人事課題
公開日: 2021/07/12  

エンパワーメントとは 〜組織の活性化、従業員の能力アップにつながる導入・実践のコツを紹介

エンパワーメントとは 〜組織の活性化、従業員の能力アップにつながる導入・実践のコツを紹介

組織を活性化するためには多様なアプローチがありますが、「エンパワーメント」も有効な施策のひとつです。エンパワーメントとは、従業員の能力を引き出し、一人一人がより自発的に動けるように促すこと。今回はエンパワーメントのメリットや、効果的な導入・実践のコツを説明します。

1. エンパワーメントとは

エンパワーメントとは

エンパワーメントは英語の「empowerment」が由来で、「力を引き出すこと」や「自信を与えること」などの意味があります。日本語では「エンパワメント」とも表記し、ビジネスの現場では一般的に「権限委譲」を意味します。管理職が持つ裁量や権限を部下に与え、スピーディーな意思決定や自発的な業務遂行を促す手法で、人材育成や組織マネージメントの一環として採用されています。
ただし、看護や福祉の現場では「患者や障害者らの自立に向けた支援」をさしたり、国際開発では「生活の変革」などの少し異なるニュアンスで用いられたりする場合もあるため、異業種の人と話す場合は少し注意が必要です。

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2. エンパワーメントで期待できるメリット

エンパワーメントで期待できるメリット

エンパワーメントにより、個々の従業員にも、組織としてもメリットを見込めます。以下にメリットを具体的に紹介していきます。

2-1. より効果的な人材育成

エンパワーメントによって裁量や権限を与えられた従業員は、「言われた仕事をこなせばいい」「いざというときは上司や先輩がいる」などというスタンスは通用しなくなり、自ら考えて仕事を進めなければなりません。それにより、これまで以上に能力を発揮できたり、成長のスピードが速まったりすることに期待できます。

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2-2. 従業員の責任感が増し、能動的になる

任せてもらえる仕事の幅が広がった従業員は、やりがいや当事者意識も高まり、責任感も増すでしょう。それに伴ってモチベーションもアップし、より能動的に仕事に取り組むことが見込めます。

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2-3. 組織の意思決定が迅速になる

これまでは会議や管理職の決裁などが必要だったことを、現場の従業員が判断できるようにすることで、組織の意思決定が迅速になります。それにより、管理職がより戦略的な仕事に時間や労力を割くことも可能になるでしょう。

2-4. 職場の風通しがよくなる

エンパワーメントによって従業員が自立することで、管理職や上司の顔色を必要以上にうかがって仕事をするような環境は改善できるでしょう。また、より自由に意見交換をできるようになって職場の活気が高まり、風通しがよくなるでしょう。

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2-5. 離職率の低下

エンパワーメントによってやりがいや自己肯定感を持って仕事ができ、風通しのよい職場になれば、従業員にとって「居心地がいいうえに成長できる会社」になるはずです。それにより、離職率の低下も見込めるでしょう。

2-6. サービス向上や業績アップ

現場の従業員の裁量や権限が増すことで、これまでは取引先や顧客に「会社に持ち帰って検討します」「上司に確認します」と言っていたことも担当者が判断できるようになり、よりスピーディーに対応できるようになります。それによりサービスが向上し、関係もより良好になることが見込めます。個々の従業員のパフォーマンスが高まり、業績アップにもつながるでしょう。

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3. エンパワーメントで想定されるデメリット

エンパワーメントで想定されるデメリット

ここまでエンパワーメントのメリットを紹介してきましたが、うまく実践できない場合、以下のようなデメリットが生じる可能性もあります。これらのデメリットを防ぐためのコツは、この後の「エンパワーメントを導入するステップ」や「エンパワーメントを円滑に進めるポイント」で紹介します。

3-1. 個人のパフォーマンス、業績の差が拡大

裁量や権限を与えられることでより仕事に身が入る従業員がいる一方、多大なプレッシャーやストレスを感じてしまう人もいます。そのため個人のパフォーマンスや業績の差が拡大してしまうかもしれません。

3-2. 従業員の管理が複雑化

エンパワーメントにより、これまでは逐一「報・連・相」を求めていたことでも、個人の判断や責任で進めてもらう仕事が増えることになります。それによって従業員の動きや仕事の進ちょく状況が把握しづらくなり、管理が複雑化してしまう場合もあります。

3-3. 組織の統制が困難になる

従業員によっては、組織やチームの指針や方向性を十分に理解せず、身勝手な判断をしてしまう恐れもあります。そのため組織の統制が困難になるケースも生じます。

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4. エンパワーメントを導入するステップ

エンパワーメントを導入するステップ

ここまでに述べたようにエンパワーメントにはメリットを期待できる一方、デメリットが生じる恐れもあります。効果的に導入するためには、以下のようなステップを踏んで丁寧に進めることが大事です。

4-1. 会社全体の機運醸成

まずは、エンパワーメントを行うことを会社として意識共有することが重要です。経営陣が乗り気でも現場やチームによっては後ろ向きだったり、逆に現場は進めたくても経営陣が難色を示したりする場合、スムーズには進みません。そのため、会社全体の機運醸成が第一ステップとなります。

4-2. 目標の設定

次に、個人やチームに対して目標を設定します。ここでは少し努力しないと達成できない高めの目標である「ストレッチゴール」にするのがオススメです。それにより、従業員一人一人の奮起を促し、最大限に努力して成果を出してくれることが見込めます。

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4-3. 権限や裁量を徐々に委譲する

今まで指示に従っていた従業員に一度に多くの権限や裁量を与えてしまうと、萎縮や暴走をして仕事をうまく回せなくなる恐れもあります。そのため、「ここまでならできるはず」という範囲で少しずつエンパワーメントを進めることが大事です。

4-4. 評価・フィードバックして改善する

エンパワーメントでは本人に仕事を任せることが重要とはいえ、「任せるだけ」では軌道に乗らないこともあります。上長は定期的に従業員とコミュニケーションをとり、評価やフィードバックを行い、必要に応じて施策を改善していくことが重要です。

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5. エンパワーメントを円滑に進める3つのポイント

エンパワーメントを円滑に進める3つのポイント

前述したデメリットを招かずにエンパワーメントを円滑に進めるためには、以下の3つのポイントを特に意識するといいでしょう。

5-1. やる気や自律性を高める働きかけをする

どんなに環境を整備して手順を踏んでエンパワーメントを進めても、裁量や権限が大きくなる分、最終的に結果が出るか出ないかは従業員次第になってしまいます。そのため、個人の内面的変化が成否のカギとなるでしょう。周囲は、本人のやる気や自律性が高まるような働きかけを行うことが重要となります。

5-2. 従業員を監視も放任もしない

前述したようにエンパワーメントを行ったら管理職は細かいことに口を出さないことが大事です。従来と同じように指示をしたり、報告を求めたりしてしまうと、「名ばかりのエンパワーメント」になりかねません。とはいえ放任するのではなく、つかず離れずの距離で見守り、迷ったらいつでも相談やフォローをできるような人間関係を築いておくことが大事です。

5-3. 失敗を容認する環境を整備する

エンパワーメントを受けた従業員は、これまで以上に高いレベルでチャレンジングな仕事をすることになります。そのため最初はうまくいかない場合もあるかもしれません。その際に叱責したり、ペナルティーを与えてしまったりすると、当人はもちろん、それを見ていた周囲も「無難な仕事」にとどめてしまう恐れがあります。失敗を容認する環境を整備し、常にポジティブに仕事をしてもらうことが重要です。

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6. エンパワーメントの実践事例

エンパワーメントの実践事例

最後に、エンパワーメントをうまく実践している企業を紹介します。

6-1. 株式会社星野リゾート

高級リゾートホテルや温泉旅館を運営している「株式会社星野リゾート」。かつてはトップダウンで経営改革を行っていましたが、ベテラン社員の退職が続いたことからエンパワーメントを経営に取り入れました。

人事権は会社の専決事項ともいわれますが、星野リゾートでは総支配人などのポストは社員の立候補で募り、誰が役職につくのがふさわしいかを議論して選任する仕組みもあります。

6-2. ザ・リッツ・カールトン

世界的な高級ホテルの「リッツ・カールトン」。従業員にはエンパワーメントとして、宿泊客らへのサービスに「1日2,000ドルの決裁権」が与えられています。例えばバースデーカード、食事中のワインのプレゼントなどを、上司の決裁を仰がずに宿泊客らに提供できるのです。

リッツ・カールトンといえば、会社の理念や従業員の行動指針をまとめた「クレド」が有名です。クレドの冒頭には「リッツ・カールトン・ホテルはお客様への心のこもったおもてなしと、快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえています」とあり、これに基づいて従業員にエンパワーメントを行っています。

6-3. スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社

人気コーヒーチェーンの「スターバックス」。チェーン展開する企業の場合、マニュアルに沿って運営することが一般的です。しかしスターバックスは、細かい接客マニュアルをあえて作成していません。会社の基本理念や使命の共有は徹底しますが、接客については「お客様が何をしてほしいかを考えてサービスしよう」という点のみで、あとは正社員もアルバイトも自ら考えて行動するように促しています。それがスタッフの働きがいも顧客満足度も高めている秘訣なのでしょう。

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7. エンパワーメントの目的は、権限委譲を通じた「組織のパフォーマンスの最大化」

エンパワーメントの目的は、権限委譲を通じた「組織のパフォーマンスの最大化」

エンパワーメントを通じて人材育成や顧客満足度の向上などさまざまなメリットが期待できる一方、失敗やデメリットが生じる恐れもあります。また、業務や部下の性格などによっては、向き・不向きがあることにも留意する必要があります。

エンパワーメントの最終的な目的は組織のパフォーマンスを最大限に高めるというところにあり「部下へ権限を与えること」はあくまで手段のひとつに過ぎません。「権限を与えたら、任せっぱなし」で終わるのではなく、権限を得た部下が自己成長し、さらに力を発揮できるような環境づくりやサポートがあってこそ成功するものと認識しましょう。

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