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公開日: 2021/08/16  

人事・採用担当者が押さえておきたい 「いまさら聞けない」アルファベット略語 10選(人材育成編)

人事・採用担当者が押さえておきたい 「いまさら聞けない」アルファベット略語 10選(人材育成編)

社内や取引先の打ち合わせで、聞き慣れない「アルファベット略語」を耳にした経験はありませんか?

その場で確認ができれば良いのですが、質問もできないまま「なんとなく、アレかな」と推測しながら聞いていては、大事なポイントを聞き逃してしまうかもしれません。また、同じ「アルファベット略語」でも、複数の意味があったり、業界や会社によって「定義」や「その範囲」が異なったりすることもしばしば――。

今回の記事では、人事・採用担当者が押さえておきたいアルファベット略語の基礎知識を紹介します。シリーズ3回目となる今回は、人材採用・育成に関連する用語として「HSP」「MBO」「RJP」「TWI」を解説します。

第1回の「HRテックに関連する用語」はこちら
第2回の「戦略人事に関連する用語」はこちら

1. HSP

HSP

1-1. HSP(エイチ・エス・ピー)とは

HSPは「Highly Sensitive Person」の略語。よく「とても敏感な人」と訳されます。アメリカの心理学者エレイン・アーロンによって1996年に提唱され、近年日本でも注目を集めるようになりました。人間の気質(個人の性質)を表す概念であり、医学的な病気や障害の名前ではありません。

HSPは5人に1人の割合で存在するといわれています。何に対して敏感になるか、その対象は「光」や「音」「色」「匂い」といった外部の刺激から、「空気」や「雰囲気」といった曖昧・抽象的なものまでさまざまです。「繊細な人」「空気を読みすぎてしまう」と表される特色に近いといえるでしょう。

HSPの気質には「ものごとを深く処理する」「過剰に刺激を受けやすい」「感情反応が強く、共感力が強い」「ささいな刺激を察知する」という、4つの特徴があるとされています。これらの気質を持つため、車や飛行機に乗ると頭痛や吐き気が生じたり、職場や飲み会の盛り上がりや緊迫した空気感、ちょっとした他人の一言に感情を左右されたりと、心身に不調が生じるのです。

1-2. 気分障害・発達障害・不安障害とは違う?

似たような言葉に「気分障害」「発達障害」「不安障害」があります。しかし、それらとHSPにははっきりとした違いがあります。

気分障害・発達障害・不安障害は脳の機能を原因とした病気です。一方、HSPは人が生まれ持った気質についての心理学の用語です。病名ではないため、医師による判断が難しいとされています。

うつ病や双極性障害に代表される気分障害は、脳内のホルモンのバランスが崩れることによって生じます。気分の移り変わりが激しくなり、日常生活に支障をきたす病気です。また、パニック障害などで知られる不安障害は、心配や不安が過度になる病気です。

幼児のうちから行動面や情緒面に特徴が見られる発達障害は、生まれ持った特性である点でHSPと共通します。ただし、自分の内部に直接的な原因があるため、症状もしくは特徴の表れるきっかけが周囲の影響のみとは限らない点が、HSPと異なります。

いずれの病気もHSPとの類似点が多いため、医師に気分障害や発達障害と診断された人の中にも、HSPの人が多数含まれているという見方もあります。

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1-3. HSPが活躍するためのポイント

最近では人事の世界で、HSPの特性を生かして適切な人員配置を行う考えが注目されています。

例えば、周囲の人に敏感になりすぎるHSPは、多くの人を管理するようなマルチタスクは不向きです。一方で、自分のペースでものごとを突き詰められる、クリエイティブ職などのシングルタスクは向いているとされます。こうした考えから特性を考慮すると、エンジニアやアナリストのように正確さや集中力が求められる仕事、指導者やカウンセラーのように共感力が求められる仕事なども、適切な職種といえるでしょう。ただし、HSPは「何に対して敏感か」も人によってさまざま。そうした特性や強度も考慮し、人員配置を考えることが必要になります。

多様性を受け入れ、従業員の個性を生かしていくことが、企業にとって強い武器になるのが現代です。5人に1人という割合で存在するHSPを除外するのではなく、適性を見極めて能力を発揮できるようにマネジメントをすることが、全ての従業員が働きやすい環境づくりにもつながるでしょう。

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2. MBO

MBO

次に、マネジメント手法として定着している「MBO」について解説します。人材育成などに関わる場合は必須の用語となりますので、ポイントをつかんでおきましょう。

2-1. MBOとは

MBOは「Management by Objectives」の略語で「目標管理」を意味します。1950年代に経営学者のP.F.ドラッカーが提唱した概念であり、その後目標管理制度として体系化されました。日本では1960年代より徐々に浸透。現在は評価制度のスタンダードとして定着しています。

その特徴は、目標を個人やグループが設定し、その達成度合いで評価を決定すること。会社が定めた目標や項目に対して下す能力評価とは、方向性が大きく異なります。

評価では、業績だけでなく、それに向けたプロセスを含むのが主流です。そのため、目標を管理する上司は、部下とのコミュニケーションを通じて目標達成にアプローチすることが必要になります。

2-2. OKRとはどう違う?

目標管理制度として有名な言葉に「OKR」があります。「Objectives and Key Results(目標と主要な結果)」の略語であり、グーグルやインテルなど海外大手IT企業で導入されていることから、その名が知られています。

OKRでは、組織の目標(Objectives)を全社で共有し、それに対する成功指標(Key Results)を設定。その目標・成功指標を部門、チーム、個人と細分化します。MBOとOKRは個人の目標を設定することは共通しますが、MBOでは個人の目標を全社で共有することはありません。また、MBOでは目標達成の判断水準は100%であることに対し、OKRでは60〜70%に設定することも特徴です。

なお、同じ「MBO」でも、金融業界でよく使用される「Management Buyout」は、企業の合併・買収(M&A)手法の一つ。日本語では「経営陣買収」などと訳し「企業の経営陣が既存株主から自社の株式を取得し、オーナー経営者となる行為」のことを指します。人材育成におけるMBOとは、意味は全く異なります。

2-3. MBOを導入するメリット

MBOを導入するメリットの一つが、個人のパフォーマンスの向上です。個人やチームが目標を設定・共有することで、業務に対する主体的なアプローチを期待できます。

また、精度の高い評価が実現できるというメリットもあります。目標に対し、定期的に進ちょく確認や振り返りを行うことで、達成度合いを当事者と評価者が把握できるためです。目標達成のためのアプローチとしては、面談や目標管理シートの作成など、継続的なコミュニケーションによってPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回していくことが主な方法になります。

MBOは、ノルマのように運用してしまうと、結果として効果が得られません。目標を無理やり数値化したり、取り組み方を過度に明確化したりせず、定量目標と定性目標を使い分けながら、従業員がプロセスを具体的にイメージできるようにすることが有効だとされています。

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3. RJP

RJP

3-1. RJP(アール・ジェイ・ピー)とは

RJP(Realistic Job Preview)は、直訳すると「現実的な仕事情報の事前開示」です。採用プロセスにおいて、企業が求職者に対してネガティブな内容を含むリアルな情報を開示することを意味します。開示する具体的な情報内容は仕事内容、社風、福利厚生、職場環境などがあげられます。

RJPによる採用理論は、1970年代にアメリカの産業心理学者ジョン・ワナウスが提唱しました。近年RJPが注目されている背景には、新入社員が抱いた理想と現実のギャップによって悩み、離職などにいたる「リアリティショック」の課題化があります。RJPは早期離職の防止に効果があるため、多くの企業で導入されてきました。

また「ジョブ型採用」の普及も背景としてあげられます。担当業務の内容を明確化し、職務を限定した雇用契約によって採用をするジョブ型採用では、契約内容と実際の業務が乖離(かいり)した場合にトラブルに直結するため、RJPが重要視されているのです。

3-2. RJPを実施することのメリット

次にRJPを実施することのメリットを見ていきましょう。

RJPの具体的な効果としては、ミスマッチによって離職する求職者の応募を事前に抑制する「セルフスクリーニング効果」、企業の誠実な情報開示によって入社後の強い愛着や帰属意識が実現する「コミットメント効果」、入社後の失望や幻滅を防ぐ「ワクチン効果」があげられます。

採用の大きな課題である「雇用のミスマッチ」は、企業と候補者の双方における事前の情報不足が主な要因とされています。RJPによって雇用のミスマッチを解消することは、採用コストにおける無駄の削減や、新入社員のポストの適性化にもつながるのです。また、情報開示によって、求職者は仕事や環境を自身で選択するため、主体的に業務にあたることを期待できます。

仕事や職場環境を事前に把握できるインターンシップや、現場社員が採用活動に関わり、求職者に対して直接情報提供をするリクルーター制度など、近年RJPが活用されている機会は多くあるといえます。ただし、企業活動が日々変化する成長企業など、リアリティショックを前提とした採用活動のほうが適切な場合もあり、RJPが必ずしも有効に働くわけではないので注意も必要です。

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4. TWI

TWI

4-1. TWI(ティー・ダブル・アイ)とは

「TWI(Training Within Industry for Supervisors)」は、企業の監督者を対象にした研修のこと。監督者教育として世界的に普及しているプログラムであり、日本には1950年代に導入されました。

TWIは、第2次世界大戦中にアメリカの技術者たちによって開発された訓練方式です。その後、GHQによって日本にもたらされ、長年トヨタや日産といった製造業を中心に、現場の研修として活用されてきました。本国アメリカでは20世紀後半、一時的に衰退していましたが、21世紀を迎えると「TWIサミット」が毎年開催されるようになるなど、再び注目を集めています。

現在、日本におけるTWIに関する講習は、一般社団法人日本産業訓練協会や、都道府県の職業能力開発協会が実施しています。近年は短時間で概要を知ることができるセミナーなども用意され、汎用性が高いプログラムとして重要視されています。

4-2. TWIの内容

TWIのプログラムは、主に4つの講座から構成されます。

1. 仕事を教える技能 JI(Job Instruction)

相手が仕事を覚えないのは、監督者に責任があるという考えのもと「習う準備をさせる」「作業を説明する」「やらせてみる」「教えたあとをみる」の4段階の教え方などが教授されます。受講者の周囲にも手法が広がるので、職場全体の能力向上にもつながります。

2. 仕事のやり方を改善する技能 JM(Job Methods)

作業プロセスを細かく分解し、一つ一つについて必要性や目的、最適な方法を自問します。そのうえで「取り去る」「結合する」「よい順序に組み替える」「簡単にする」という4つの原則にもとづいて新しい方法を考え実施することで改善を図っていきます。

3. 人を扱う技能 JR(Job Relations)

職場におけるよりよい人間関係を築くために、人間性の尊重を基軸としたメソッドが用意されています。問題を解決するための「事実をつかむ」「よく考えて決める」「処置をとる」「あとを確かめる」から構成される4段階法など、具体化されたコミュニケーション手法が特徴です。

4. 安全作業のやり方を教える技能 JS(Job Safety)

安全衛生における職場監督者の責務の確認と「事前に対策を考えて処置する」という根底の考え、点検や教育など具体的な職場づくりの方法が示されます。

TWIを導入する多くの企業は、これらのフレームワークを応用してトレーニング体系を構築し、中長期的に継続・改善しています。

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5. まとめ

いくつかの英単語が並んだ言葉を短縮させた「アルファベット略語」。耳なじみのある単語だったかもしれませんが、あらためて言葉の定義を確認いただけたでしょうか。

市場や時代の変化に即し、経営戦略や人事戦略も変化し、次々と新たな考え方やキーワードが生まれています。テクノロジー領域だけでなく、人事・採用領域においても、知っておきたいアルファベット略語は増えています。その略語の言葉の意味に加え、「なぜ注目されているのか」その背景を知ることで、人材採用・育成のヒントが見つかるかもしれません。

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