人事課題
公開日: 2021/04/05   最終更新日: 2021/09/24

心理的安全性とは? Googleも実践する、チームの生産性を高めるための方法を解説

心理的安全性とは? Googleも実践する、チームの生産性を高めるための方法を解説

心理的安全性とは、気兼ねなく意見を言い合うことができ、自分らしくいられる組織文化のこと。Google合同会社が「効果的なチームの条件は何か」をリサーチした「プロジェクト・アリストテレス」で心理的安全性が言及されたこともあり、注目されています。この記事では心理的安全性を高めるメリット、心理的安全性の高さを測る方法、心理的安全性を高める方法などについて解説します。

人・組織を育てる「フィードバック」の基礎知識

ビジネスやマネジメントでよく使われる「フィードバック」ですが、「ダメ出し」「上司からの小言」といったネガティブな印象を持たれてしまうケースも少なくないようです。しかし、フィードバックは伝え方やタイミング次第で、相手とよりよい関係を築けるだけでなく、人や組織の成長を促すカギとなりえます。

株式会社ビズリーチでは、2021年3月5日・12日にビズリーチを導入する企業を対象に「フィードバック」をテーマとしたオンラインセミナーを開催。

第1回は「採用活動におけるフィードバック」、第2回は「入社後におけるフィードバック」にフォーカスし、企業に成長をもたらすメンバーの活躍・成長に対するフィードバックのポイントなどについて、株式会社ビジネスリサーチラボ代表取締役・伊達洋駆さんが解説しました。

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1. 心理的安全性とは?

心理的安全性とは?

心理的安全性とはハーバード大学のエイミー・C・エドモンドソン教授により生み出された概念です。「チームのなかでは対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だ、とメンバーに共有されている信念のこと」だと定義されていて、気兼ねなく意見を言い合うことができ、自分らしくいられる文化のことをさしています。

こんなことを言ったら叱られないか、非難されないか、無能だと思われるのではないか、責任を取らされるのではないか、などの心配をせずに発言できる場は、心理的安全性が高いといえます。

2. 心理的安全性が注目されている背景

心理的安全性が注目されている背景

心理的安全性は多くの企業や研究者が関心を示している概念です。提唱者であるエイミー・C・エドモンドソンの書籍と論文はこれまでに5万回以上引用されており、これは経営学の分野で驚くべき数字といわれています。なぜ注目されているのか、どのような企業が取り入れているのかを解説します。

2-1. 米Googleの「プロジェクト・アリストテレス」

心理的安全性は1999年に論文で提唱された、もともと学術的には一定の知名度がある概念でした。それがビジネス界に広がったきっかけは、Googleが立ち上げた「プロジェクト・アリストテレス」という取り組みです。

Googleのリサーチチームが効果的なチームの条件を調査・分析し、「重要なのはチームのメンバー構成よりも、チームの協力体制がどのようなものかということで、その協力の方法のなかで圧倒的に重要なのが心理的安全性である。また、心理的安全性が高いチームは離職率が低く、収益性が高い」と結論付けたことが話題となったのです。

2-2. 多くの企業が心理的安全性の高い会社を目指している

心理的安全性の認知度が高まったこともあり、多くの企業が心理的安全性の高いチームを目指して取り組みを行っています。例えばゼネラル・エレクトリック(GE)では、業績の達成度と価値観の実践度の軸を用いて社員を順位付けする人材評価ツール「9ブロック」を用いた従来の評価制度を廃止しました。評価を気にすることが、社員の心理的安全性を損なうというのがその理由です。9ブロックによる評価制度の廃止後、GEは社員同士のフィードバックによって自発的に動くことで、心理的安全性の高い企業を目指しています。

また、メルカリ、ねぎしフードサービス、カヤックなどの日本企業でも、心理的安全性を高めるための取り組みが行われています。

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参考:ピョートル・フェリクス・グジバチ著『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』朝日新聞出版刊、経産官僚の女性がメルカリで8カ月働いてみたら、見えたことRMS Message 特集1 組織の成果や学びにつながる心理的安全性のあり方

3. 心理的安全性を高めることのメリット

心理的安全性を高めることのメリット

心理的安全性を高めることにはどのようなメリットがあるのか、生産性とエンゲージメントの2つの観点から解説します。

3-1. 生産性の向上につながる

心理的安全性が高い職場では、恥ずかしい思いをするのではないか、意見を頭ごなしに否定されるのではないか、といった不安を抱くことなく意見を述べることができます。考えたことを率直に話しても無視されたり、非難されたり、恥をかいたりすることがないし、不明点は質問できるとわかっています。

このような職場では、ミスは隠されることなくすぐに報告され、修正されます。また、メンバーは主体的に行動し、協力し合ったり、新しいアイデアを出したり、建設的に議論したりすることが可能になります。これにより、生産性が向上します。

3-2. メンバーのエンゲージメントが向上する

他者から攻撃や非難をされる恐れがなく、建設的で生産性の高いチームはメンバーの満足度が高くなります。その結果として、チームや所属企業へのエンゲージメント(愛着や思い入れ)が向上すると考えられています。

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4. 心理的安全性を測るための、7つの質問

心理的安全性を測るための、7つの質問

心理的安全性を提唱するエドモンドソンは、心理的安全性を測定するための7つの質問を挙げています。質問内容と、その集計方法を解説します。

4-1. 7つの質問

心理的安全性を測定する7つの質問は以下です。

  1. このチームでミスをしたら、きまって咎められる。(R)
  2. このチームでは、メンバーが困難や難題を提起することができる。
  3. このチームの人びとは、他と違っていることを認めない。(R)
  4. このチームでは、安心してリスクをとることができる。
  5. このチームのメンバーには支援を求めにくい。(R)
  6.  このチームには、私の努力を踏みにじるような行動を故意にする人は誰もいない。
  7.  このチームのメンバーと仕事をするときには、私ならではのスキルと能力が高く評価され、活用されている。

出典:エイミー・C・エドモンドソン著『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』英治出版刊, p47

4-2. 7つの質問の集計方法

7つの質問は基本的に、「非常にそう思う」から「全くそう思わない」までの7段階の尺度を用いて集計します。「非常にそう思う」を7点に、「全くそう思わない」を1点にして集計し、質問の最後に(R)とついている質問は「全くそう思わない」を7点に、「非常にそう思う」を1点にして集計します。集計結果が高得点であるほど心理的安全性が高いと評価されます。

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5. 心理的安全性を高めるには?

心理的安全性を高めるためのQ&A

心理的安全性を高めるために、具体的にできることは何でしょうか。チームリーダーがすべきことと、チームメンバーがすべきことに分けて解説します。

5-1. リーダーがすべきこと

リーダーがすべきこととして、「下地作り」「積極的な参加と率直な発言の要請」「率直な発言のサポート」の3つを解説します。

心理的安全性を高めるための下地をつくる

リーダーが最初にしなければならないのは、チーム内でこれから心理的安全性を高めていくことを宣言し、そのための下地をつくることです。

自分たちのチームが行う仕事はなぜ顧客や世の中にとって重要なのか、そしてその仕事を行ううえでなぜ心理的安全性を高めるべきなのかを伝えましょう。そして心理的安全性を高めることで、チームにどのような良い影響があるのかを説明します。

また、失敗したり、間違ったりすることは当たり前で、遠慮なくしてよいものだということ、失敗や間違いから学習は生まれること、そのためには失敗や間違いを気にすることなく行動し、率直に発言してほしいことをメンバーに伝えましょう。

積極的な参加と率直な発言の姿勢を示す

次のステップでは、チームへ積極的に参加し、率直に発言する姿勢をリーダーが示します。

何か知らないことがあるときは、メンバーに対して「そのことについてよく知らないので、教えてください」などと言って謙虚さを示しましょう。あるいは、別の場面で「何か見落としているかもしれないから、チームメンバーの意見がぜひ必要なんです」と意見を求めます。

「上司は何でも知っているから、下手なことは言えない」と部下に思われるようなふるまいをしていると、部下は上司からの指摘や非難を恐れて率直な発言やミスの報告がしにくくなってしまいます。しかし、リーダー自らが自分の弱さを見せ、欠点を認め、メンバーの意見の重要性を説くことで、率直に発言しやすい雰囲気が醸成されます。

また、メンバーに対して質問をすることも有効です。

  • リーダー自身が答えを知らない
  • イエスかノーで答えられる質問ではない
  • 相手が集中して考えられる

上記を満たすような質問をすることでメンバーの考えを尊重する姿勢を示せるだけでなく、メンバーに深い思考を促すことができます。

さらに、責任を問われない報告会を行ったり、批判されずに懸念点やアイデアを話す会を設けたり、メンバー同士で勉強会を行うなどの取り組みを進め、意見や懸念を次々と引き出せるような仕組みをつくりましょう。

率直な発言をサポートする

チーム内の心理的安全性を高めるためには、リーダーが率直な発言を後押ししていく必要があります。

まず、メンバーの率直な発言には感謝を表します。ここでは発言の内容の善しあしは問題ではありません。率直に発言した勇気に対して、リーダーはちょっとした感謝の言葉をかけましょう。例えばメンバーからの指摘に対し、「指摘してくれてありがとう」と感謝すれば、チームの心理的安全性は一段階上がります。

チーム内で失敗があったときは、生産的な対応を取ります。責めたり叱ったりするのではなく、同様の失敗が繰り返されないようにシステムを改善したり、トレーニングを行うことに注力しましょう。

ただし、非難されても仕方のない行為に対しては時として減給や解雇などの制裁措置が必要になることがあります。制裁をすると心理的安全性が脅かされるのではないか、という懸念が浮かぶかもしれませんが、制裁措置はあくまでも規則への違反や倫理的な逸脱に対するもので、生産的なチームを目指すメンバーの心理的安全性を脅かすものではありません。チーム内で、処罰を科すべき境界をあらかじめ明確にしておきましょう。

5-2. チームのメンバーがやるべきこと

心理的安全性を高めるうえでチームリーダーは大きな役割を果たしますが、メンバーにもできることが2つあります。

よい質問をする

メンバーができることのひとつは、「よい質問をする」ことです。よい質問とは純粋な好奇心や、意見を伝えたいという願望から生まれる質問のことです。質問することによって、「私はあなたの言いたいことに関心があります」というメッセージを伝えるとともに、他のメンバーが発言しやすい雰囲気をつくることもできます。

熱心に耳を傾ける

また、メンバーの発言に対して熱心に耳を傾けるだけでも、チームの心理的安全性を高めることができます。関心を持っている気持ちを、見る、うなずく、メモをとるなどの非言語コミュニケーションで表したり、感想を述べたりしましょう。

感想を述べる際は、メンバーの発言に必ずしも賛成する必要はありません。ただし、その人が発言をしたという勇気や努力を高く評価することは不可欠です。

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5-3. 効果的なフレーズ

メンバーとしてチームの心理的安全性を高めるために、以下のようなフレーズを使うと効果的です。自分の弱さをさらけ出し、自分は間違いをするということを率直に認めれば、他の人のミスにも寛大であることを示せます。また、チームメンバーに関心を示し、いつでも手を貸すと思っていることを示せば、助け合いの土壌をつくることができます。

◆自分の弱さをさらけ出す表現

  • わかりません。
  • 手助けが必要です。
  • 間違ってしまいました。
  • 申し訳ありません。

◆関心を示し、手を貸す気持ちをあらわす表現

  • どんな手助けが必要ですか。
  • どんな問題にぶつかっているのですか。
  • どんなことが気がかりなんですか。

出典:エイミー・C・エドモンドソン著『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』英治出版刊, p246-247

こうした行動をとる人は、リーダーではなくとも、心理的安全性を高めるためにリーダーシップを発揮しているといえます。

5-4. 心理的安全性を高めるための注意点

心理的安全性を高める際に注意すべきことがあります。2つのポイントを解説します。

馴れ合いすぎない

心理的安全性が高まるとリラックスした状態で仕事ができますが、ストレスの少ない場を「楽に仕事ができる場」と捉え、馴れ合うだけの関係にならないよう注意が必要です。心理的安全性とともに、仕事の基準を高く保ちましょう。生産的を高めるための目標設定が必要です。

上司としての注意や指導を怠らない

心理的安全性を高めるために一切の批判や注意、叱責を控え、プレッシャーをかけないようにすると、メンバーが正しい方向に進むことができず、生産性が低下してしまう恐れがあります。メンバーの能力を最大限に引き出すためには、部下を尊重し心理的安全性の高い状態を保ちながら、適切なサポートを行いましょう。必要があれば注意や指導を行うほか、規則への違反や倫理的な逸脱に対しては毅然とした制裁措置が必要です。

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6. 心理的安全性を高めるためのQ&A

心理的安全性はチームの理想的な形のひとつですが、実践に際しては提唱された理論通りにうまくいくことばかりではありません。心理的安全性について生じる疑問をQ&Aでまとめます。

6-1. Q. 「本音と建て前」のある日本でも、心理的安全性の高いチームは作れる?

A.日本でも心理的安全性の高いチームをつくることは可能です。

心理的安全性はアメリカの研究者エドモンドソンによって提唱された考え方であり、本音と建て前を使い分ける日本や、従業員が職場で率直な発言をすることが考えられないような文化圏の国では実現できないと考える人もいます。

しかし、例えば日本のトヨタ生産方式では従業員に積極的に誤りを指摘することを求め、日々その方式を推進しています。また、メルカリをはじめとしたいくつもの日本企業では既に心理的安全性を高める取り組みが進められ、組織によい影響をもたらしています。

6-2. Q. リーダーの考え方や行動が変わらない場合、メンバーの自分にできることは?

A.好奇心、思いやり、真摯な熱意の3つの姿勢を示すことです。

リーダーが率先して心理的安全性を高める取り組みをしてくれることがベストですが、そのようなチームばかりではありません。リーダーが心理的安全性を高めることに意欲的でなく、考え方も行動も変わらない場合、それを変えるよう強制することはできませんし、そもそも、人は他人を変えることができません。

メンバーにできることは、まずは好奇心をもち、リーダーに質問をすることです。質問をすることで、リーダーは自分が重要視されていると感じます。また、リーダーを含めチームメンバーの誰もが、困難にぶつかりイライラしたり、投げやりになったりする場合があることを忘れず、いつも思いやりをもって接しましょう。加えて、チームが目標を達成するために真摯な熱意をもって仕事に取り組む姿勢は、リーダーを含めチームのメンバーに少なからず影響を与えます。

こうした姿勢を示すことで、心理的安全性の高いチームの雰囲気をつくり出していくことが大切です。上司の考え方がどうであれ、メンバーが心理的安全性を高めるための行動をとることには価値があり、それが同じチームのメンバーに広がっていく可能性も十分にあります。

6-3. Q. 率直にものをいうことで周囲をイライラさせるメンバーがいたら?

A.率直でありながら、生産的な発言をする方法をコーチングしましょう。

率直な発言そのものは心理的安全性の高いチームに不可欠ですが、言いたいことを言えばよいというわけではありません。率直な発言のなかには役に立たず、生産的でもない性質の発言もあります。また、そのメンバーの発言により、別のメンバーの誰かが批判されたとか、攻撃されたと感じることもあるかもしれません。

特定のメンバーの率直な発言がチームに悪影響を及ぼしている場合は、生産的な発言をする方法をコーチングする必要があります。同時に、「あなたは、自分が思っているのと違う影響をチームに与えてしまっていますよ」ということも認識してもらうべきでしょう。

6-4. Q. 心理的安全性が高いチームでは、どんなことも隠さずに話すべき?

A.どの程度の透明性が必要なのかは、チームや状況によって異なります。

心理的安全性の高さと透明性の高さは別の話です。気付いたことが何でも話されるべき場もあれば、そうでない場もあります。透明性の程度についてはチームやその場の状況によって調整をする必要があります。

7. 最後に

最後に

心理的安全性の高いチームは、誰もが気兼ねなく意見を言い合うことができる環境下で生産性が高まり、チームへのエンゲージメントも高くなるというメリットがあります。心理的安全性は、職場だけでなく面談や面接においても重要な概念です。オンライン採用におけるコミュニケーションの原理原則も知って、今後の採用に生かしていきましょう。

 

■参考資料:
・エイミー・C・エドモンドソン著『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』英治出版刊 石井遼介著
・『心理的安全性のつくりかた』日本能率協会マネジメントセンター刊、ピョートル・フェリクス・グジバチ著
・『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』朝日新聞出版刊
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