インタビュー
2020/03/19

顧客の「DXパートナー」となり、社会に新たな価値を届け続ける/株式会社野村総合研究所|FUTURE of WORK

顧客の「DXパートナー」となり、社会に新たな価値を届け続ける/株式会社野村総合研究所|FUTURE of WORK

株式会社野村総合研究所

株式会社野村総合研究所

経営役 人事部長

柳澤 花芽 様

デジタル技術を駆使して新たなビジネスモデルを生み出す「デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)」(※)があらゆる業界で加速しています。一方で、IT人材不足は深刻化しており、多くの日本企業が「DXの実現を推進する人材を社内で確保・育成できない」という課題を抱えています。このようななか、30年以上にわたりコンサルティング事業とITソリューション事業の両輪で、お客様の課題を解決してきた野村総合研究所(NRI)には、日本企業のDX推進におけるエンジンとしての役割が期待されています。コーポレート・ステートメントで「未来創発」を掲げる同社は、どのような人事戦略のもと、顧客の「DXパートナー」となり、未来をつくっていくのでしょうか。同社の経営役人事部長の柳澤花芽様に、ビズリーチ代表取締役社長の南壮一郎が話を伺いました。

※デジタルトランスフォーメーション(DX):デジタル技術を駆使し、企業のビジネスモデルや経営、業務プロセスを変革すること、ひいては産業や社会のあり方に変革をもたらすこと

本記事は、株式会社ビズリーチの創業10年を記念して運営していたWebメディア「FUTURE of WORK」(2019年5月~2020年3月)に掲載された記事を転載したものです。所属・役職等は取材時点のものとなります。

DX時代における、さまざまなお客様の「はじめの一歩」を支援

DX時代における、さまざまなお客様の「はじめの一歩」を支援(野村総合研究所)

南:2019年は御社にとって「中期経営計画(2019~2022)」の初年度でした。この「中期経営計画」を策定するにあたり、2015年に掲げられた長期経営ビジョン「Vision2022」から変更したコンセプトなどはあるのでしょうか。

柳澤様(以下、柳澤):「Vision2022」は、野村総合研究所(以下、NRI)の強みを基礎に、イノベーションに果敢に取り組む企業として自らをポジショニングしていく2022年度末までのストーリーです。「Vision2022」においても「デジタルテクノロジーがこれからのイノベーションを牽引する」というメッセージを掲げ、その重要性については触れておりましたが、2015年当時「デジタルトランスフォーメーション(DX)」というキーワードは使用しておらず、またこれほどまでにDXに対するお客様の関心や危機意識が高まるとは想定しておりませんでした。

また、この数年で、お客様のビジネスにおける「ITの役割」が大きく変化していることを強く感じます。以前のITの役割といえば、バックオフィス業務に活用することで、いかに正確で速く業務が処理できるかなど「効率化ツールとしての価値」が問われてきました。しかし、現在においては、ITのカバー領域が格段に広がり、ビジネスの根幹を支えるだけでなく、「新しい価値創出のカギ」としての機能へも期待が高まっています。

当社は、企画・構想段階からコンサルティングとITソリューションでお客様と併走し、仮説検証を繰り返しながらビジネスを創出する「コンソリューション(R)」の提供を強みとしてきました。スピード感を持ってお客様の課題を解決するために、コンサルタントとエンジニアが一緒になって考えるこのモデルは、これまでもご提案していたのですが、その必要性を感じてくださるお客様や案件は限られていました。しかしながら、技術が目まぐるしいスピードで進化しているDX時代の今、確実に「コンソリューション(R)」のニーズが高まっていると、その手応えを感じています。

南:2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」では、衝撃的な日本の未来が報告されました。このレポートによって、これまでは担当部門に任せきりでIT投資にあまり関心がなかった経営者も、デジタル化への対応が企業の存続に影響を与え得る重要事項であることを認識し、「DXに取り組まなくては、生き残れない」という危機感を持ち始めたと思います。一方で、焦燥感が先行するあまりに、「何のために変革を起こすのか」という大義を見失っている企業様も少なくありません。御社に寄せられる相談内容にも変化は起きているのでしょうか。

柳澤:以前に比べて、相談内容の範囲が広く、経営に近い話になっていることは確かです。「CDO(Chief Digital Officer:デジタル戦略責任者)に任命されたが、何から始めたらよいかわからない」といった相談を受けることも少なくありません。ご相談をいただいた企業様の置かれたビジネス環境や強みを洗い出し、どこに新しいビジネスの可能性があるのかを共に考えることもあれば、「アイデアはあるが、実現の仕方がわからない」というお客様と共に合弁会社をつくりビジネスにしていくケースなど、お客様のDX実現に向けた当社の支援の仕方はさまざまです。

キャリア採用を倍増させ、外部人材と共に「多様性ある組織」へ進化

キャリア採用を倍増させ、外部人材と共に「多様性ある組織」へ進化

南:中期経営計画で「キャリア採用の人数を倍増させる」という計画を拝見しました。御社がキャリア採用に力を入れている背景についてお聞かせください。

柳澤:DX戦略をはじめ事業成長を支える人材・リソースが必要なのはもちろんのことですが、「人材の流動化が加速している」という世の中の変化も大きいです。非常にシンプルではありますが、これだけ優秀な人材が転職市場にいるなかで、あえて「キャリア採用を強化しない」という選択肢を選ぶのは、企業として「機会損失」だと思ったからです。

ここ数年で、キャリア採用人数は倍以上になりました。「数」を経験したことで、採用の仕方やオンボーディングの進め方、現場での受け入れ方など、組織としての採用ノウハウが蓄積され、新たな発見や課題が明確になってきました。今後は、それらのノウハウをさらに充実させることで、キャリア採用を成功しやすくするだけでなく、「多様性のある組織」として進化していくことも期待しています。入社した当初は、多様な価値観・可能性を持った人材だったとしても、組織になじむに従って、思考や行動が同一化することは避けられません。だからこそ、外部人材を絶えず採用して組織をシャッフルすることが、大きな刺激になります。また、新しいビジネスのアイデアの発想は、こうした多様性のなかから生まれてくるでしょう。

南:これまで以上の採用目標人数を達成するには、人事部だけではなく、事業部側の協力も欠かせないと思います。御社は現場をうまく巻き込んでキャリア採用を進められていると伺いましたが、何か秘訣(ひけつ)があるのでしょうか。

柳澤:NRIには「お客様の期待を超える」というカルチャーが根付いており、キャリア採用においてもこのカルチャーマッチを重要視しています。このマッチングを見る際には、人事ではなく、共に働く現場の社員に判断してもらうのがよいと考えております。また候補者にとっても、「この人と一緒に働きたい」と思ってもらうことが、強力な訴求ポイントになると考えていますので、現場の協力は欠かせません。

人事部としては、これまでも現場のニーズを把握したうえで採用活動に取り組んではいたものの、業務上の暗黙知やフィーリング、技術に関する情報も専門性が高く、全ての採用ポジションを深く理解するには限界がありました。現場からすると、人材不足に対する危機意識も高まるなか、「自分たちももっと関与した方が、求める人材を採用できるかもしれない」と思う部分があったのではないかと思います。そのようななか、現場主導型での採用成功が増えてきて、「それならうちの部署もやってみよう」と隣の部署にも波及していきました。現在では、現場と人事が協力しながら、求める人材を採用する力がついてきています。

「お客様の期待を超える」というカルチャー

南:適材適所での人材配置を実践できるのは、プロジェクトマネジメントが得意な方が多い御社ならではのエピソードですね。

多様な人材を外部から採用していくことに加え、社員の組織を越えたコラボレーションも、DXを推進するうえで重要なカギになると思います。社内のナレッジ共有についてはどのように取り組まれているのでしょうか。

柳澤:社内の誰が過去にどのようなプロジェクトに取り組み、どのような資格を持っていて、得意分野は何なのかなどを見ることができる「ヒトシル」というNRI独自の社員データベースを構築しています。これは組織として、個人のスキル・経験を共有し、お客様への価値提供の質を向上させることを狙いとしています。自分にとって新しい仕事で、かつ、部内や同期にもノウハウを持つ経験者がいないときに、このデータベースをチェックすることで、社員同士の交流や、知の共有が自然に起きることを期待しています。

NRIのコンサルティング事業本部には、約20年前からこのデータベースの前身ともいえるナレッジを共有するツールがあり、プロジェクトに応じて、部を横断したアサインが実現していました。現在、試行錯誤の真っただ中ではありますが、データベースを全社に展開することで、これまでにないコラボレーションからイノベーションが起きてくれることを期待しています。

南:2019年4月1日から「働き方改革関連法」が施行され、より生産性の高い働き方が求められています。適切かつ効率的に人材を活用するための施策の一つとして「社内の人的資源の可視化」への関心が高まっていますが、御社では20年も前から先駆けて独自に構築されていたのですね。

弊社も2019年に従業員データベース「HRMOS CORE(ハーモス コア)」というサービスを公開し、さまざまなお客様からご相談をいただいております。「ITツールで人を管理する」ということに抵抗がある方もおいでかもしれませんが、テクノロジーによって業務が効率化されているからこそ、「人にしかできない役割」も明確になり、そこに注力できます。HRテックツールのカバー領域は広く「わが社では、使いこなせないのではないか」という相談をいただくこともありますが、難しく捉えずに、まずは「できることから」チャレンジしてほしいですね。

スキルチェンジを避けては通れない時代。「変化すること」を楽しんでほしい

スキルチェンジを避けては通れない時代。「変化すること」を楽しんでほしい

南:「人生100年時代」といわれ、労働寿命は長くなる一方、情報技術の進化などによって企業を取り巻く競争環境は激化し、事業の寿命は短くなっています。「定年まで一社で働き続ける」ということは考えにくい時代になりましたが、このような状況のなかで、柳澤さんが社員の方に大切にしてほしいと思う視点について、お聞かせください。

柳澤:社員一人一人が自分自身の人生と将来的なキャリアを考え、行動する「自主性」が大切であると考えます。「会社が決めた配属先の部署で頑張っているうちに、いつのまにか経験が積まれ、自分のスキルやキャリアとなり、昇進した」というケースも過去にはあったかもしれません。しかし、技術が日進月歩で進化し、ビジネスモデルが変化し続けるなかでは、会社が与えた仕事だけをしておけばキャリアを積むことができる、というスタンスでいては時代に取り残されてしまいます。逆に、スキルチェンジは避けて通れないこれからの時代において、「常に変化していきたい。変化することが楽しい」と思える人は強いでしょう。

意識を変えることは簡単ではありませんが、「何歳になっても新しいことにチャレンジすることの楽しさ。そして、それは自分自身の未来や可能性を広げる」というメッセージを伝え、できるだけ多くの人に共感してもらいたい気持ちは強くあります。また、人事として社員の変化や挑戦を後押しする仕組みや仕掛けは、これからどんどんつくっていきたいですね。

20代は『修業』、30代は『練習試合』、40代からようやく『公式戦』である

南:私も「変化しない、挑戦しない」ことの方が「怖い」と思ってしまう性格です。私の世代の場合は、恐らく60年間ほど働くことになるでしょう。そうするとこれまで働いてきた20年間というのは、まだ3分の1にすぎません。今、目の前のキャリアに悩んでいる20~40代の方は多いかもしれませんが、長い目でみれば「まだ始まったばかり」といっても過言ではありません。

私は昔から自分のキャリアを「20代は『修業』、30代は『練習試合』、40代からようやく『公式戦』である」と捉えてきました。大学卒業後、投資銀行を経て、28歳でプロ野球球団の立ち上げに携わり、33歳でビズリーチを起業するという、私が選択してきたキャリアを理解してくれる人は、これまでほとんどいませんでした。しかし、「人生100年時代」が到来した今では、変化の多い私のキャリア観に共感していただける人も増えてきたように思います。

最後に、これから10年、20年後に、「NRIがどのような企業であってほしい」と考えていらっしゃいますか。柳澤さん個人の思いをお聞かせください。

柳澤:「社会やお客様に新たな価値を提供したい」「ワクワクする仕事ができそう」というビジョンやバリューに共感して、NRIに就職・転職してくれる方が増えるとうれしいですし、社員にとってもNRIで働いていることが誇りとなる会社であってほしいです。そのためにも「社会課題を解決し、新しい価値を生み出していること」を、社員自身が実感できるような環境づくりが必要だと考えています。自分たちの仕事が、未来や社会をつくっているということを、呼吸をするかのようにごく自然に感じられるような組織・企業となってほしいです。

野村総合研究所柳澤様×ビズリーチ南

柳澤 花芽 様 略歴

1991年、東京大学卒業。同年、株式会社野村総合研究所入社。システム部門に配属、業務分析などシステム開発の上流工程を経験。96年、コンサルティング部門に異動となり、以降幅広い業界の事業戦略、組織開発、サステナビリティ経営などのコンサルティングに従事。2019年4月、経営役 人事・人材開発副担当兼人事部長に就任、現在に至る。

取材・文:高橋 秀典
カメラマン:棚橋 亮
記事掲載:2020/1/7

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