インタビュー
2020/04/30

「オンボーディング」は採用段階で決まる ~AI inside 流「心を『裸』にする面接」とは~(第2回)

「オンボーディング」は採用段階で決まる ~AI inside 流「心を『裸』にする面接」とは~(第2回)

「世界中の人・物にAIを届け、豊かな未来社会に貢献する」というミッションのもと、AI事業のトップランナーとして業界をリードしているAI inside 株式会社(以下、AI inside)。「AIがコア事業である」という強みを積極的に発信し、経営層を巻き込みながら数多くの採用成功を生み出しています。その採用成功のカギを握っているのは、候補者と徹底的に向き合い、人の心を「裸」にする面接だといいます。

今回は、執行役員CROとしてセールス、アライアンス、カスタマーサクセスを統括する傍ら、ビジネスサイドの採用にも積極的に関わる梅田祥太朗様にインタビュー。面接のゴールを明確に設定し、入社後のオンボーディングも視野に入れた独自の採用手法についてお話を伺いました。

プロフィール

梅田 祥太朗 様 AI inside 株式会社 執行役員CRO 事業開発本部長

大学卒業後、金融機関での法人RM(リレーションシップ・マネジメント)や、ソフトウエアハウスでのセールスチームマネージャーを経て、2017年11月にAI inside 株式会社に入社。セールスの企画、実行を担当後、2019年4月より同社執行役員CROに就任し、セールス、アライアンス、カスタマーサクセスを統括。

経営層自ら、人と向き合う「採用」

面接終了後の食事会で、「入社への意欲ゼロ」から急転

私は3年前にAI inside に転職し、現在は執行役員CRO、事業開発本部長を担っています。しかし、実を言いますと、当初は入社するつもりは全くありませんでした。人材紹介会社から紹介されたとき、技術的な素晴らしさは理解できたものの、展開している「AI-OCR」はビジネスとしては非常にニッチな世界だと感じ、あまり興味を持てなかったためです。ただ、面接で社長の渡久地に会えると聞いて、「話をするだけなら」と足を運んでみることにしました。

実際に会えたのは最終となる2次面接でしたが、驚くことに渡久地は私の話を聞くばかりでほとんど話さず、たった一言「入社してくれますか?」と声をかけただけ。てっきり「自分は興味を持たれていないのか」と思っていました。2次面接終了後も「入社したい」という気持ちは正直ありませんでしたが、渡久地と会長の中沖に誘われ、面接後に急きょ3人で食事に行くことになりました。

2人と話して、まず興味がわいたのは、渡久地と中沖の「評価に対する考え方」が、自分の考えと非常に似ていた点です。例えば、「年功序列で給与が上がっていくような『平等』とは、実は『不平等』だ」という思いや、年齢や勤続年数にかかわらず、成果を正しく賃金に反映させるべきだという「Pay for Performance」の考え方など、経営層自らが声を上げていることに衝撃を受けました。そしてその考え方は、まさに私自身が目指す方向に近かったのです。ちょうどその頃、私は日本企業ではなく外資系企業に転職しようかと悩んでいたこともあり、外資系企業に通ずるような柔軟な発想と強い向上心に引き込まれていきました。

トップ自らが見せる「ありのままの姿」が入社の決め手に

経営層自ら、人と向き合う「採用」(梅田 祥太朗 様 AI inside株式会社)

そして何といっても、入社の意志を決定づけたのは社長である渡久地の人となりです。面接後の食事会というと、普通であれば自社の魅力や入社するメリットなどが語られ、説得されるものかと想像していましたが、決してそんなことはありませんでした。むしろ、渡久地は自身の弱みや失敗談を包み隠さず話し、ありのままの姿を見せてくれました。思い返せば、それは「採用」という目的を度外視したもので、「人対人」のシンプルな対話だったように思います。実際、気づけば私も親友しか知らないような弱い部分を話し、自分を飾らずに伝えることができました。

経営層のトップが採用の領域で、ここまで積極的に人と向き合ってくれる。「この会社に入ったら絶対に楽しく仕事ができる」と確信したのはこの時です。実は当時、すでに入社しようと考えていた企業があったのですが、すぐに連絡して内定を辞退し、AI inside への入社を決意。2人に出会わなければ、今頃全く違う道を歩んでいたと思います。

「採用」は最重要業務──。面接のゴール設定を明確に

良いことも悪いことも「率直」に伝え、相手の心を「丸裸」にする

現在、私は執行役員として事業を統括する立場にありますが、先ほど申し上げた入社経緯もあり、採用については「最重要業務」と捉えています。ただ、実際に向き合ってみるとこれが非常に難しい。というのも、「魅力的な会社」や「良い人材」の基準に絶対的なものはなく、それぞれに魅力があれば必ず課題もある。他社では「優秀な人材」として活躍した方であっても、その方が当社のカルチャーや事業戦略にマッチするとは限りません。採用においてまず重要なのは「相性」なのです。

そのためにまず、私が意識しているのは、必ず「率直」に話すことです。例えば自分の年収や会社の制度面の課題など、お会いした候補者が気になっていることに対しては、包み隠さず答えています。

まずは自分が「丸裸」になる。良いことも悪いことも、ありのまま伝える。そうすることで、「自分を良く見せたい」という候補者の演技や建前を取り払い、素の状態で弱いところも見せられる状況を作るようにしています。面接の場というと、ついお互いに「アピール合戦」となってしまいがちではないでしょうか。しかし、ミスマッチが生まれて早期退職となれば、候補者にとってはキャリアに傷がついてしまいますし、会社としても採用コストの増加を招き、双方にとって不幸な結果になってしまいます。

数十回以上面接をしていますが、決まった質問もなければ、入社を決めてもらうためのテクニックといったものもありません。面接のたびに、その瞬間にお会いした方に合わせて進め方や質問内容を変えています。例えば、履歴書には書かれていなかった高校時代のアルバイトの話を30分ほどかけて聞いたり、他に入社を迷っている会社があれば、ストレートに悩んでいるポイントを尋ねたり。とにかく、その人の心を「丸裸」にすることを面接におけるゴールにしています。

「採用」は最重要業務──。面接のゴール設定を明確に(梅田 祥太朗 様 AI inside株式会社)

職種に「格差」なし。給与の等級定義をすべて言語化する

採用時に現職の給与をあまり気にしないのも、当社ならではの特徴かもしれません。過去の職歴や学歴はあくまでも参考程度。面接で感じた能力・ポテンシャルの見込みを基に「当社でどのレベルに属するか」「入社後、どのように活躍してくれそうか」を判断し、社内で定められている等級によって決定しています。

等級の定義に関しては現在すべて言語化しています。これは、当社が大事にしている価値観・行動規範を記した「Rules of Innovation」の3つのルール、「Client First」「Be Positive」「Stay Simple」をブレイクダウンしたもので、等級ごとに何が求められるのかを明確にしています。その項目をベースとして候補者の方が当社に入社した場合はどのレベルに属するかを面接時にすり合わせられるため、公平性を担保して、適切な処遇設定ができているのだと思います。

また、この定義は部署間の格差をなくすことにも役立っています。例えば、AIエンジニアは一般的に競争が激しく採用しづらいこともあり、年収が高くなりがちです。しかし、当社においては、AIをコア事業としていることもあってか、候補者に比較的魅力に感じてもらいやすい職種で、最も採用成功しやすいポジションの一つとなっています。一方で、当社が苦戦しているのがビジネスサイドの採用です。

どんなに素晴らしい製品を開発しても、使用してくれるお客様がいなければビジネスは始まらない。つまり、エンジニアサイドの人材もビジネスサイドの人材も、同等に事業の要を担う大切な役割なのです。当社はそう考え、両者に給与面で格差が生まれないよう、その人自身に向き合って評価するために、明確な定義付けに取り組んでいます。

採用活動の段階で、「オンボーディング」は始まっている

採用活動の段階で、「オンボーディング」は始まっている(梅田 祥太朗 様 AI inside株式会社)

社員一人一人の「違和感」を拾うのが仕事

面接において大切にしていることの一つに、候補者に対して、自分が「セーフティーネット」であることをしっかり伝えるというものがあります。「万が一何があっても、この人がいるなら大丈夫」と思って、それが入社を決める一つのきっかけになっていたらうれしいですね。もちろんこれは、入社後、会社の一員となったメンバー全員に対しても同じ思いで接しています。

入社前にどれだけすり合わせても、実際に入ってみると、ギャップや想像通りにいかないことが必ず生まれてしまうものです。その問題を解消せずに仕事を続けても、本人のパフォーマンスやモチベーションは下がり、会社からの評価も下がりかねません。そうした負の連鎖を生まないように、どんなに小さな粒度であっても、気になることは必ず声を上げてもらうようにしています。

会社や上司が指示をしなくとも、自発的に問題意識を持ち、能動的に行動してくれる社員は、会社にとって非常に重要な存在です。だからこそ、現場から上がってくる声には必ず耳を傾け、社員一人一人の「違和感」を拾いつくす。それが、自分の仕事だと考えています。「何か問題が発生してもこの人に相談すれば安心だ」と思ってもらえる環境を作ることが、社長直下のポジションにいる立場として最も気をつけていることです。

徹底的に「オープンコミュニケーション」にこだわり、組織の壁をなくす

社長や上司がリスペクトできる人かどうかは、働くうえで大きな要素になるでしょう。しかし、それは時に尊敬ではなく、「畏怖(いふ)」や「恐怖」になってしまう場合があります。しかしそれでは、せっかく採用しても本来の能力や自由な発想力を発揮してもらえず、オンボーディングはうまくいきません。

私はその壁を壊すため、徹底的に「オープンコミュニケーション」にこだわっています。社員の前で社長と冗談を言い合うのは日常ですし、役職員同士で話すときも個室でなくオープンな場所で行い、「見える化」しています。「Slack」(社内のコミュニケーションツール)を使用する際も、個人間のダイレクトメッセージではなく、可能な限りオープンな場でやりとりし、自分が何を考えているのか、どんな意志を持って動いているのかを社員につまびらかにしています。

役職者も社員も関係なく、思ったことを伝えられる。そうした距離感の近さを意識的に発信し続けてきたかいがあってか、当社の社員は非常にオープンマインドで、自由闊達(かったつ)に話し合える関係性が築けているように思います。

また、当社にはいわゆる「飲みニケーション」のような文化はほとんどありません。しかし、仕事を通して活発なコミュニケーションが行われることで、決まった「グループ」としてではなく、あらゆる人とゆるやかに結びついた「疎結合的なつながり」が育まれています。役職や職種はもちろん、性別も国籍も関係なく、ダイバーシティー(多様性)が自然に成立する。そうしたAI inside らしい組織のつながりを、候補者の方にもオープンに伝えています。だからこそ、入社後も「常にオープンでいよう」というマインドセットを共通で持ち、自分らしくまっすぐに活躍いただくことができているのでしょう。

採用は、「その人の人生」を預かる仕事

個々の未来とキャリアに向き合うことが、会社と人の成長につながる

採用は、「その人の人生」を預かる仕事(梅田 祥太朗 様 AI inside株式会社)

私は人事畑のキャリアではないのですが、当社で採用に関わるようになって強く感じるようになったのは、採用は「他人の人生を預かること」だということです。

前職でマネージャーとして8名ほどのチームメンバーを取りまとめていたころの話です。当時は、従業員数が多い会社だったため、チームに合わない人材は他部署に異動させて、新しいメンバーを迎え入れるなど、人員の配置転換は比較的簡単にできました。しかし思い返すと、チームや会社の成果を一番に考えるあまり、「その人」自身のことを考えることができていませんでした。指導方法を工夫すれば活躍できていた可能性もあるのに、私が営業から他部署に異動させたことで、その人はもう二度と営業に携わらないかもしれません。私の判断がその人の将来の芽をつまんでしまった可能性もある、今になってそう気づきました。

ただ、AI inside に転職して状況は一変しました。まだ会社は数十人規模と小さく、チームに合わない人を他部署に異動させるなんてことは当然不可能。チームにうまくフィットしないメンバーがいても、とことん向き合うしかない。そのことに気づき、実際に本気で人と向き合ったとき、「この人の人生を預かっている」とはじめて痛感しました。一人一人の未来やキャリアに向き合うことは、その人自身はもちろん、会社もともに成長していくうえで不可欠なこと。「採用」を通じて、その思いは日々強まっています。

一人一人の選択肢を広げる新たなSaaSの営業組織を

「内定承諾率9割」のカギ ~AI inside 流「正直な採用」とは~(第1回)

梅田様と、人事担当の上山様(右)。

昨今、SaaSの世界では分業制度を取り入れる会社が増えています。しかし、私は先ほどお話ししたような経験から、現在のチームでは採用後も極端な分業はしていません。会社としては分業によって効率が上がるかもしれませんが、社員にとっては非常に狭い領域でのプロフェッショナルになってしまいます。人生100年時代といわれる今、それではもったいない。私のチームですと、平均年齢30歳と非常に若いこともあり、キャリアの選択肢を狭めたくないと考えています。そのため、時には大きなジョブローテーションも行いますし、業務を変えたいという意見があれば柔軟に受け入れようと取り組んでいます。

また、自分のチームにいる40人のメンバーに対して月次で1on1(1対1のミーティング)を行っていますが、そこでも日々気づきがあります。例えば、私からすると1対40のつもりで話した些細なメッセージも、受け取る側にとってはあくまで1対1で、非常に大きな出来事として捉えられることもある。そうした少しのずれが双方の信頼関係を崩してしまうリスクになると気づいてから、メンバーと向き合う時間をより大切にするようになりました。

最近の1on1では、日々の業務の話だけでなく、「何のために生きているの?」というような、その人の内面により踏み込んだ内容を問いかけることも増えました。「人生観の開発」といったら大げさかもしれませんが、メンバー一人一人をもっと深く理解したいと考えています。

それは、今いるメンバーだけでなく、これから仲間になってくれる可能性のある候補者の方々も同じです。だからこそ、私は自ら心を「裸」にしてその思いを伝え、候補者と真正面から向き合う。非常にセンシティブで難度が高いことではありますが、「良い組織」を作っていくうえでこれからも大切にしていきたいと考えています。

関連情報(https://bizreach.biz/media/aiinside1)

関連情報(https://bizreach.biz/media/aiinside3)

人材要件定義だけでなく「ペルソナ」設計も重要な理由

ミスマッチを防ぐために「求める人物像」を言語化しよう

人材要件定義だけでなく「ペルソナ」設計もしっかり行う。それが採用成功への近道です。

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