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公開日: 2021/06/24  

雇用契約書は必要? 労働条件通知書との違いは? 雇用契約書の内容、様式などについて詳しく解説

雇用契約書は必要? 労働条件通知書との違いは? 雇用契約書の内容、様式などについて詳しく解説

雇用の際、会社と内定者で交わす雇用契約書。どのような内容や様式にすればいいのか、労働条件通知書との違いは何か、などを解説します。また、雇用契約の際には労働条件通知書の交付が義務づけられています。労働条件通知書で明示するべき項目についても併せて解説します。

1. 雇用契約書とは

雇用契約書とは

雇用契約書とはどのようなものか、その定義や、交付の義務について解説します。

1-1. 雇用契約書は、雇用契約を署名のある契約形式で書面にしたもの

雇用契約書は、雇用契約を署名のある契約形式で書面にしたものです。同じものを2通作成して署名捺印し、使用者(会社)と労働者が各1通保持します。

雇用契約とは、労働者が雇用されて労働すること、そして雇用する側である会社がその労働に対して労働者に賃金を支払うことを約束することで成立するものです。

契約に際しては労働時間や給与などの労働条件を提示し、理解を深めてから契約を結びます。労働条件は、求人時の条件ではなく、会社と労働者の間で結ばれた個別の雇用契約を指します。そのため、合意があれば求人時の労働条件と異なっていてもかまいません。

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1-2. 雇用契約書に交付義務はない

民法によれば、会社と労働者の合意があれば、雇用契約に書面は必要ありません。契約書を交わさなくても契約そのものは成立するため、雇用契約書の交付は義務づけられていません。

それでも、多くの企業では労働条件などを明示した雇用契約書を締結しています。口頭での確認のみでは、認識違いが起こった場合に雇用後のトラブルにつながる恐れがあるためです。

入社時に雇用契約書を結んでいなかった場合は、後から作成することも可能です。その場合、雇用契約書の日付欄を直近の日付にして契約を締結し、●月●日(入社日)を効力発生日とする旨を追記します。

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2. 労働条件通知書とは

労働条件通知書とは

雇用に際して交付しなければならない書類の一つに労働条件通知書があります。ここでは、労働条件通知書と雇用契約書の関係を解説します。

2-1. 労働条件通知書は、労働者に労働条件を提示する書類

労働条件通知書は「雇用契約を締結する前」に労働者に対して労働条件を提示する書類で、労働時間、給与、就業場所、業務内容などを明記します。

雇用契約に際して、会社と労働者は労働条件を書面で確認します。会社は労働条件の説明を行うとともに、労働者の質問に答えなければなりません。これにより、労働条件の認識が曖昧なまま雇用契約が成立してしまうことを防ぎます。

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2-2. 労働条件通知書は交付義務がある

労働条件通知書は、交付義務のある書類です。交付については労働基準法第15条で義務づけられています。

労働基準法第15条 労働条件の明示

  1. 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
  2. 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
  3. 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

労働条件通知書を交付しなかった場合は30万円以下の罰金が科されることがあります。

2-3. 労働条件通知書兼雇用契約書としてまとめてもよい

雇用契約を結ぶ際に雇用契約書の交付は義務づけられていないため、労働条件通知書を交付するだけでも法律上は問題ありません。

しかし、契約内容の行き違いによるトラブルを防ぐためには以下のどちらかの方法が望ましいでしょう。

  • 雇用契約書と労働条件通知書の両方を別々に書面で交付する
  • 労働条件通知書兼雇用契約書として一つの書類にまとめ、交付する

会社と労働者が合意のうえで署名する契約形式を取ることで、契約内容を相互に確認したという記録が残るためです。

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3. 雇用契約書の内容

雇用契約書の内容

雇用契約書を作成する際の形式や、明示すべき項目について解説します。労働条件通知書兼雇用契約書として労働条件通知書を含める際は、書面交付による明示が義務づけられている事項があるため、作成に注意が必要です。

3-1. 雇用契約書の形式

労働条件通知書と雇用契約書を別々に作成するケースの他に、労働条件通知書兼雇用契約書としてまとめるケースがあることを前項で解説しました。

雇用契約書と労働条件通知書に記載する内容は一部重複するため、労働条件通知書兼雇用契約書という形式にして一つの書類にまとめることはよく行われています。

その一方で、コンプライアンス(法令等の遵守)を強化している企業では労働条件通知書と雇用契約書を別々に作成するケースも見られます。労働条件通知書や就業規則を詳細に作成し、特に重要な点のみを抜粋して雇用契約書に記すという形式です。

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3-2. (1)労働条件の絶対的明示事項

労働条件通知書兼雇用契約書の形式をとる場合、労働条件通知書として必ず書面で明示しなければならない「絶対的明示事項」があります。

絶対的明示事項は以下の通りです。

  1. 労働契約の期間
  2. 就業の場所※、従事すべき業務
  3. 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
  4. 賃金(退職金、賞与等を除く)の決定・計算・支払いの方法、賃金の締め切り・支払いの時期、昇給に関する事項
  5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
  6. 契約更新の基準(有期労働契約の場合)

※近年はリモートワークの導入が進んでいますが、リモートワークの可能性がある場合はリモートワークを行う場所を明示する必要があります。場所の明示の例は、「自宅」や「使用者の許可する場所」などです。

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3-3. (2)労働条件の相対的明示事項

労働条件通知書には、相対的明示事項もあります。これは該当する項目がある場合にのみ明示すればよい事項のことで、口頭での明示でも可とされています。

相対的明示事項は以下の通りです。

  1. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項
  2. 臨時に支払われる賃金等及び手当の定めに関する事項
  3. 労働者に負担させる食費・作業用品その他に関する事項
  4. 安全衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  7. 表彰、制裁に関する事項
  8. 休職に関する事項

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3-4. (3)その他の必要な事項

雇用契約書あるいは労働条件通知書兼雇用契約書を作成する際に、絶対的明示事項と相対的明示事項以外に明示するべき項目は以下の通りです。

就業規則にある重要な事項

社内ルールを明示するという目的で抜粋して明示します。制裁の定め、減給や処分などの罰則規定などは特に、後のトラブルを避ける目的でも記載しておくとよいでしょう。

試用期間について

試用期間を設ける場合は以下の条件を明示し、同意を得ておきます。

  • 試用期間を設けること、またその期間
  • 試用期間を延長する可能性、延長する場合の事由、延長期間、延長回数
  • 本採用が見送られる場合の事由
  • 解雇通知の方法について

署名捺印欄

契約書には署名捺印欄が必要です。企業と内定者がそれぞれ署名捺印できる欄を設け、契約内容に同意した旨の記録を残します。

3-5. 労働条件通知書のひな形

厚生労働省の以下のWebページでは、労働条件通知書のひな形が公開されています。ひな形は一般労働者用、短時間労働者用、派遣労働者用などに分かれています。

【主要様式ダウンロードコーナー】(厚生労働省のサイトへ遷移します)

労働条件通知書兼雇用契約書を作成する場合は、上記のひな形をもとに、(2)労働条件の相対的明示事項と(3)その他の必要な事項で解説した内容を、契約内容に合わせて適宜加えます。また、署名捺印欄は必ず設けます。

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4. 労働条件通知書の電子化解禁

労働条件通知書の電子化解禁

労働条件通知書は書面による交付が原則ですが、2019年4月より電子上での配布も可能になりました。以下が電子化のための条件です。

  • 労働者が電子化を希望していること
  • 書面として印刷できる形であること(PDF形式などが望ましい)
  • FAX、Eメール、SNSメッセージなどの、特定の人のみ受信可能な電気通信による送付であること

労働者が希望していないにもかかわらず電子化された労働条件通知書のみを明示することは、労働基準関係法令の違反となります。電子上での配布を行う場合は、労働者が電子化を希望したことや、電子化された労働条件通知書を労働者が受け取り確認した旨が書いてあるEメール等の記録を残しておきましょう。

労働条件通知書兼雇用契約書の形式にする場合は、原本性を主張できる電子署名を付与することや、その他の電子帳簿保存法の要件を満たすことが最低条件となります。

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5. まとめ

雇用契約書に交付義務はありませんが、多くの企業は雇用契約書あるいは労働条件通知書兼雇用契約書を交付しています。労働条件を確認して相互に契約内容への理解を深めてから契約を交わし、後々のトラブルを回避しましょう。

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