インタビュー
2020/03/23

「地域」と「お客さま」へ尽くす、世界一のバリューリテーラーへ/ウォルマート・ジャパン・ホールディングス株式会社・合同会社西友|FUTURE of WORK

「地域」と「お客さま」へ尽くす、世界一のバリューリテーラーへ/ウォルマート・ジャパン・ホールディングス株式会社・合同会社西友|FUTURE of WORK

ウォルマート・ジャパン・ホールディングス株式会社/合同会社西友

ウォルマート・ジャパン・ホールディングス株式会社/合同会社西友

執行役員 SVP CHRO

黒川 華恵 様

世界最大の売り上げを誇るウォルマートと2002年に業務提携し、2008年に同社の完全子会社となった合同会社西友(以下、西友)。企業理念である「Saving people money so they can live better.(お客さまに低価格で価値あるお買物の機会を提供し、より豊かな生活の実現に寄与すること)」を目指し、日本のお客さまのニーズに寄り添い、ビジネスを展開しています。

人口減少や少子高齢化、ECの台頭など小売業を取り巻く環境は大きく変化するなか、西友ではどのような経営戦略・人事戦略のもと、未来のリテールビジネスを創っていくのでしょうか。同社の人財部責任者として活躍する黒川華恵様に、株式会社ビズリーチ代表取締役社長の南壮一郎が伺いました。

本記事は、株式会社ビズリーチの創業10年を記念して運営していたWebメディア「FUTURE of WORK」(2019年5月~2020年3月)に掲載された記事を転載したものです。所属・役職等は取材時点のものとなります。

社会インフラの一つとして、「地域に密着したバリューリテーラー」へ

社会インフラの一つとして、「地域に密着したバリューリテーラー」へ(ウォルマート・ジャパン・ホールディングス)

南:2019年は、ウォルマート・ジャパン/西友のCEO(最高経営責任者)としてリオネル・デスクリー氏が就任し、6月には新たな事業計画を発表されました。御社にとって2019年は「新たな一歩を踏み出した年」になったと思いますが、現在どのような戦略のもと、新たなフェーズに挑んでいるのでしょうか。

黒川様(以下、黒川):欧米で店舗を展開する大手小売企業デルハイツ・グループにおいて、10年以上にわたりトップマネジメントをしてきたデスクリーは、2019年1月、ウォルマートの日本における子会社「西友」に新しい視点をもたらす責務を担い、ウォルマートに入社しました。そして、同年6月、東京で開催された社員向けの対話集会で、彼は西友の今後3年間の事業計画「SPARK2022」を発表しました。

これまでも、西友はウォルマート・グループのミッションである「お客さまに低価格で価値あるお買物の機会を提供し、より豊かな生活の実現に寄与する」の実現を目指して、ウォルマートのビジネスモデル「Every Day Low Price(EDLP:毎日低価格)」を推進してきました。この考え方は今後も変わりませんが、今回の新事業計画で明確にしたことは、「地域に密着した先進的で革新的なバリューリテーラー」になることです。具体的には4つの柱「よりお客さまの声を重視した店舗ビジネスの成長」「生鮮食品へのこだわり」「オムニチャネル戦略の加速化」「ローコストオペレーション」に注力することを発表しました。私たちは価格の安さだけで勝負をする「ディスカウンター」ではなく、その店舗にお越しになるお客さまにとって価値のある商品を適正価格で提供し続けられる「息の長いリテーラー」になることを目指しています。

「SPARK2022」を進めるにあたり、改革推進という電車がようやくホームから出発し、動き始めたところです。乗り越えなければならないさまざまな課題が見えてきたなかで、アソシエイト(=従業員)一人一人が「SPARK2022」を達成するためのWinning Behavior (お客さまに最大の価値を提供することを常に第一に考え、失敗を恐れずに、シンプルかつ迅速に仕事を進め、ビジネスに勝つための行動原則)を実践しながら改革を推進していく必要があります。未来の小売業創造に向けて、改革を加速化できる強いチームで「SPARK2022」達成に向けて取り組んでいきたいと考えています。

最適化するにはデータ活用がカギとなる

南:私たちの生活にかかせないスーパーマーケットは、常にさまざまな種類の食品・日用品をそろえていますが、なかでも多種多様な生鮮食品のサプライチェーンは非常に複雑だと思います。最適化するにはデータ活用がカギとなるのでしょうか。

黒川:はい、生鮮食品の生産動向から流通、消費傾向までをタイムリーに予測するには統計学の知識が必要です。データ活用によって予測モデルを高度化し、流通を効率化するだけではなく、店頭で商品の「鮮度」をどのように伝えていくかなど「売場での見せ方」にも工夫を凝らしています。私たちは生産者の方から仕入れたものすべてをお客さまに届ける責任があると考えておりますので、その目標に向かい日々改善に取り組んでいます。

2018年10月には、楽天株式会社と共同で、「楽天西友ネットスーパー」をグランドオープンしました。ネットスーパーは実店舗にはない配送体制の構築や、デジタル領域での強みがカギを握ります。オフラインとオンラインで課題や戦略は異なりますが、どちらもデータドリブンに事業を推進・変革できる人財が必要です。テクノロジーへの投資も、それを活用する人財への投資も、事業を進めるうえで非常に重要だと考えています。

いかなる時代も、戦略の中心にいるのは「人」

いかなる時代も、戦略の中心にいるのは「人」

南:2019年6月の新事業計画を発表した際に、「株式再上場を目指す」ことも表明されましたが、この大きな目標に向けて、どのような価値観やマインドを持っている方とともに、取り組んでいきたいですか。

黒川:ウォルマートでは、「お客さまのために尽くす」「すべての人を尊重する」「常に最高を目指す」「倫理観をもって行動する」という4つのバリューを定めています。そのなかでも、私たちが最も大切にしている「お客さまのために尽くす」というバリューに対し共感していただける方と、事業成長やその先の株式再上場という目標にまい進していきたいですね。私たちのビジネスがなぜ成り立つのかというと、それはたくさんのお客さまが日々お買物をしてくださるからです。このことを胸に刻み、常にお客さまや地域へ感謝をしながら、行動する必要があります。

南:4つのバリューのうち、「お客さまのために尽くす」「すべての人を尊重する」という、「人」に関するバリューが印象的でした。御社が「人」に重点を置いて戦略を立てていることが伝わります。

黒川:おっしゃるとおり、「人」は当社にとって重要な位置づけであり、どれだけテクノロジーが進化しても、私たちのビジネスは、商品を購入いただく「人」がいなくては成り立ちません。イノベーションを生み出し続けるには、手段として「テクノロジー」をうまく取り入れながらも、常に「人(お客さま)に喜んでいただけることは何か」を追求し続けるモチベーションが重要であると考えています。

そのためには、バリューや行動指針の制定だけでなく、行動を振り返る評価制度も必要です。そこで、ウォルマート・グループでは、「タレント・ダイヤモンド」という評価基準を取り入れ、運用しています。

タレント・ダイヤモンドは、「アビリティー(より戦略的かつ実践的に考え、周囲と効率的に進めるための業務遂行能力」「アジリティー(新しい環境や困難な状況下における迅速な対応力やネットワーク構築能力)」「アスピレーション(高みを目指し、自己を律し、周囲を巻き込み物事をリードする力)」の3つから構成されています。日本では2018年から一部のマネジメント層を対象に導入を開始しました。その結果、この基準を用いることで、やる気に満ち、努力をしている社員の行動を、適切に評価できるようになりました。

南:参入障壁が決して高くはない小売業でありながら、なぜウォルマートは世界をリードし続けていられるのか、またその強さはどこにあるのかと思っていたのですが、いかなるときも戦略の中心に「人」を置かれているからなのだとわかりました。社会の変化に合わせて、事業の戦略だけではなく、それを実行する「人」の評価制度も日々アップデートされているからこそ、「人」「組織」「事業」すべてのベクトルを合わせて走れる。また、アップデートするスピードも世界トップクラスなのだろうと感じます。

一人一人が「自分がこの会社にいる意味」を実感してもらうことが大切

黒川:まさに、目まぐるしく社内は日々変化していますね。現在社内では「アジャイル」という言葉がよく使われていますが、変化に対して素早く、そして変化を楽しみながら柔軟に物事を進めていける方が活躍できると思います。

また、「人」を大切にする会社であるという点でもう一つ特徴的なのは、ウォルマート・グループでは、正社員、メイト社員(パートタイム社員)から役員まで、ウォルマートで働くすべての人を「一緒に働く仲間」という意味をこめて「アソシエイト」と呼んでいることです。これは、ウォルマートの創業者であるサム・ウォルトンからの伝統で「Ordinary people joined together to accomplish extraordinary things. / Our people make the difference. (どこにでもいるような人が集まって、誰にでもできないようなことを成し遂げた。/ 人が違いをつくる。)」がウォルマートという会社である、という強い思いを表しています。多様な社員がお互いを尊重し合いながら、一人一人が「自分がこの会社にいる意味」を実感してもらうことが大切だと考えています。

世界のビジネスリーダーとベストプラクティスが集まる環境

世界のビジネスリーダーとベストプラクティスが集まる環境

南:最後に、「人」を大切にする御社の「人財育成」に対するお考えをお聞かせください。

黒川:グローバルの観点でみた場合、日本の人財育成上の問題点は、リスクを避け、若手リーダーの育成にトライしていない年功序列の文化が根強くあることだと感じています。「若手にはまだ早い」と経験もさせず、40代、50代でようやく昇進とともに裁量権が与えられるというケースも珍しくありません。しかし、今の時代、そのスピード感では国際競争で生き残ってはいけないでしょう。

このような文化を変えるため、当社では若手の段階から圧倒的なスピード感で成長を目指せる環境を作ろうと、ウォルマート・グループで作られた若手社員向けの育成プログラムを日本にも導入しました。将来リーダーになりたい若手社員を選考し、2年間でマネージャーを目指すというもので、現在第1期生がスタートしたところです。

当社のようなビジネスは、お客さまとの距離が近い分、アクションに対してすぐに反応やフィードバックがあります。また、店長になれば、ヒト・モノ・カネのすべてをみなければなりません。若手社員が経験を積むのにこれほど最適な場はありません。現に、ウォルマートの経営陣の多くは、若い頃からお店を任される経験をして、小規模な店舗からどんどんステップアップしています。アンビシャスな若手社員には、積極的にこのプログラムに挑戦してもらい、いち早くリーダーとして活躍してほしいですね。

南:同感です。私は大学卒業後、投資銀行を経て、28歳のときにプロ野球チームの球団創設メンバーとなり、スタジアム運営などに携わりました。オンシーズンの「試合運営」は、人員配置の計画やスタッフへの指示、観客の方々とのコミュニケーション、そして片付けまで、現場に立ち続ける仕事でした。あらゆることが同時並行で起きることを想定しながら、念入りに事前準備する点などが、御社の「店舗運営」に似ているように思います。

現場で発生する大小さまざまなトラブルに対し、瞬時に優先順位をつけながら、一つ一つ丁寧にコミュニケーションをとり、解決していく。20代でのこの経験は、私にとってかけがえのない一生の財産であり、現在の会社経営にもつながっていると思います。若いうちから判断が求められる仕事をいくつも経験することが、リーダーシップの源泉となり、成長機会にもつながります。ぜひ、グローバルに活躍する若手リーダーを、御社から輩出していただきたいです。

「地域」と「人」を尊重し、さらに上のステージへレベルを上げていきたい

黒川:それに加えて、中途社員は、その道の「専門家」を採用しておりますので、自分の専門性をベースに、それを徹底的に磨こうという志を支援できるよう、高度な能力開発の機会の提供に、積極的に取り組んでいます。

ウォルマート・グループでは、各国でそれぞれの特徴に応じた施策が複数進んでおり、グローバルレベルでさまざまなベストプラクティスを学びたい人にとっては、この上ない環境だと思います。日本の店舗数は約330店舗ですが、アメリカはその10倍以上の約4,700店舗あり、そこに多くのテクノロジー投資を行っています。今年からは海外との短期間のエクスチェンジ・プログラムも開始したので、さらにグローバルでの学びの機会は増えています。

グローバルネットワークを駆使し、最善な施策を吸収しながらも、日本のビジネスにおいてカギとなるのは、冒頭に申し上げたとおり、地域に密着したバリューリテーラーとして、日本のお客さまにいかに価値をお届けするかです。西友が創業期から培ってきたものを大切にしながら、ウォルマート・グループとして、「地域」と「人」を尊重し、さらに上のステージへレベルを上げていきたいと思います。

ウォルマート・ジャパン・ホールディングス株式会社/合同会社西友黒川様×ビズリーチ南

黒川 華恵 様 略歴

国内ITベンダーにて基幹業務管理システムの営業、教育、システム導入業務を経験後、日本オラクル株式会社にて人事管理システムの国内企業向け営業、システム導入コンサルタント、教育コンサルタントを担当。その後英国留学を経てGEに入社。GE Corporate Japanにて組織人材開発マネージャー、GE Healthcareにて日本およびアジア・パシフィックの部門担当人事マネージャーとして複数事業部門の組織、人事戦略策定および実行に携わる。その後ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社にて医療機器事業会社の人事責任者として人事業務全般をリードする。2018年3月にウォルマート・ジャパン・ホールディングス株式会社/合同会社西友に入社し、現職。

取材・文:矢野 照三
カメラマン:横濱 勝博
記事掲載:2020/1/30

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