要約」
大学や研究機関におけるレジュメは、論文の要約のことを指します。論文のタイトル、見出し、参考文献などを要約したものをレジュメといいます。
2. レジュメと「アジェンダ」「サマリー」の違い
レジュメと似た言葉として「アジェンダ」や「サマリー」といった言葉があります。
サマリーはレジュメと同義で、概要・要約という意味。アジェンダは計画や議題、議事内容を指します。
3. 職務経歴書としてのレジュメの種類
レジュメには時系列でキャリアを記載するものや、業務経験の種類ごとに記載するものなど、いくつかタイプがあります。ここでは、日本企業におけるレジュメ(職務経歴書)、英文レジュメのそれぞれについて、書き方の種類を解説します。
3-1. 日本企業におけるレジュメ(職務経歴書)の種類
日本企業におけるレジュメ(職務経歴書)は、「編年体形式」「逆編年体形式」「キャリア形式」の3種類があります。
多くの場合に用いられるのが編年体形式です。また逆編年体形式は、直近のスキルを特にアピールしたい場合などに用いられます。複数の職種・業種を経験してきた場合は、キャリア形式で書く場合もあるでしょう。
3-2. 英文レジュメ(英文履歴書)の種類
英文レジュメには、「Chronological Resume」(年代順)、「Functional Resume」(職務別)、「Combination Resume」(混合形式)の3種類があります。
英語圏では、直近の経験や実績が重視される傾向にあり、日本でよく見られる編年体形式のレジュメはあまり見られません。また、日本企業におけるレジュメより自由度が高いのが特徴です。
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4. 【採用担当の方向け】レジュメの見極めポイントとは?
ここからは、採用担当の方向けにレジュメの見極め方について解説します。
株式会社人材研究所代表の曽和利光氏に、採用担当者が見るべきレジュメのポイントについて教えていただきました。
■プロフィール

曽和 利光 氏
2011年に株式会社人材研究所を設立、代表取締役社長に就任。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を超える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開する。
採用担当者がレジュメを見る際には「非本質的な部分」と「本質的な部分」の両面から見ていくことが大切だと考えています。レジュメの非本質的な部分とは例えば、ぱっと見たときの印象やレイアウト、構造。本質的な部分とは例えば、レジュメに書いてある職務経験およびその書き方です。
それぞれどのような観点で見ていくとよいか、解説していきましょう。
5. レジュメの非本質的な部分の確認ポイント
レジュメをぱっと見たときの印象やレイアウト、構造の観点は、経験として何が書いてあるかという以前に、候補者の性質が垣間見られるポイントです。
ただし、本質的な情報とあわせて総合的に判断することが大切です。レジュメの非本質的な印象として例えば「雑然としているな」と受け取っても、それがマイナスにならないポジションなら、あまり問題ないでしょうし、何らかの理由で時間がなく、十分に時間がかけられなかったのかもしれません。様々な可能性を考えながら総合的に評価をしましょう。
5-1. 見やすいレイアウトかどうか
レジュメは、隙間なく文章が書いてあって読みにくい印象なのか、改行などをして読みやすい印象なのかという観点でも見ると、読み手のことを考えているかどうかがわかります。必要な場面で、わかりやすく箇条書きなどができているかなども見るとよいでしょう。
5-2. 文章の構造化がされているかどうか
レジュメにおける文章の構造化の度合いも見るべきポイントの一つです。構造化の能力は様々な仕事場面で必要となる基本的な能力です。「起承転結」「序破急」「結論をはじめに持ってくる」など、構造化の方法はさまざまあります。
注意が必要なのは、だらだらと文章が書かれているレジュメ。志望動機などは、文章の構造化ができているかが見えやすい部分です。「しかし」など同じ接続詞が何度も続いていないか、日本語として違和感がないか、という観点でも確認しましょう。
5-3. 漢字の間違いなどがないか、日付が更新されているか
漢字と平仮名の使い方が適切か、漢字の含有率はどうか、専門用語に誤りがないかなども、見るべきポイントです。これも知的基礎能力を反映している部分と言えます。
また、レジュメの日付も見るとよいでしょう。半年前の日付になっていて更新されていない場合などは注意が必要です。長い間、転職活動を行っていて、うまくいっていない人かもしれませんし、そもそもそんな以前の日付のレジュメを出してもどうとも思わないセンスは、けしてよいことではありません。

6. レジュメの本質的な部分の確認ポイント
続いて、レジュメの本質的な部分の見方についてご紹介します。本質的な部分とは、レジュメに記載されている職務経験自体およびその書き方のことを指します。
6-1. 具体的な事実情報がしっかり書かれているか
レジュメに書いてある職務経験や、これまで担当したプロジェクトなどについて、抽象的な話ではなく、具体的な事実を挙げて、イメージしやすく書かれているかという観点で確認しましょう。
よく私は「形容詞には意味がない」と話しているのですが、例えばレジュメに「素晴らしい経験をした」とか「長い間やっていた」と書かれているだけではNG。これまでの仕事の成果がどれだけの難易度・レベル感だったのか、レジュメを見る側が判断できる具体的ファクトが盛り込まれているかどうかも見るべきポイントです。
6-2. フォーカスすべきポイント・そうでないポイントが区別されているか
特に職務経歴が多い人のレジュメを見る際は、フォーカスすべきポイントと、そうでないポイントがしっかり分けられているかを確認するとよいです。
全ての職歴を書いて長くなってしまっているレジュメより、今回応募しているポジションに関連する経験を中心に記載されているレジュメのほうが、見る側への配慮があると言えます。
6-3. 思考プロセスが書かれているか
レジュメを見る際に常々思うのが、業務や成果に対する「思考プロセス」が書かれていない、ということ。問題に対する解決行動自体はもちろん書かれているのですが、その策を実行するまでに至った思考プロセスが丁寧に書かれているレジュメは全体の1割にも満たないのが実感値です。
このように、思考プロセスについてはフリーフォーマットでは書かれることが少ないため、もしも、事前に知っておきたい、そこで判断したいのであれば、レジュメのフォーマットとして、「問題」の欄、「原因分析」の欄、「アイデア出し」の欄、「選択」の欄などとして用意するのがよいのではないかと思います。しかし、現状では、面接で聞くことが一般的になっています。
人間の仕事が高度化するなか、行動や結果だけでなく、思考プロセスも非常に大切です。判断材料としてプラスになるため、書かれている場合はしっかりと見るとよいでしょう。
7. レジュメをもとに面接で聞くべきこと
最後に、レジュメの情報をもとに、面接ではどのようなことを聞くとよいか解説します。
7-1. 最も長く従事していた仕事について
まずは、最も長く従事していた仕事について聞くのが一つのポイントです。なぜなら、最も長く経験した仕事・プロジェクトでの経験は、再現性が高いと考えられるためです。また、候補者の人となり、仕事のスタンスなどを作り上げている可能性が高いからです。
その仕事で置かれた環境や役割、直面していた課題、課題への対策、そしてどんな成果が出たのかなどを聞いて、習慣化していた行動・思考パターンを抽出するようにしましょう。
7-2. レジュメに書かれていない「入社動機」「退職理由」などを確認
レジュメには、前職の入社動機や退職理由は丁寧に書かれていないことがほとんどです。特に第二新卒などポテンシャル採用の場合は、これまでの経験が限られているため、判断材料が少なくなりがちです。ですから、ここは面接で確かめなくてはいけません。
なぜその会社に入社したか、大学時代はどのようなことを考えて就職活動をしたのか、現職に入社してどうだったのか、そしてどのような理由で転職活動をしているのか…。社会人になってからの経験だけでなく、学生時代も含めた経験や考え方の変遷を聞くことで、より多くの情報を得られます。
一方、転職経験者や複数社を経験している人材の採用の場合は、それぞれの企業の退職理由を質問するとよいでしょう。2~3社経験している場合は、全ての企業について退職理由を聞くようにしています。候補者に嫌がられる可能性もありますが、ジョブホッパー(転職を繰り返す人)でないかを確認するためにも大切です。
執筆:佐藤 由佳、編集:立野 公彦(HRreview編集部)
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