人事課題
公開日: 2021/05/14   最終更新日: 2021/09/17

フィードフォワードとは? 人材育成におけるポイントや注意点を詳しく解説

フィードフォワードとは? 人材育成におけるポイントや注意点を詳しく解説

人材育成の際に活用される「フィードバック」は見聞きしたことがある方も多いと思いますが、このほかに「フィードフォワード」という手法もあることをご存じでしょうか。フィードバックとは異なるアプローチで人材育成を促す手法ですが、どのような場面で効果的に活用できるのでしょう。

本記事では、フィードフォワードとは何なのか、混同しがちな言葉との違いを紹介するとともに、フィードフォワードを活用する際に注意すべきポイントを詳しく解説します。

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1. フィードフォワードとは

フィードフォワードとは

一般社団法人フィードフォワード協会によると、フィードフォワードは以下のように定義されています。

“現状にとらわれてしまいがちな部下や後輩、配偶者や子供に対して、コミュニケーションや観察を通して相手の状況を把握し、相手に起きている出来事やそれにともなって体験している感情を受け止めた上で、その人が自分のゴールに意識を向けて行動できるように促す技術のこと”

また、こうした技術の前提には、

“過去や現在よりも未来に目を向け、その未来に働きかけることでより多くの価値、成果、幸せを生み出すことができるとする考え方”

があるとしています。

引用:フィードフォワードの定義|一般社団法人フィードフォワード

上記から、フィードフォワードとは、「未来への働きかけを重視し、目標達成に向けて意識的に行動できるように促すための技術」といえるでしょう。

1-1. 混同しがちなフィードバック、ティーチング、コーチングとの違い

フィードフォワードと混同されやすいものとして、「フィードバック」のほかに、「ティーチング」や「コーチング」があります。フィードフォワードと比較した場合、それぞれどのような違いがあるのか詳しく解説します。

フィードバックとの違い

フィードフォワードの対極にあるといえるのが、フィードバック(feed back)です。ビジネスシーンでは、フィードバックは一般的に「過去の行動から、できた点やできなかった点を振り返る」といった意味にとらえられている場合がほとんどです。つまり、過去に目を向け、誤りなどの改善点を指摘することにフォーカスしがちなのがフィードバックといえます。

一方、フィードフォワード(feed forward)は過去や現状の行動にフォーカスするのではなく、あくまでも将来や未来に視点を向ける手法です。先を見据えた視点に立ち、これからとるべき行動を促すための対話を行うという点で、フィードバックとの明確な違いがあります。

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ティーチングとの違い

ティーチングとは、主に業務内容や知識などを「指導すること」を指し、先生のような立場にある教える人と、生徒にあたる教えられる人が存在します。
一方、フィードフォワードは教える人と教えられる人を明確に分けません。また、フィードフォワードは未来に向けて「対話すること」であり、必ずしも誰かが明確な答えを把握しているものではありません。

コーチングとの違い

コーチングは社員に対して問いを繰り返し、新たな気付きや考え方を導く手法です。未来志向を促し、気付きを与えるという点では、フィードフォワードと共通する部分はあります。しかし、コーチングでは、質問を受ける人とコーチの立場が明確に分かれています。また、コーチとしてゴールに導く役割が期待される点もフィードフォワードとは異なります。

「フィードバック」と混同しがちな伝え方の種類とその特徴

2. フィードフォワードが注目されている背景と理由

フィードフォワードが注目されている背景と理由

近年、新たな人材育成の手法として、フィードフォワードが注目されているのはなぜでしょうか。その背景を解説します。

2-1. イノベーションの創出が求められている

経済のグローバル化やユーザーニーズの多様化、さらにはテクノロジーの進化などによって、企業間の競争は激化しています。これまでのビジネスモデルが常に通用するとは限らず、他社との差別化を図るために新たなビジネスモデルを構築したり、既存の製品やサービスに付加価値をプラスしたりするといった展開が求められる時代です。

そうした状況に対応するためには、過去のやり方や成功事例にとらわれず、未来に向けて何を取り組むべきか、アイデアや意見を出し合いながら考える必要があるでしょう。イノベーションの創出において、未来志向のフィードフォワードは、新たな発想を得るための有効な手段として活用できるものです。

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2-2. 若手人材の定着に向けた取り組み

深刻な人手不足が続く昨今において、企業は若手人材の流出を防ぐことが重要な課題となっています。社員の定着を図るためには、モチベーションを維持しやすい環境となるよう働きやすい組織づくりも欠かせません。

従来の人材育成では、上司やリーダーからのフィードバックをもとに、業務の改善に取り組むトップダウン方式が一般的です。しかし、こうした手法は「ダメ出し」としてネガティブな印象を与え、場合によっては自信を喪失させ、「自分はこの仕事に向いていないのではないか」と考える社員を生み出すきっかけにもなります。

社員に対する否定的・批判的な指導が続くと早期離職を招く可能性がありますが、フィードフォワードによる前向きな未来志向の意識づけであれば、社員のモチベーション維持、向上に役立ち、自己成長を促すことにつながります。社員個々が前向きに業務に取り組むようになれば、社内の雰囲気も良くなるものです。フィードフォワードの活用により働きやすい組織が醸成され、若手人材の定着が期待できます。

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3. フィードフォワード導入の目的

フィードフォワード導入の目的

フィードフォワードを導入する際には、明確な目的を持って取り組むことが大切です。フィードフォワードを活用する際の目的として、代表的なものを3つ紹介します。

3-1. 主体的に物事を考えられる人材の育成

フィードフォワードを導入する最大の目的は人材育成といえます。社員自らさまざまなアイデアや意見を出し合い、将来に向けた前向きな意見を交わせる環境をつくることで、主体的に物事を考え実行できる人材の育成につながります。

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3-2. チームの結束力強化

社員同士が前向きに意見を出し合ううちに、チーム全体の雰囲気も良くなるものです。「お互いの課題を解決していこう」という意識が芽生え、チーム全体の結束力が強まります。ほかの社員が抱える問題を当事者として取り組み、困ったときにはお互いに支え合いながら成長する環境も構築できるでしょう。

フィードフォワードが定着している組織では、社員同士が自発的に解決策を見いだそうとするため、上司は実務的なアドバイスよりもチーム全体の士気向上や重要な意思決定、目標管理などに集中できる状況になり、全体のマネジメント強化も実現されます。

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3-3. ハラスメントの防止

フィードバックは上司や先輩社員からの一方的な指導になりがちで、言葉の選び方や態度などによって、ハラスメントととらえられることがあります。伝え方を工夫することも大切ですが、過去を指摘するフィードバックではなく、前向きに未来を話し合うフィードフォワードの視点に変えることで、お互いの意見を尊重しやすい状況が整うでしょう。

フィードフォワードをマネジメントに取り入れれば、管理職やリーダーはハラスメントにつながりづらい指導方法を習得でき、ハラスメントが原因によるトラブルのリスク軽減につながります。

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4. フィードフォワード導入のメリット・デメリット

フィードフォワード導入のメリット・デメリット

フィードフォワードにはさまざまなメリットがある一方で、デメリットも存在します。それぞれのポイントを整理しながら、効果的な活用法を検討しましょう。

4-1. メリット

ここまでの解説の通り、フィードフォワードは前向きな思考をつくる手法です。そのため、社員のモチベーション低下を予防し、効果的な人材育成につながるというメリットがあります。

フィードバックの場合、主に上司や先輩といった、業務と深い関わりのある人から受けることが一般的であるため、フィードバックに対して反論しづらく、一方的なコミュニケーションに終わる恐れもあります。対してフィードフォワードは、社員が考えている意見や提案を引き出すものであり、建設的な意見を出し合いながら解決策を見いだすことにつながります。

役職や役割に関係なく、あらゆる社員が意見を出し合うことで、会社に貢献しているという意識が社員のなかに芽生え、自律的な人材を育成できるでしょう。

加えて、フィードフォワードの導入は、採用においてもメリットがあります。ネガティブな印象を与えやすいとされるフィードバックによる指導を中心とした人材育成を行う企業に対して、前向きな意見を出し合えるフィードフォワードを積極的に活用していることは他社との差別化にもつながります。未来に向けて何をすべきかを考えるという企業姿勢は、応募者に対して「やりがいがありそう」「働きやすそう」といったポジティブな印象を与えることでしょう。

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4-2. デメリット

新たにフィードフォワードの手法を取り入れても、すぐに対応できる社員ばかりとは限りません。従来のフィードバックの方がスムーズに仕事を進めやすいと感じる社員もいるでしょう。フィードバックによる指導法が長年定着していれば、これから予想される未来のことに対しては意見が出しにくい、アイデアが浮かばないといった社員もいるはずです。

効果的な実践につながらない場合には、かえって誤解を招く可能性もあります。レクチャーやトレーニングを繰り返しながらフィードフォワードに慣れていくことが必要な場合、定着までに時間がかかるというデメリットがあります。

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5. フィードフォワードを効果的に導入する3つのポイント

フィードフォワードを効果的に導入するポイント

フィードフォワードの導入にあたり、効果を最大化するために特に重要な3つのポイントをまとめました。

5-1. 前例や慣習にとらわれない視点をもつ

フィードフォワードを導入する際には、前例や過去の慣習などにとらわれない視点をもつことがとても大切です。社員同士がアイデアを出し合うとき、多少飛躍した意見が出てくることもあるでしょう。しかし、「それは現実的ではない」などと決めつけるのではなく、まずは肯定的にとらえ「どうしたら実現できるか」を話し合うことで、未来につながります。

そもそも、革新的なアイデアのヒントは、これまでの前例の延長線上にあるとは限らず、一見飛躍しているとも思われる意見のなかから出てくることもあるのです。実現が難しいと思われるアイデアでも、それを可能にするための方法や手法を社員同士で考えるプロセスを通じ、これまで思いもしなかったような新しい解決法や手段が見つかることもあるでしょう。結果として実現できないと判断した場合でも、未来に向けて意見を出し合った時間は社員同士の結束力を高め、組織強化につながります。

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5-2. 助け合いの気持ちをもつ

将来を見据えたとき、今の状況を改善しなければならないことも出てくるでしょう。しかし、フィードフォワードでは誰かを否定したり、ダメ出しに終始したりしないことが大前提です。改善するために、その人個人だけでなく「チームとしてどのようにすればより良いか」を助け合って考えることがフィードフォワードにおいて重要なポイントといえるでしょう。

また、個々で自ら改善すべきポイントを考え、周囲に対して意見を求めることができる風土づくりも大切です。意見やアドバイスを交換し合うことで、自分だけでは気付かなかったアイデアや解決策が得られるというメリットを、組織全体で理解することが、フィードフォワードを促すでしょう。

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5-3. フィードバックと併用する

フィードフォワードとフィードバックは、どちらが良い・悪いというものではありません。どちらか一方に偏るのではなく、それぞれの手法をうまく併用するとよいでしょう。

例えば、実際の業務を通じて、上司や先輩社員が指導役となり、部下や後輩に必要な知識や技術を習得させる「OJT(On the Job Training)」においては、重大なミスを防ぐために、できなかった点や直すべき点を明確に伝えるフィードバックが有効といえるでしょう。また、業務に意欲的に取り組んでいるものの、効率が上がらない成長志向の高い部下に対しては、上司からのフィードバックで的確かつ具体的なアドバイスをした方が、短期間で良い結果に結びつく可能性があります。過去の経験による指摘で改善できる点はフィードバックの方が簡潔に伝えられるというメリットもあります。

ただし、一方でフィードバックをすることでモチベーションが低下してしまう社員もいます。そうした場合には、フィードフォワードを取り入れ、より効果的な手法を検討する必要があります。また、部署やチーム全体で業務改善に取り組む場合、さまざまな意見を出し合いながら、社員同士が納得できる方法を模索しなければなりません。そのような場合においては、フィードフォワードが適しています。それぞれを効果的に活用できるよう、実践を繰り返しながら、適切なスキルを身につけることが大切です。

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6. フィードフォワードが効果的に活用されるシーン

フィードフォワードが効果的に活用されるシーン

フィードフォワードは具体的にどのようなシーンで効果的に活用できるのでしょうか。フィードバックとの併用を考えるうえでも参考になる例として、2つのシーンを紹介します。

6-1. 管理職やリーダーの育成

上位の役職になるほど、社内に指導や教えをくれる存在が少なくなります。また、部下には意見を聞きづらいと感じている人もいるでしょう。その結果、問題や課題解決を一人で抱え込んでしまうケースも少なくないようです。

フィードフォワードというコミュニケーションスタイルにより、さまざまな立場の社員と対等な立場で意見を交換することにより、前向きな意見やアイデアを得られ、リーダーとしての成長が促されることでしょう。

6-2. 業務の効率化

フィードフォワードというと「新規事業のアイデア創出」に適しているとも思われがちですが、それだけとは限りません。新規事業のアイデアだけではなく、日々の業務改善においても過去にとらわれるのではなく、新しい視点で見直すことが大切なのです。「これまでやっていた無駄な作業をやめる」という提案をするには、その作業が明らかに生産性の高いものではなかったとしても、過去を否定するような側面もあり、一社員からは発言しにくいものでもあります。しかし、フィードフォワードによる未来志向の対話を重ねることで、社員の積極性を生み出せるでしょう。

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7. 人材と組織の成長のためにフィードフォワードを活用しよう

人材と組織の成長のためにフィードフォワードを活用しよう

革新的な新規事業の創出や業務効率化が求められる時代において、過去の成功パターンにとらわれるのではなく、新たなアイデアや方法を創出し続けるチャレンジ思考が、事業や組織の成長を左右するのではないでしょうか。

未来に目を向けて考えるフィードフォワードは、有効な人材マネジメント方法であると同時に、組織や企業の発展につながるものです。

フィードフォワードとフィードバックは、相手や目的に合わせた使い分けが大切です。フィードフォワードとフィードバックの両方を活用して、個人や組織の成長を促しましょう。

押さえておきたい 「フィードバック」5つのステップを解説

人・組織を育てる「フィードバック」の基礎知識

耳慣れた「フィードバック」ですが、方法を間違えると逆効果になってしまうほど、実は「取り扱い注意」な情報提供の方法でもあるのです。 フィードバックの効果を高めるための大切なポイントを徹底解説します。

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