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公開日: 2021/07/14  

イントラプレナーとは? その意味や企業におけるメリットを紹介

イントラプレナーとは? その意味や企業におけるメリットを紹介

社内の起業家を表す「イントラプレナー(イントレプレナー)」をご存じでしょうか。イントラプレナーとは社内で新規事業を立ち上げる際にリーダーとなる人材のことであり、新規事業の創出や、保守的な社風の打破など、企業の経営課題を解決する力を持ちます。

本記事ではイントラプレナーの役割やメリット、企業に与える影響を紹介します。またイントラプレナーに必要なスキルと企業が行うべきサポートについても見ていきます。

1. イントラプレナーとは

イントラプレナーとは

イントラプレナーは「社内起業家」を指し、新規事業の立ち上げや新商品のアイデアを形にするプロジェクトなどにおいて、リーダーとしての役割を担う人材です。
イントラプレナーの活動には次のようなものがあります。

  • 社内公募で優秀な案を新規事業として立ち上げる
  • 社内に独立した研究開発チームをつくる
  • 社外に独立採算制のベンチャーを立ち上げる

上記のうち、ここからは主に「社内で新規事業を立ち上げる」ケースを想定して解説していきます。

1-1. アントレプレナーとの違い

「アントレプレナー」とは企業に属さない起業家のことです。同じ起業家ではありますが、イントラプレナーは、アントレプレナーと違い企業の枠組みの中で活動するため、事業の内容を自社の方針とすり合わせる必要があります。また、自分の判断で事業を継続するかどうかを決めるのではなく、企業の判断が入るなど、一定の制約があるといえます。

制約がある一方で、イントラプレナーは「社内人材」や「社内に蓄積されたノウハウ」といった企業のリソースを活用できます。また、アントレプレナーは自ら資金繰りを行いますが、イントラプレナーは企業の予算を使って活動します。場合によっては企業の信用力を生かした営業も行えるといった利点もあります。

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1-2. イントラプレナーが注目される理由

イントラプレナーが注目される理由として、ビジネス環境の変化が大きいことが挙げられます。
グローバル化やデジタル化によって、情報が広がるスピードや「ヒト・モノ・カネ」の移動など、さまざまな面での加速・変化が顕著になっており、今後どういったサービスやモノが求められ、ニーズが高まるのか、将来の予測が困難なVUCA(※)時代が到来したといえます。
体力のある大企業やブランド力のある企業でも、変化に対応できなければ競争に敗れてしまう可能性があり、企業には変化への柔軟な対応力が以前にも増して求められています。

企業が競争力を維持・強化するには、変化への感度を高め、リスク管理のもとで新しい事業にチャレンジすることが不可欠です。
そのためには「起業家のマインド」を持った人材を意識的に育成・採用していく必要があることから、イントラプレナーが注目されています。

※VUCA :Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4つの単語の頭文字をとった造語で「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」を意味する。

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2. イントラプレナーが企業にもたらすメリット

イントラプレナーが企業にもたらすメリット

VUCA時代において、企業が市場で生き残るために欠かせない存在ともいえるイントラプレナー。ここでは、イントラプレナーが企業にもたらすメリットを紹介します。

2-1. 新規事業の創出による企業成長

グローバル化やデジタル化による激しい市場の変化により、既存の事業が衰退する可能性があります。実際に、電子書籍やネットニュースの台頭により紙媒体の新聞の購読者数が減少したり、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話の普及により写真現像サービスの需要が低下したりといった変化が起きています。
このような市場の変化に打ち勝って企業が成長し続けるには、新規事業の創出が不可欠です。
イントラプレナーを企業として全面的に支援することで、変化に対応しながら新たな事業を生み出す力が増し、企業が成長し続けられるようになります。

2-2. 企業の未来を切り開く人材の発掘・育成

アイデアやチャレンジ精神を持った人材を、イントラプレナーとして社内で活用・育成することで、自社に新たな価値が生まれます。
社員のアイデアやチャレンジ精神をすくい上げるために、アイデア募集の制度を創設してもよいでしょう。
そのうえで必要な成長機会を提供し、サポートする体制が整えば、イントラプレナーの存在は、チャレンジ精神を持った人材にとってのロールモデルになりえます。また、魅力的なキャリアステージの一つとしてもアピールできるでしょう。
社員にとって、独立・転職するよりも、自社に残る方が成長機会を得やすいと感じられれば、意欲的な人材の流出を防止することにもつながります。

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2-3. 保守的な社風の打破

企業が成長・成熟していくと次のような課題が生じることも少なくありません。

  • リスクを恐れて保守的になる
  • 形式や前例を重視しすぎる
  • 縦割り組織となり、セクショナリズム(※)が発生しやすくなる
  • 過去の成長体験にこだわる

(※)セクショナリズム:自己の権利や利益だけに固執して、所属する組織全体の利益・効率を無視し、横の組織と協調・連携しないネガティブな傾向・状態を意味する。

これらは、いわゆる「大企業病」と呼ばれることが多い課題ですが、大企業だけでなく中小企業でも起こり得るものです。このような課題が解決されずにいると「意思決定が遅延する」「組織の硬直化により新しいアイデアが生まれなくなる」「部署間の連携が悪くなり、業務効率が落ちる」などの状態に陥り、競争力が低下してしまうおそれがあります。

イントラプレナーを積極的に支援する姿勢を経営陣が明確にすることは、社員に対して「保守的な社風を打破したい」という強いメッセージになるでしょう。社員の意識を変え、大企業病を克服していくきっかけになる可能性があります。

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3. イントラプレナーに必要なスキルとは

イントラプレナーに必要なスキルとは

「三井不動産株式会社・BASE Q」と「慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科」が共同で行った「イントレプレナーたる人材のマインドセットに関する調査研究」から、イントラプレナーに必要なスキルを紹介します。
これらのスキルを持った人材を発掘することと併せて、スキルを身に付けられるよう企業が育成・サポートしてくことが重要です。

3-1. 社会起点の視座

社会の「課題」もしくは、課題までいかずとも社会やユーザーが「何となく感じている不便さ」などをすくい上げ、それを解決していくという視点が、イントラプレナーには必要です。
加えて、昨今では「SDGs (Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」や、環境・社会・ガバナンスの観点から企業を分析して投資する「ESG投資」も視野に入れて、社会や投資家から評価される新規事業の創出も重要になってくるでしょう。
このように、多角的な視点から課題を見つけ、解決する意思を持つことによって、新しいビジネスやミッションの創造が可能になります。

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3-2. 自己分析力

イントラプレナーには、自分にどんな価値があり、その価値をどのように提供できるのかといった、自己分析をする能力が求められます。
それによってイントラプレナー本人がビジョンを明確化し、仕事に対してより大きなやりがいを持てるようになります。さらに、こうした自己認識を分かりやすくメンバーに伝えることで、メンバーのモチベーションも向上させることができるでしょう。

3-3. コミュニケーションスキル

新しい事業を円滑に進めるためには、社内ネットワークの活用やコミュニケーションが重要です。また、コミュニケーションの対象は社内だけとは限りません。必要に応じて社外との協力体制を構築する柔軟性も、イントラプレナーにとって重要なスキルです。

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3-4. 管理能力

社内で新規事業を創出するには、事業全体を見渡す視点が必要です。社会課題を解決するためのアイデアがあったとしても、収益化できないために実現されないケースは少なくありません。自社・他社分析に基づいた商品開発はもちろん、コストの管理、人材配置など、事業を成功に導いていくための管理能力がイントラプレナーには必要です。
また、業務フローにおける優先順位を決め、不要な部分の業務効率化を行うことも求められます。

3-5. 精神力

新規事業を創出する過程では、経営層から批判的な意見が出ることもあるでしょう。イントラプレナーには、それらに耐える、あるいは前向きに受け入れる精神力に加えて、新規事業に周りを巻き込むリーダーシップが必要です。
また、新たなチャレンジには失敗する可能性やリスクもあるため、失敗から学ぶ姿勢を持つこと、そしてどこまでリスクをとるか見極めるスキルも持たなくてはなりません。同時に、失敗を恐れず行動する精神力も求められます。

参考:「【共同研究】イントレプレナー”覚醒”の条件vol.1:イントレプレナーは、どのように覚醒するのか?|特定非営利活動法人 二枚目の名刺

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4. イントラプレナーが活躍するには企業のサポートが不可欠

イントラプレナーが活躍するには企業のサポートが不可欠

イントラプレナーとしてのポテンシャルを秘めた人材がいる場合でも、活躍できる「場」づくりは、企業が行う必要があります。イントラプレナーが能力を発揮できるように、企業ができるサポートとしては、企業リソースの提供、独立性のあるプロジェクトであることを周知することなどがあります。また、次のようなことも心掛けましょう。

4-1. 必要な裁量権を与える

予算の使い道や社外交渉における決定権など、イントラプレナーが事業を実現するために必要な裁量権を与えます。また、一定ラインまでのリスクは許容します。
新しい事業はスムーズに成功するとは限りません。あらかじめ許容できるリスクの範囲を示しておくことで、その範囲内でイントラプレナーがスキルを最大限に発揮することができます。

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4-2. 失敗から学べる環境をつくる

トライ&エラーは成功に必要な過程です。失敗に委縮せず、失敗から学べるように、経営陣は「短期的な結果を求めていない」ことをイントラプレナーや社内に広く発信し、長い目で見守りましょう。
結果を求めすぎると事業の価値に目が行きにくくなる弊害も生じます。経営陣は事業の価値を理解し、イントラプレナーのモチベーション向上を支援するとともに、心理的安全性を確保しましょう。

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4-3. 既存のプロジェクト管理やプロセスに沿うことを求めない

どの企業にも既存のプロジェクト管理やプロセスがありますが、それらに当てはめることで、新規事業のスピードが失われる可能性があります。またプロセスの厳守を重視することで、本来持っていた新規事業の弾力性や持ち味が損なわれてしまうかもしれません。

4-4. 既存のサービスや商品との競合も認めていく

イントラプレナーの自由な発想を尊重するなら、既存のサービスや商品と競合していたとしても、それを妨げるのは望ましくありません。「戦略やターゲットに違いがある」などの合理性があるならば、既存のサービスや商品との競合も認めていくことを検討しましょう。

4-5. 社内外の連携を支援

イントラプレナーが自身のアイデアや事業を実現しやすくなるよう社内の連携をサポートします。例えば、社内にイントラプレナーの事業に有益な人材がいれば紹介する、他部署も協力できるよう部署間の垣根を取り払う試みを行う、などが挙げられます。また必要に応じて社外との連携も検討します。

経済産業省が発表した「イノベーション政策について」によると、日本企業の研究開発投資の手法は「自社単独での開発」が61.4%、「グループ内企業」が8.4%との調査結果が出ており、外部連携の割合は低い傾向にあります。

しかし、資金や人材面で限界がある場合は社内でのサポートにこだわらず、他企業、大学などと連携して新規事業の創出をサポートすることが有効です。

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5. イントラプレナーが活躍できる企業文化を育むには

イントラプレナーが活躍できる企業文化を育むには

「わが社はこうあるべき」といった先入観や思い込みが社内に根付いてしまっていると、それと異なるアイデアが否定されることになり、イントラプレナーの活躍やイノベーションを阻むことがあります。そのような組織の硬直化を防止するためには、経営陣が率先して挑戦を奨励していくことが大切です。

イントラプレナーの活動がうまくいかなかった場合も、事業内容に価値があれば、挑戦した社員の評価がマイナスにならないような仕組みをつくります。「失敗した事業」と認識するのではなく、成功に至らなかった原因を追求して改善するための道筋を残せるようにサポートしていきましょう。

また、普段から流動的でオープンな組織を目指すことや、マニュアルやルールを固めず柔軟に対応することも組織として意識していきます。それらを実践することでイントラプレナーが活躍しやすい企業文化を醸成できるでしょう。企業文化が定着すれば、採用現場にも「イントラプレナーとして活躍したいと考える候補者」や「イントラプレナーになり得る素質・特性を持った候補者」が集まる可能性が高くなると考えられます。

イントラプレナーが「育ちやすい」「台頭しやすい」土壌を育むこと、そして未来のイントラプレナーを「見つける」「採用する」こと。双方の姿勢を持つことで多くのイントラプレナーが活躍する企業文化をつくっていきましょう。

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6. イントラプレナーは企業の競争力を高める存在

イントラプレナーは企業の競争力を高める存在

イントラプレナーは、経営的視点やリーダーシップを備え、新規プロジェクトを推し進める、企業の成長に欠かせない人材です。縦割り組織や保守的な企業体質に悩まされている場合は、それらを打破する一助にもなるでしょう。
イントラプレナーの発掘や育成、イントラプレナーの素質を持った人材の採用を実現するには、企業自体もイントラプレナーが活躍しやすい組織になることが必要です。イントラプレナーの活躍をサポートし、意欲的な社員が実力を発揮できる、価値ある企業に成長していきましょう。

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